スクープ告発 第1弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し あなたもきっと口にしている!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(1)

2013年12月22日 18時00分
 
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10月下旬のこと。JR新宿駅東口の和風料理店で、こんな場面を目撃した。カウンター内の奥のテーブルで、若い男子従業員が左手に茶漉しを持ち、それに何枚もの小皿から何やら黒っぽいものを次々と移している。近くの席にいた7〜8人の客が店を出て間もなくだった。

若者は茶漉しを上下に2〜3回振って、下のボールに汁を落とすと、茶漉しに残ったものをタッパーに入れる。その繰り返しだ。

トイレに立った際、若者の手元を覗き込むと、それはヒジキだった。席に戻り、あらためてテーブルを見ると、ニンジン、油揚げの細切れが混じったヒジキの炒め物が置いてある。頼みもしないのに、たいがいの店で出される“お通し”だ。

ぜんぶ食べる人、少ししか食べない人、まったく食べない人もいるが、どっちみち、それだけで500円くらいは取られてしまう。

ある通夜の帰り道で、連れは親戚の家族。このことを小声で話すと、70代の伯母が「きっと、前の客が残したものを次の客に出すのよ。だれが箸で突ついたかわからないし、そんなもの出されるのって、嫌よねぇ。病気の客だっているだろうし、ホント、嫌よねぇ…」と顔をしかめる。

よく観察していると、伯母が言った通り、茶漉しで汁を除いたヒジキをタッパーから取り出し、それを次の客に出した。決定的な使い回しの瞬間だ。

伯母によれば、汁が染み出るのは「ヒジキ料理そのものが古くなりすぎた証拠」、つまり何度も使い回しされているからだという。東京都庁のビルが見える新宿一等地の店にして、このありさまである。こちらは計5人。他の客の食べ残しを“お通し”に出されて2500円前後は取られている。こんなバカらしいことはない。

店を出る際、50代とおぼしき店主に使い回しを注意すると、「うちは、そんな店じゃない!」と血相を変えて反発してくる。しばらく言い争いが続いたが、店主は他の客を気にしてか、黙りこくった。伯母の娘が、「たかがヒジキでしょ。許してやったら」と背中を突いてくるが、そんな問題ではない。使い回しを1品やっていれば、他もやっているに違いないからだ。

「今後、注意します」

店主からその言葉を引き出すまでに10分ほどかかった。茶漉しを持っていた若者は「俺の息子」と言った。とんでもない後継者教育をしているものだ。

参照元 : 週刊実話


スクープ告発 第1弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し あなたもきっと口にしている!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(2)

2013年12月23日 14時00分

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使い回しは“シカツ”の隠語
トンカツ店チェーン『和幸商事』経営の『恵亭松屋銀座店』(東京・中央区)など4店で、キャベツやお新香の使い回しが発覚したのは、それから1カ月後の11月下旬。銀座で名の知られた専門店でもこの体たらくだから、同じ銀座の居酒屋チェーンの店長が言う「使い回しはヘッチャラ」はウソではないのだ。

店長が話す。
「ここから近い国内最高級の帝国ホテル、三越伊勢丹、それに高島屋、小田急百貨店のレストランなど、あっちでもこっちでも食材偽装がバレたけど、他はダンマリを決め込んでいるだけ。よくぞ今までバレなかったなと感心しきりですよ。偽装やってない店なんて、あるわけがない。偽装やるかどうかは店構え、格、客層に関係ない。一流人相手の帝国ホテルでもやっていたんだから」

原価圧縮が最優先され、「客がナメられているから」だという。
「だから“偽装はあって当然、ないのが不思議”というわけさ。使い回しだって同じ。それがなかったら、かえって不自然だ」

外食産業の一部では、使い回しを手前勝手に「資源活用」と拡大解釈、そして“シカツ”(資活)と呼んでいる。そのシカツが、あの店でも、この店でもこっそり行われているわけだが、それが最もエスカレートするのが忘年会、

新年会の年末年始シーズン。「この時期になると、特に刺身類はシカツが原則」と話すのは、JR上野駅近くに古くからある大型居酒屋の副店長格。

「上からの厳命で従業員は増やせない。人件費の問題があるから。それなのに、予約がいっぱい入っている。そこにフリーの酔っぱらいも入って来る。刺身を切る時間がもったいないから、すぐそこのアメ横で切ったのを仕入れている」

それを小分けして皿に盛るだけだが、「どのグループもかならず最低10〜20切れは残していく。丸ごと1皿残す場合もある。それを別の盛り合わせ皿にもぐり込ませて、次のグループにシカツするんです。忘年会、新年会の時期は刺身だけでなく、どれもこれも普段より安いものを使うことになっている。これも上からの指示。でも値段は同じ。安物で原価を落とせば当然収益が上がる。そこが狙い目です」

刺身に使う冷凍マグロは、夕方のバッタ売りでも売れなかった残り物だから、タダみたいなもの。
「客が食べ残した刺身が、シカツでも使い切れないほど量があるときは、日本酒をたっぷり使って醤油漬けにする。日本酒も客の飲み残しで、オチョコにあったものでも使う。醤油漬けは、マグロのヅケ丼に使うが、これは人気抜群です。ほとんど原価ゼロだけど、収益アップの優等生だね」

副店長格が言う“シカツ”は、廃棄すべき残飯の見事なまでのリサイクルだ。

参照元 : 週刊実話


スクープ告発 第1弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し あなたもきっと口にしている!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(3)

