日本が「仮想通貨大国」と言われる5つの理由

2018/1/22(月) 6:00配信

このところ、日本を「仮想通貨大国」と呼ぶ、仮想通貨関係者の発言やメディアの報道が目立つ。2017年秋には、円建てのBitcoin(ビットコイン)の取引が世界全体の過半数を超え、現在も米ドル建てに次ぐシェアを占めている。

ビットコインの価格は、2017年12月には一時220万円を超える水準にまで高騰したが、2018年1月17日には一時100万円を割った。騰落が激しく、高いリスクのある仮想通貨に、雪崩を打つように日本円が流れ込んだのはなぜか。その理由を探った。

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東京・六本木の交差点には仮想通貨事業を手がける企業の広告が掲出されている。

「新たな中心地・日本」

仮想通貨取引所の国内最大手bitFlyer(ビットフライヤー)社長の加納裕三氏は2018年1月4日、年頭の特別寄稿として、アメリカの仮想通貨情報サイトcoindesk(コインデスク)に、「ビットコインの新たな中心地・日本」(“Japan: The New Heart of Bitcoin”)と題したコラムを発表している。

2017年秋には、ビットコインの円建ての取引が世界全体の過半数を占め、2018年1月中旬の時点でも、全体の3割超を占め、米ドルに次ぐシェアとなっている。

円建ての取引価格は、ドル建ての取引価格よりも割高になる傾向もあると言われる。円建てとドル建ての価格差は、日本での旺盛な仮想通貨需要を示す指標のひとつと考えていいだろう。

理由 日本政府の規制
日本で仮想通貨の取引が活発化した要因として真っ先に挙げられるのは、2017年4月の資金決済法の改正だ。仮想通貨の取引所を、仮想通貨交換業者として金融庁に登録する制度だ。

日本で業者の登録が始まったのは同年9月末のことだ。その半月ほど前には、中国政府が仮想通貨の規制強化を決め、人民元と仮想通貨の取引を停止し、実質的に取引所は閉鎖に追い込まれた。2017年秋ごろまで、仮想通貨取引の中心地は中国だったが、中国政府の規制強化以降、人民元建ての取引は一気にゼロに近づいた。その一方で、日本では登録制度の導入以降、円建ての取引は急増した。

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アメリカの仮想通貨情報サイトTHE COINTELEGRAPH(コインテレグラフ)は2018年1月9日付で、世界銀行の金融専門家ヴィンセント・ラウネイ氏のコラムを掲載。同氏は日本の登録制度に触れ、「日本の目標はとてもはっきりしている。仮想通貨大国になることだ」と論じた。

政府による規制は結果として、日本が仮想通貨取引の「新たな中心地」になるきっかけをつくった。

理由 FXからの流入

「日本は、おおっぴらには金の話をしない文化があるが、実はものすごく投機が好きな人が多いのかもしれない」

FX(Foreign Exchange)や仮想通貨の取引を指導する「ココスタ」を運営している佐々木徹さん(44)はこう語る。

FX取引と呼ばれる「外国為替証拠金取引」は、米ドルやユーロなどの通貨を売買する。例えば、海外旅行に出かける前に110円で1米ドルを買って、帰国したときに115円に円安が進んでいれば、5円もうかる。こうした為替の変動による差益を目指す金融商品だ。

25倍までのレバレッジ(てこの原理)が可能なため、少額の資金で高額の取引ができる特徴がある。例えば4万円の証拠金で、100万円相当の取引に参加できる仕組みだ。

日本は、世界で最もFX取引が盛んな国だとされる。外国為替市場では、主婦を含む日本人の個人投資家を指す「ミセス・ワタナベ」という言葉が定着しているほどだ。

2017年10月ごろから、金融庁がFX関連の規制を強化し、レバレッジ規制が現行の25倍から10倍程度にまで引き下げられるとの観測が出た。このため、FX取引からビットコインなどの仮想通貨取引に流れる個人投資家が相次いだという。佐々木さんは「ぼくのまわりでも、FXからビットコインに移った人は少なくない」と言う。

『アフター・ビットコイン』の著者である中島真志・麗澤大学教授は「日本においては、まだまだ投資マインド・ノウハウが未熟なのではないか」と語る。

中島氏は、投資を始める際には、リスクがほぼない銀行預金にはじまり、中程度のリスクがある投資信託などで投資の基本を学び、その後、個別企業の株式などと段階的にリスクの高い金融商品に移っていく必要があると考えている。

