<長期金利>初めてマイナスに 一時−0.010%

2016年2月9日(火)13時2分配信

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日本国債などを取引する東京債券市場で9日、長期金利の指標となる10年物国債の市場利回りが一時、マイナス0.010%に低下し、史上初めてマイナスとなった。日銀が先月29日にマイナス金利の導入を決定し、金融機関は日銀に資金を預けると損をするため、国債の購入を増やし、国債価格が上昇して金利が急低下した。9日の日経平均株価が急落し、比較的安全な資産とされる国債を買う動きも広がり、金利低下に拍車をかけた。

国債を購入して10年の満期まで保有しても金利を受け取れないだけでなく、購入時の価格を下回って損をする異常事態。長期金利のマイナスに伴い、住宅ローンや企業向け融資の金利も下がり、家計や企業にプラスに働く効果が見込める。だが、銀行や生命保険会社は顧客から預かった資金を国債などで運用しており、金融機関の収益が悪化して、預金金利などが一段と低下する恐れもある。

長期金利のマイナスはスイスに次いで2例目。

日銀は16日から、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の金利をマイナス0.1%に引き下げる。市場では「金融機関が日銀に預けていた資金を国債購入に回す」との見方が広がり、国債価格の上昇と長期金利の低下が続いていた。長期金利の指標となる新発10年物国債の市場利回りは8日に一時0.02%と史上最低水準に低下し、9日は一段と下がった。満期が9年以下の国債は既に金利がマイナスとなっている。

日本経済が停滞する中、日銀は金利を引き下げて企業の設備投資や消費を活性化し、景気を底上げしたい考え。マイナス金利を受け、新生銀行が今月3日に住宅ローン金利を引き下げるなどの動きが出ている。だが、「金利は既に歴史的な低水準にあり、これ以上下がっても景気刺激効果は限られる」との見方も強い。

一方、金融機関はこれまで安全資産とされる国債で多額の資金を運用してきたが、長期金利がマイナスになると、収益の確保が難しくなる。

すでに三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクが定期預金金利を、ゆうちょ銀行も定期貯金などの金利を引き下げた。また、資産運用会社が国債などで運用する投資信託「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」の販売停止に踏み切っているが、預金金利がさらに低下するなど影響が広がる可能性がある。

市場関係者には「国債価格が上昇しすぎて今後の値動きが不安定になる恐れがある」との懸念もある。【中井正裕、鈴木一也】

参照元 : 毎日新聞


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