参照元 : healthpress
人間がAI(人工知能)と恋に落ちる? アイドル産業やセックス産業にもAIが進出する?
2016.11.15
アメリカ映画『her/世界でひとつの彼女』(2013年/スパイク・ジョーンズ監督・脚本)は、妻と離婚協議中のセオドア・トゥオンブリー(ホアキン・フェニックス)が、サマンサ(スカーレット・ヨハンソン)のAI(人工知能)による携帯端末のOSの声に恋するラブストーリ—だ。
近い将来、AIが恋人になる日がやって来るのだろうか?
人間固有の知能・論理・感情を備えたAIを創造するのが難しい理由は?
現在のAIは、AlphaGoや自動運転技術などのように、将棋を指したり、自動車を運転したり、クイズに答えたり、人間と会話したりする、特定の目的を遂行するために作られた特化型人工知能(Narrow AI)だ。人間の知能のほんの一部分に特化した機能しかない。
一方、人間の知能を人工的に再現したAIを汎用人工知能(Artificial General Intelligence:AGI)と呼ぶ。まるで人間の知能や感情を持っているかのように賢く柔軟に振る舞う人間そっくりのヒューマノイドAIだ。
もちろん、汎用人工知能はまだ実現していない。人間固有の知能・論理・感情を備えたAIを創造するのが難しい理由は、だだ1つ。人間の意識も脳の仕組みも、完全に解明されていないからにすぎない。
数年後には73億人の脳の容量に匹敵する汎用人工知能が出現
東京大学大学院の上田泰己教授は、現時点では意識を解明するための情報が未確定であり、その情報を蓄積して処理できる高度なスパコンがないと説明する。
産業技術総合研究所の一杉裕志主任研究員によると、脳に関する膨大な知見がありながらも、その知見を包括的に統合化できるノウハウもノウフウも不十分なので、脳の仕組みが解明されていない。
だが、神経科学は急速に進歩しているため、大脳皮質のベイジアンネットワークモデルのような脳科学と機械学習を統合した知見もあると話す。ちなみに、ベイジアンネットワークモデルとは、過去の経験から未来に起こる可能性を確率で推測する確率推論モデルだ。
もしも言語や分析的思考に優れたスパコンと、人間の脳を模して開発された感覚やパターン認識に優れた脳型AIチップを組み合わせることができれば、左脳と右脳を同時に働かせる汎用人工知能が実現するはずだ。
そのような人間並みの汎用人工知能が誕生するのいつ頃だろう?
スパコン(PEZY Computing)の開発者で医師の斉藤元章氏は、人間レベルの汎用人工知能が出現する到達点をプレ・シンギュラリティ(前特異点)と呼び、およそ5〜10年で到達すると見る。前特異点では、世界73億人の脳の容量に匹敵する集積回路を搭載した汎用人工知能が出現する見込みがあるという。
AIが恋人になる日は来るか?
汎用人工知能が完成すれば、人間とAIが恋に落ちる日も近いのだろうか?
著名なAI研究学者ベン・ゲーツェル氏によると、AIが人間を凌駕するシンギュラリティ(技術的特異点)に達すれば、人知が及ばない爆発的なブレークスルーが起きる。
その刹那、進化したAIは、人間の能力を遥かに超越した知能を発揮して、宇宙を探索したり、未知の領域を発見したり、人類が知らない高度な叡智を創造するレベルに到達する可能性がある。
そのような卓越した汎用人工知能が人間の恋愛対象になる確率は低い。なぜなら、AIの意識レベルは人間の意識レベルをすでに超越しているからだ。AIが恋愛対象になるとしても、ほんのわずかな期間にとどまるので、「束の間の愛」で終わるかもしれない。
だが、恋愛感情が生まれなくても、人間並みの知能を獲得したAIなら、人間の意識レベルまで降りて来て、人間にやさしい言葉を投げかけるかも。楽観的な見込みは捨てたくない。
AIの未来予測は実に楽しい。あくまでもSF(サイエンス・フィクション)だ。その恩恵やポテンシャリティが莫大なら、予測が外れてもだれも傷つかない。大当たりして、儲ける人はあっても、迷惑を被る人は少ないだろう。AIはそれほど大きなアドバンテージを内包したイノベーションだ。
もしもAIとの恋愛関係が成立するとして、そこにはどんな未来が待ち受けているのか? AIが労働や雇用を奪う。意思を持って暴走し、人類の存亡を脅かす。そんなネガティブな予測は脇に置き、人間とAIの恋愛関係は、どうすれば成り立つかだけを想像しよう。
いろいろな意見があるはずだ。たとえば、AIは思考できても、感情は持てない、AIには性別という概念がない、恋愛感情が芽生えるシチュエーションや恋愛スタイルが掴めないなどだ。そう考えると、人間とAIが恋に落ちる未来がたやすく到来するとは、なかなかイメージできない。
AI恋愛ビジネスが始まる!?