「投資経験のまったくない人が、いきなりハイリスク・ハイリターンのビットコインやFXに手を出す風潮は危ない。一攫千金を夢見ているのでしょうか」

理由 「安全資産」の日本円と仮想通貨

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イギリスのEU離脱に反対する男性=2018年1月16日

REUTERS/Hannah McKay

為替市場では近年、「有事の円買い」と言われている。中東や朝鮮半島などでの軍事的な緊張の高まり、世界的な金融危機、大災害などが発生すると、日本円が買われ、円高になる。最近では、以下の「有事」などで円高が進んだとされる。

リーマンショック(2008年)
欧州債務危機(2010年)
東日本大震災(2011年)
イギリスの国民投票でEU離脱が決まる(2016年)

仮想通貨は、極めてボラティリティ(変動性)の高い金融商品だ。一方で、日本円は「安全資産」とも言われている。複数の仮想通貨関連のプロジェクトに携わっている篠原ヒロさん(34)は「不安定な仮想通貨とペアを組む相手として、安定した日本円にいつでも変えられる状態にしておくのは意味がある」と指摘する。

理由 中国、韓国からの流入
中国では事実上、仮想通貨の取引所が閉鎖に追い込まれ、ICOも規制された。韓国でもICOが規制されたほか、仮想通貨の取引への規制強化も検討されている。

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日本国内で取引所を運営する、ある経営者は「2017年の秋以降、日本の取引所で取引をする中国人の個人投資家が増えたように思う」と話す。

「中国人の投資家が札束を満載した車で、日本の取引所のオフィスに直接現れた」という真偽不明のうわさも飛んでいる。

理由 世代間の格差
仮想通貨を取材していると、世代による受け止めの違いを感じることがある。20代、30代の年齢層は仮想通貨をポジティブに受け止める人が多いが、中高年以上の層では、仮想通貨を嫌う人も少なくない。

高齢化の進む日本では、中高年以上の世代は、大企業にいれば定年まで「逃げ切り」がはかれるかもしれないが、若い世代は先を見通せない。年金制度も、若い世代が高齢者になるころまで、維持できるかどうか不明だ。

先の見えない時代において、「一発逆転」を狙えることが、若い世代を仮想通貨に引き寄せている面もあるのではないか。

篠原さんは「どう見ても若い者が不利な社会で、唯一、若い世代が有利に戦えるのが仮想通貨なのでは」とみる。

2014年に起業した佐々木さんはいま、FXなどの投資と投資関連の講師業で生計を立てている。

「サラリーマン時代、長く勤めても、給料はごくわずかしか上がらなかった。それに比べて、仮想通貨は夢を見やすいのかもしれない」

(文と写真・小島寛明)

参照元 : businessinsider


ビットコイン暴落でも冷めない日本人の熱気

2018/1/22(月) 6:00配信

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仮想通貨の代表格・ビットコインの値動きが激しい。1月16日、それまで170万円台だったビットコイン(BTC)価格は、一夜明けると105万円まで下落した。昨年後半の急騰で12月中旬につけた220万円台から、わずか1日で半値となった(価格は取引所大手のビットフライヤー)。

昨年、BTCは買いが買いを呼び、1年で価格が20倍以上になったが、今回はそれが逆回転した。足元のBTC価格は130万〜140万円台で推移しているが、急騰局面の際に魅了され、天国を期待してBTCを買った人は、一時的に地獄のような心境に陥ったことだろう。

背景にあるのは、各国の規制強化だ。韓国の朴相基(パク・サンギ)法相が仮想通貨取引の禁止法案を準備していることを公言。ドイツ連邦銀行の理事が仮想通貨の国際的な規制の必要性を訴えたほか、中国政府によるさらなる規制強化の動きも明らかになった。

1月22日発売の『週刊東洋経済』は、「ビットコイン 天国と地獄」を特集。仮想通貨市場になだれ込むマネーの実態や仮想通貨が金融システムに与える影響などを分析している。

■各社が大々的に広告宣伝を実施

足元の価格が軟調とはいえ、日本人の「ビットコイン熱」は当面冷める機運はなさそうだ。理由の一つは、仮想通貨を取り扱う取引所各社の積極的な広告宣伝だ。

ビットフライヤーに並ぶ大手のコインチェックは2017年12月上旬から、タレントの出川哲朗氏を起用したテレビCMを実施し、同月の口座申し込み件数は前月比で10倍に膨らんだという。同社の2017年12月単月の取扱高は現物取引(自己資金による取引)ベースで3兆円に到達した。取引所中堅のZaif(ザイフ、テックビューロが運営)は、昨年の12月中旬から、お笑い芸人のかまいたちを使ったYoutube動画を配信している。

