元Google社員が「全ての広告削除ツールを無効にする」技術を開発中

2015年06月19日

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ウェブページ上から広告を削除してしまう「Adblock」などの広告削除ツールと、ウェブ上で広告を表示させるコンテンツプロバイダーの間では、日夜激しい攻防が繰り広げられています。そんな中、元Googleの社員が新たに「全ての広告削除ツールを無効にするツール」の開発に取り組んでいることを明かしました。

Former Google exec launches Sourcepoint with $10 million Series A funding - Business Insider

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Sourcepoint Ad Block Stopping Software Already in the Works | BGR

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2011年、ディスプレイ広告配信サービスの「Admeld」をGoogleが4億ドル(約490億円)で買収しました。AdmeldでCEOとして勤めていたベン・バロカス氏は、同社がGoogleに買収されたのちにGoogleのゼネラルマネージャーに就任。しかしその後、ベン氏はあらゆる広告削除ツールをブロックするテクノロジーを開発するために、Googleを退社してSourcepointというスタートアップを作ります。

ベン氏はBusiness Insiderに対して「Sourcepointは既にcomScoreの作成するランキングでトップ100に入るような企業の4分の1に、無料で広告削除ツールを回避するためのソフトウェアを提供しており、無料で広告削除ツールを使用するユーザーがどのような層なのかを解析するためのツールも貸し与えている」と述べています。

▼Sourcepointのベン・バロカス氏

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Sourcepointの目標は、単なる広告削除ツールを回避するためのサービス提供ではありません。ベン氏はパブリッシャー側が読者側とより「取引」しやすくなるような手段を提供したいと考えている、と自身の考えを明かしています。具体的にいうと、Sourcepointの顧客となった企業は何かしらの自社コンテンツ上で広告削除ツールを使用しているユーザーに対して、「広告を表示する代わりに引き続き無料でコンテンツを楽しむ」と「代金を支払って、広告が表示されない状態でコンテンツを楽しむ」という2つのメッセージを表示することが可能になるそうです。もちろん、Sourcepointの顧客となった企業は、広告削除ツールを使用するユーザーにも有無をいわせず広告を表示させる、という選択を選ぶこともできます。

「ドイツやアメリカ、イギリスなど多くの国で広告削除ツールは違法ではありません。それと同じで、パブリッシャー側がユーザー側に広告を表示することを選ばせるようなメッセージを表示することも合法です」とベン氏。また、広告削除ツールの中には企業から何十万ドルもの大金を受け取り、広告をブロックせずに表示する措置を取っている場合もあるのですが、これに対してベン氏は「恐喝のようなもので、公平ではありません」とコメントしています。

AppleがiPhoneとiPad向けの次期Safariに「広告ブロック機能」を搭載する見込みであったり、広告が大きな収入源となっているGoogleでは広告削除ツールにより2014年は約66億ドル(約8000億円)もの損失を出していたりと、シリコンバレーの大手企業とも密接に関わる広告削除ツールですが、Sourcepointの出現でその勢力図に何かしらの変化が起こることは間違いありません。

参照元 : Gigazine


ネット広告のクリック数のうち88〜98%はボットによるものだと判明

2015年02月13日

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ウェブ上に表示されている広告を一体誰がどれくらいクリックしているのか明らかにするため、Oxford BioChronometricsの研究者であるアドリアン・ニール氏とサンダー・コーウェンホーヴェン氏は、2015年1月の7日間、Google・Yahoo!・LinkedIn・Facebookといった主要な広告ネットワーク上での広告クリック調査を実施しました。この調査の結果、広告クリックの88〜98%がボットにより行われていることが明らかになりました。

OxfordBioChron_Quantifying-Online-Advertising-Fraud_Report.pdf (PDF)

ボットとは、インターネット上で自動化されたタスクを行うためのアプリケーションソフトウェアです。通常、ボットにはシンプルなタスクが割り当てられ、それをボットが繰り返し何度も実行することで、人間よりも効率的にタスクを消化できるようになるというわけ。ボットは「クローラー」とも呼ばれ、ウェブページ上の情報を集め、それを分類するためにも使用されます。

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アドリアン・ニール氏とサンダー・コーウェンホーヴェン氏の調査した結果、Google・Yahoo!・LinkedIn・Facebookの広告をクリックしていたボットには複数の種類が存在することが判明しています。ボットは大まかに分けると6種類存在したそうで、それらは以下の通り。

◆Basic(基本型)
広告プラットフォーム上にて、広告キャンペーンなどをターゲットに走る「指定されたURL」にのみHTTP GETリクエストを送るボット。

◆Enhanced(改良型)
特定の広告のためのHTTP GETリクエストを広告サーバーから受け、AJAXを使用してウェブブラウザのロードイベントを記録します。これが標準のロードイベントとは異なる場合、HTTP GETリクエストを送っているのはEnhanced型のボットとのこと。

◆Highly Enhanced(高度改良型)
クライアント側のコード実行が既知のコードと一致しない場合は、高度なJavaScriptプロセッサーメトリクスを使用するボット。

◆Advanced(進化型)
人間の基本的な動作を真似るもの。

◆Highly Advanced(高度進化型)
人の動作を真似るボットは、ロードしたページを数秒間表示したままにしたり、マウスやキーボードを使用したり、ページを上下にスクロールしたりします。しかし、ボットが行うような擬似的な無作為性はクラスター分析で検知可能とのこと。

◆Humanoid(ヒト型ボット)
ベジェ曲線やB-スプライン曲線などを使用して高度に人間の行動を真似るボット。

そして7日間の調査結果は以下の通り。各広告ネットワーク上での広告クリックは88〜98%がボットによるもので、特にGoogleの広告ネットワーク上では98%がボットによるクリックです。また、Yahoo!やLinkedInの広告ネットワーク上には基本型のボットが存在しない、というのも大きなポイント。

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調査した4つの広告ネットワーク上では、改良型ボットが最も多く存在しました。調査前、アドリアン・ニール氏とサンダー・コーウェンホーヴェン氏は基本型のボットが大多数を占めると考えていたそうで、調査結果には非常に驚いた、としています。

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調査結果から、オンライン広告は過剰請求を行っており、実際には現在支払われている金額に見合うような需要は恐らく存在しない、と記しています。

参照元 : Gigazine