2013年12月24日 16時00分

飲み残しの日本酒取り置きは、普段から毎日やっていることだから、「店側に違和感はまったくない。汚いなんて、思ったこともない」そうだ。煮魚、煮物、日持ち剤の役割など、あれやこれやに使えるからだ。

「日本酒の取り置きをやっていない店はほとんどないはず。やらなかったら、バカとしか言いようがない」

ただし、刺身の下に敷くダイコンのツマだけは「出し惜しみせず、新しいのを多めに使う。安いから」と言う。豪華に見せるための小細工でもある。すべて水に流しがちの酒席とはいえ、客はとことんコケにされているのだ。実は、ダイコンのツマは次亜塩素酸Na(ナトリウム)で消毒された調理済みのものが中国からどんどん入ってきている。

次亜塩素酸Naは漂白、カビ取り剤の成分として知られ、食品工場のコンクリート床の消毒にも使われる。動物実験では「染色体異常の疑いあり」で「危険」の評価が下っているが、居酒屋、ファミレスなどで出されるサラダ用のカット野菜はこの次亜塩素酸Naで殺菌消毒されている。

消毒後、シャキシャキの食感を出すため、酸性度とアルカリ度を調整するpH調整剤が使われる。つまり、刺身のツマも野菜サラダも、実は“クスリ漬け”ということだ。コース料理だと、宴会が終わりかけたころ、カットフルーツが出てくるが、これも次亜塩素酸Naで消毒されたものが多い。

プールに入ったときのような塩素臭を少しでも感じる野菜、フルーツは避けたほうが身のためである。酔った勢いでツマをムシャムシャ食べている客をよく見かけるが、これも同席者が止めるべきだ。

ちなみに、次亜塩素酸Naによる消毒自体は違法ではないが、その溶液に食材を浸す場合は、「50〜100ppmの濃度に5〜10分」との基準がある。だが、それを守っている店が少ないことも現実だ。宴会によく出る甘エビやイカなどの刺身類もこれで消毒されることがある。茶さじ1杯分が推定致死量だが、刺身の盛り合わせにそこまでは使われていない。

だから、使い回しの刺身を食べたからといって即、健康を害すわけではない。だが運が悪ければ、害すこともあり得る。

参照元 : 週刊実話


スクープ告発 第1弾 忘年会・新年会に横行する食材使い回し あなたもきっと口にしている!〜ジャーナリスト・吾妻博勝〜(4)

2013年12月25日 14時00分

ウイルス感染の危険性
 
飲食店の衛生管理を担当する都内の保健所職員は、「深刻な事態に陥ることもある」と警告する。
 
「肝炎ウイルスが怖い。特にA、E型肝炎は、血液を介して感染する非経口のB、C、D型と違い、食べ物を介しての経口感染が特徴です。また、客の中にはインフルエンザのキャリア(保菌者)がいるかもしれない。これは飛沫感染だが、前の客の食べ残しに咳払いの飛沫がかかったり、唾液がついた箸で触れたりしていると問題だ。とにかく食べ残しの使い回しは、あってはならないこと」

最近は「年寄りだけでなく若者の間にも結核菌の保菌者が増えている」うえ、「ノロウイルスによる感染性胃腸炎も心配」だという。ほかにも、やっかいな感染症の持ち主が客の中にいるかもしれない。トンカツ店チェーン(前述)が、使い回しの事実を東京・中央区保健所に報告したのも「深刻な事態に備えて」のことだった。

この数年間、韓国ではインフルエンザ感染が問題になるたびに、客の食べ残しが感染源と疑われた。無料サービスのキムチ類、生野菜類のほとんどが使い回しされてきたからだ。

テレビ局は、アルバイト従業員に化けたリポーターを飲食店に潜入させ、使い回しの現場を隠しカメラで撮影。それが放映されたことで騒ぎが大きくなり、ついに国は食品衛生法を改正、使い回しを禁止した。日本もそれくらいしないと、先の保健所職員が言うように、「深刻な事態」に陥ってしまうかもしれない。

使い回しされる宴会メニューの数々は次号でも取り上げるが、その前に注意すべきは宴会の帰り道だ。ひと頃と比べると、都内ではめっきり減ったが、盛り場の近くでラーメン屋台を見かけると、つい入ってみたくなるものだ。ところが中には、不衛生極まりない屋台があることを忘れてはいけない。

屋台と深い縁がある関東のテキヤ関係者によれば、「スープの使い回しは常識」という。
「屋台でいちばん大事なのは水。客がその次で、客でいちばん困るのは、スープをぜんぶ飲んじゃうヤツ。スープを少しでも残してくれる客は神様だ。残ったスープは足元のポリバケツに流すが、それは捨てるフリをするだけで、実際は取り置きしている。フタで客に隠してあるが、実はステンレスのザルがバケツに入れてあるんだ」

ザルが麺やネギなどの食べカスを取り除き、流れ落ちたスープがまた使われる。
「客足が切れず、水が切れたときは、雑巾を洗う専用の水でスープを増やす。粉スープと多めの味の素で味を濃くすれば、わかりっこない。ほとんど酔った客だから」

なにせ雑巾水での増量スープだから、胃の中は増菌必至。下痢、腹痛で済むならまだしも、だれかのA型、E型肝炎ウイルスを飲み込む危険もある。6カ月以上経っても治らない慢性肝炎にでもなれば、1杯数百円のラーメンが何百倍も高いものになってしまう。

宴会が増えるにつれ、わが身に危うさが迫ってくる。

参照元 : 週刊実話