今後、個人投資家にとって期待される材料として、米国のETF(上場投資信託)承認もある。ETFが承認されれば、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)と米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)での先物取引に続き、新たな投資家の流入が見込まれる。またマイニングと呼ばれる仮想通貨の採掘事業には日本のGMOインターネットやDMM.comらが名乗りを上げており、仮想通貨の安定的な供給や流動性の拡大が見込まれる。

一方で不安な材料がない訳ではない。各国の規制強化に加え、そもそも現状の相場は「投資・投機化」しており、それが値動きの荒さにつがっている。仮想通貨は日本円やドルなどの法定通貨と違い、国が価値を保証しているわけではない。価値を信用する人たちによって成り立っており、その仕組みを「ブロックチェーン」と呼ばれる技術が支えている。つまり各国の規制強化などネガティブな材料を発端に信用が失われれば、たちまち価格は急落するリスクがある。

■通貨と呼べるのか? 求められる健全な発展

ただ、新しく仮想通貨を購入しようとしている人たちの多くは、仮想通貨やブロックチェーンの仕組みに価値を見出すというより、単純に値上がり益を見込んでいるケースが多い。

たとえばビットフライヤーの昨年12月における月間取引高は9.5兆円に上るが、そのうち現物取引は1.2兆円で、残りは証拠金を使ったレバレッジ取引(同社の場合は差金決済と先物取引)が占める。レバレッジの最大倍率は15倍だ。これらがすなわち投資・投機に同等するとは言えないが、決済や送金といった通貨本来の利用目的とはかけ離れた取引の実態が浮かび上がる。

昨年6月から仮想通貨を購入し始めた20代のある男性は、「仮想通貨が新しい決済手段になる可能性があるとは思えない。単純な儲け目的で取引をしている」と語る。「国が貨幣の量をコントロールするのは限界がある。ブロックチェーンが通貨の歴史を変える」(別の20代男性)という見方もあるが、少数にとどまっていると言わざるを得ない。

決済や送金の手段として使われなければ、それはもはや通貨とは呼べない。日本では各国に先駆けて昨年4月に改正資金決済法が施行し、仮想通貨を新たな決済手段に位置付けたが、まだ通貨として利用シーンが多くはない。金融庁は否定しているが、今後は金融商品取引法の枠組みに含める必要性を指摘する声もある。仮想通貨は新しい金融システムになるのか、それとも投資家による儲けの道具として使われるだけなのか。業界関係者と当局による健全な発展が求められている。

『週刊東洋経済』1月27日号(1月22日発売)の特集は「ビットコイン 天国と地獄」です。

二階堂 遼馬 :東洋経済 記者

参照元 : 東洋経済オンライン


仮想通貨で「大儲けした人」「大損した人」が洗いざらい話した

2018/2/2(金) 7:00配信

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昨日の億万長者が、明日には全財産を溶かす――ビットコインの真骨頂は、爆騰したと思った次の瞬間には暴落する値動きの激しさ。そんなジェットコースター乗客たちの歓声と悲鳴をお届けしよう。

上がりすぎて怖くなった
IT企業に勤める浅野隆氏(仮名、43歳)は、3万円で始めたビットコイン投資で約800万円の利益を稼ぎ出した。

浅野氏がはじめてビットコインを購入したのは'16年7月ごろ。きっかけは些細なものだった。

浅野氏が言う。

「この時期、私の周囲でFX(外国為替証拠金取引)をしている人たちの間で、仮想通貨であるビットコインに投資をする人が急増していたんです。

聞くと、当時は中国で人民元安が進んでいたことを受けて、中国人がビットコイン投資に殺到。欧州でもイギリスのEU離脱懸念が急浮上して金融市場が動揺し、欧米の投資家たちがビットコインの買いに走っていたんです。

実際、この時期にビットコインは1ヵ月で1.5倍に急騰。そのすさまじい値上がりに乗らない手はないということで、気付いた人から動き出していた。

そこで、私も軽い気持ちで3万円から投資をしてみることにしたんです。当時は1BTC=6万円(BTCはビットコインの通貨単位)ほどだったので、約0.5BTC購入できました」

これが大当たりだった。

ちょうど同じころ、アメリカ最大の仮想通貨取引所とメガバンクの三菱東京UFJ銀行が資本業務提携を発表し、ビットコインブームはヒートアップ。

さらに、'17年4月に改正資金決済法が施行されて、仮想通貨の取引所が金融庁への登録制になるなど環境整備が進むと、投資マネーが本格的にビットコインへ流れ込んでいった。