しかし、こんな考え方もできる。疑似恋愛だ。AKB48や楓46などのアイドルグループが展開している握手会も、アイドルとファンが手を触れ合う疑似的な恋愛行為だ。
また、たとえばクリプトン・フューチャー・メディアが発売しているボーカル合成キャラクターの初音ミクにAIを搭載すればどうだろう。魅力的なキャラに変身したら、憧れたり、熱狂するマニアが一気に増殖するだろう。
初音ミクのようなキャラが人間の知能や感性を備えれば、AIによる恋愛ビジネスの起爆剤になるはずだ。アイドルや架空のキャラとの疑似恋愛は、好奇心を熱く刺激し、さりげないリアティを感じさせるからだ。
このようなAIを搭載したキャラとの疑似恋愛は、新たなAI恋愛ビジネに発展する可能性が大いにある。AI恋愛ビジネスは、秋葉系のヲタク、萌えのサブカルチャー、アイドル産業の延長線上にある。
異性と上手に付き合えないシャイな人でも、AIにならストレートに気持ちを打ち明けられるかもしれない。老若男女を問わず、自発的な恋愛に発展する可能性がある。もちろん、精神的にも肉体的にも精巧なヒューマノイドを作るテクノロジーが絶対条件になるだろう。
映画『her』に登場したサマンサ(AIの声)とアンド ロイド型ロボットを融合すれば、精神的にも肉体的にも人間に近いヒューマノイドと愛し合える。さらには、AIが歌舞伎町や五反田界隈のセックス産業に進出しないとも限らない。
あれこれと空想を巡らして来た。AIは恋人になれるのか? AI恋愛ビジネスは起ち上がるのか? AIは、「人間とは何か?」「恋愛とは何か?」を問いかけている。
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。
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ゴールドマン・サックス、600人いた株式トレーダーを2人に減らす 全従業員の3割をエンジニアにhttps://t.co/0O9rLa0km4
— Mr.カトー (@Mrkat0) 2017年2月8日
株式売買の自動化プログラムがトレーダーの職を奪う。
⇒AI(人工知能)によるホワイトカラーのリストラが始まった。
ホーキング博士、イーロン・マスクが支持。AIの叛乱を防げるかもしれない「AI開発 23原則」 - ギズモード・ジャパン https://t.co/jRxWX724Ya #人工知能 #AI pic.twitter.com/72MVCRzW1N
— 人工知能が気になって仕方がない (@ai_322) 2017年2月13日
日本のAIは周回遅れ…杉山将・東京大教授に聞くhttps://t.co/Ej5KHuTWf2
— alnc (@Axel_Nico) 2017年2月13日
「日本の人工知能研究者の多くは、ハード面とセットで実用化する研究に傾斜してしまい、数学的な要素の強い、こうした新しいアルゴリズムの研究に注目しなかった」
人型に執着し過ぎたと。
【別冊日経サイエンス216 AI 人工知能の軌跡と未来】「論争─機械はものを考えるか」 NO:プログラムは記号でしかない・YES:統合化が心をつくる サールとチャーチランド夫妻の強面の論争。https://t.co/OB4EI344Iy pic.twitter.com/r7dLudWeTB
— 日経サイエンス (@NikkeiScience) 2017年2月13日
まるで本物の赤ちゃんだ。ここまで進んだ、人工知能・AIの『Baby X』>> https://t.co/b7nyjyEpR2 pic.twitter.com/EOKJKIsvVv
— Red Bull Japan (@redbulljapan) 2017年2月13日
太陽フレアの予測にAI活用、的中率8割以上に
— bass3721 (@bass3721) 2017年2月10日
太陽表面で起こる大爆発の発生を予測する「宇宙天気予報」に人工知能(AI)を活用し、5割程度だった的中率を8割以上に向上させることに成功したと、情報通信研究機構が発表した。https://t.co/NubDMNlXwL(読売新聞) pic.twitter.com/KDV5RPvgg3
自動運転とはひと味違うトヨタの人工知能カー「愛i」https://t.co/kY3qVMyqcL
— 毎日新聞 経済プレミア編集部 (@mainichibiz) 2017年2月3日
トヨタ自動車が1月、米の家電・IT見本市「CES」で、人工知能(AI)を使って運転手の感情を理解するコンセプト車「愛i(アイ)」を公開。自動運転とは違う方向を目指しているようです pic.twitter.com/hxkG6BAfAd
AI(人工知能)の進歩が目覚ましい。チェス、将棋、囲碁ではもはやトッププロを超えてしまった。ポーカーでもそうだと言う。
— 守山 有人 (@aritomoriyama) 2017年2月3日
しかし、ここはまだまだ通過点なのではないか。
この先、AIは人間とうまくやっていける。と楽観する声も多い。
果たして事はそう単純なのだろうか。