東電が狙う全国制覇の違和感

2014年09月25日 12時00分
 
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東京電力が10月から、ヤマダ電機の関西・中部地区62店舗とケーズホールディングスの関西20店舗に電力を供給する。東電が越境供給に踏み切るのは初めてのこと。2016年に迫った電力の全面自由化をにらんで関西電力と中部電力が既に首都圏に進出し、営業攻勢を強めていることへの対抗策だ。

「関電や中電が現実には小規模供給にとどまっているのに対し、東電の“敵陣侵攻”は本格的で、早くも『次の標的は大手スーパーやメガバンクの支店網』などと騒々しくなっています」(新電力関係者)

東電と大口契約を結んだことで、ヤマダ電機は「年間4000万円前後のコスト削減が図れるはず」と、この関係者は指摘する。ヤマダ、ケーズが東電と域外契約を結んだことに触発され、さまざまな業種が追随の動きを見せるのは必至。これまで地域独占にあぐらをかいてきた全国の電力会社には、縄張り拡大に向けた千載一遇のチャンス到来だ。

とはいえ、有力企業の本社が集中する首都圏をホームグラウンドにする東電が「極めて有利」という点で関係者の見方は一致する。本社にとってなじみの薄い電力会社と大口契約するよりは、顔の見える距離にある東電の方が何かと好都合だからだ。原発事故で苦境に立つ東電に、電力自由化が追い風とは皮肉である。

2016年には、一般家庭向け電力も地域を超えた競争が始まる。ところが、圧倒的勝利を確信したかのように東電は「3年後に域外で340億円、10年後に1700億円の売上高を目指す」と鼻息が荒い。この分だと世間がはやす“電力戦国時代”とは裏腹に、遠からず東電による全国支配が加速する。

われらユーザーとすれば、その前に家庭向け料金の引き下げを願いたいのだが…。

参照元 : 週刊実話