おのずとビットコイン価格は右肩上がりの曲線を描いて急上昇し、'17年5月には30万円台を突破。浅野氏の購入時より、5倍超に急騰した。

「これはすごいブームが来たと思って、'17年に入ると買い増していきました。そのときは1BTC=10万円台で仕込みましたが、そこから毎日1万円ずつ上がるほどの急騰劇で、あれよあれよと儲けが膨らんでいったのです。

単純に嬉しかったですが、こんなことがあっていいのかと怖くなることもありました。

11月に100万円を超えるとメディアでもその過熱ぶりが大きく報道されるようになり、さらにマネーがなだれ込んだ。

100万円超えから2週間足らずで200万円を突破したときはさすがに『バブルが破裂する! 』と恐ろしくなり、12月に手持ちをすべて手放すことにしました。途中で買い増した分も合わせて利益確定させると、最終的に800万円もの利益になりました」

資産3億円を築いた男
年始から乱高下するビットコイン市場だが、まずは成功者の声を聞こう。

昨年からビットコイン投資を始めた個人投資家は、「1ヵ月で数百万円稼ぎました」と言う。

「ビットコイン投資が株式投資と違うのは、1日のあいだに価格が何十万円も大きく動くこと。1BTCを買ってその日に売るだけで、1日に20万円、30万円と儲けられるんです。私の場合、うまくいったときは1日で500万円儲かりました」

そもそもビットコインとは、インターネット上でやり取りする「仮想通貨」の一種。

通常、通貨は国や中央銀行が発行・管理するが、仮想通貨には管理主体が存在しないのが最大の特徴。「ブロックチェーン」という最新技術を使うことでそれを可能にし、決済などにかかるコストが破格に安く済む。

しかも、パソコンやスマホさえあれば国境を越えて世界中の人とそのおカネをやり取りできるため、「次世代通貨」として急速に注目を集めている。金融ジャーナリストの田茂井治氏が言う。

「そんなビットコイン市場のさらなる拡大を見込んで、昨年から投資する動きが爆発的に広がっています。特に、いままでFXをやっていた個人投資家たちがビットコイン投資になだれ込み、1億円超えの資産を築いた成功者たちが続々と出ている。

ブームはビットコインだけではなく、ほかの仮想通貨への投資で大儲けしている人も急増。ビットコイン以外ではイーサリアム、リップルという仮想通貨が人気で、ビットコインと同じく価格が急騰しました」

FX投資家だった斉藤祐司氏(仮名、47歳)もそんなイーサリアムへの投資で「資産3億円」を築いた一人。本人が言う。

「私はFXの投資家でしたが、'16年ごろから投資家仲間の間で仮想通貨の話題が増えたので、やってみることにしました。目を付けたのが、イーサリアム。私が研究したところ、イーサリアムはビットコインの技術的欠点を克服しており、将来的に仮想通貨の中心的存在になると思ったからです。

当時は1ETH(イーサリアムの通貨単位)が約1200円で約100万円を投資したのですが、3ヵ月で2倍の2400円にまで上昇した。ここでいったん利益確定して、いきなり100万円ほどの儲けになりました」

しかし、「これは失敗だった」と斉藤氏は言う。

「私が手放したのは'17年3月だったのですが、その3月中に価格はさらに上昇し、月末には5000円を突破したんです。

その後も勢いが衰えることなく上がり続けたので、これまでのFXの投資経験から『この勢いはホンモノだ』と思い、4月に一気に1500万円を投資しました。

そこからはもう、上昇相場に身を任せるだけ。あれよあれよと上がる相場に乗って、年明けには1ETH=15万円を超える高値を付けました。じつに購入時から20倍以上になり、年始に資産が3億円に達したわけです」

このような億万長者が日本全国で次々に誕生しているのだから、それなら自分も、と人々が殺到。それがまた仮想通貨の価格を引き上げる「熱狂相場」になっているわけだ。

私はこうして資産を失った
そもそも、仮想通貨投資は難しいと考えている人は多いが、じつはとても簡単。売買をする仮想通貨取引所に入出金などのためのアカウント(口座)を作りさえすれば、取引はすぐにできる。

「株と違って、低額から投資できるのも特徴です。ビットコインには最低取引単位があって、取引所毎に違いますが、たとえば0.001BTCならば、取引価格が150万円に対して1500円から投資できる。しかも、仮想通貨は24時間365日取引ができる」(フィスコデジタルアセットグループ代表の田代昌之氏)

売買手数料は取引所によって違うが、0.01%などと低いうえ、「ゼロ」のところもある。

株式投資とくらべて簡単で低コストなうえリターンも大きいとなれば、まさにいいこと尽くめの投資先ということになるが、当然おいしい話には必ず「裏」があるもの。ビットコイン投資には、とんでもないリスクがあることも忘れてはいけない。

「そもそも、預金のように元本の保証はありません。そのため、運用に失敗すれば資産が大きくマイナスになる可能性が十分にある。

しかも、仮想通貨は値動きがとても大きく、そのスピードもとてつもなく速い。1日に数十万円動くこともザラで、それだけリターンを稼げる可能性がある一方、逆に大きな損を被るリスクもある」(前出・田代氏)

金融関連企業に勤める藤原健太氏(仮名、42歳)はまさにそんなリスクに直面し、「資産喪失」という地獄を体験した。

「私がビットコインに投資をしたのは昨年12月のことで、最初はうまくいっていたんです。
1BTC=200万円あたりで購入したところ、その日のうちにいきなり230万円まで上がった。

元手300万円に対して10倍の3000万円分投資ができるレバレッジ取引で購入していたので、このときはわずか数時間で100万円以上の利益が出ました」

藤原氏は、「こんな大相場があるのか」と浮かれたというが、そんな喜びの時間もつかの間だった。藤原氏が続ける。

「ビットコイン価格がそこから2日ほどで、150万円まで一気に暴落したんです。これには青ざめました。

なぜならレバレッジ取引では、一定以上の価格急落時に取引所から保有しているビットコインを強制売却されるのですが、これに引っかかってしまった。これで大損が確定したのです。

私の場合、このときに熱くなってしまい、さらにビットコインを購入したのが運のつき。12月22日には再びビットコインが急落。そこで元手にしていた300万円はすべて消えました」

価格下落の「予兆」を察知できていれば、藤原氏のような資産消滅の危機を回避できたのではないか。そう考える向きもあるだろうが、じつはそれはほぼ不可能。

というのも、ビットコインの価格には「根拠」がないので、どんな価格になるのかがまったく読めないからだ。元日本銀行Fintechセンター長で、京都大学公共政策大学院教授の岩下直行氏が言う。

「たとえば株なら配当や株主優待が受けられるなど、所有するメリットがある。債券も同じで金利がつくし、満期にはおカネが返ってくる。

しかし、ビットコインにはそういうものがないので、理論価格は『ゼロ』。つまり、仮想通貨がここまで値上がりしたこと自体が異常なことだし、まさにバブル。どんな些細なきっかけで、いつ弾けてもおかしくない」

言い方を換えれば、ビットコイン相場は、みなが上がると思っているときは買われ、買われるから上がる。しかし、これがいったん逆方向に動き出せば、今度は逆回転を始める。最悪の場合、その価格はゼロまで落ちる可能性があるのだ。

爆騰も暴落も突然起きる
当然、すでに前出の藤原氏のような「被害者」も続出している。

「仮想通貨は寝ている間に暴落することもあり、とにかく気が気でない。私はイーサリアムへの投資で儲けていましたが、1月16日に突然暴落劇が起きて、対応できなかった。この1日で100万円を失いました」(都内在住、24歳の個人投資家)

じつはビットコインをめぐっては、ほんの一部のプレイヤーが全体を牛耳っているという「不都合な真実」もある。『アフター・ビットコイン』著者で麗澤大学経済学部教授の中島真志氏が言う。

「ビットコインのユーザーは世界で1600万人といわれていますが、保有者の分布データを詳細に分析してみると、上位1%ほどのプレイヤーが全体の9割のビットコインを保有していることがわかります。

しかも、ビットコインの新規発行であるマイニング(採掘)という作業も、中国の採掘集団が7割以上を寡占している。ビットコインの中心的な開発者の一人であるマイク・ハーン氏も、『ビットコインはほんの一握りの人に管理されている』と指摘している」

つまり、そんな「一握り」のさじ加減ひとつで、価格が左右される恐れがある。それでは胴元のいるギャンブルといったいなにが違うのか……。

「投資初心者の方が仮想通貨投資をやる場合は、はじめに金額の限度額を設定して始めたほうがいい。金融資産の10%以内などにしておくのが賢明でしょう」(前出・田代氏)

表もあれば、裏もある――。仮想通貨に手を出す人は肝に銘じておいたほうがいい。

「週刊現代」2018年2月3日号より

参照元 : 週刊現代