おやじ雑学 最新版「お葬式」事情 〜遺族の負担を減らす7つ心得〜(1)
2014年07月01日 11時00分
急増する葬儀後のトラブル
2010年の日本消費者協会『第9回葬儀についてのアンケート調査』によると、過去3年間に「身内に葬儀のあった人」が葬儀に掛けた費用の総額は全国平均で約200万円。最高額は810万円、最低額は20万円となっている。
平均200万円というこの数字、よくマスコミなどで取り上げられるが、しかしこれは約300人程度に対して行った調査の結果でしかない。日本全国では年間100万件前後の葬儀が営まれている。「200万円」はその中のわずか約300件のデータにすぎないのだ。
「工夫次第で、格安で心温まる葬儀が可能です」と語るのは、一級葬祭ディレクターの寺尾俊一氏だ。寺尾氏によれば、最近広がってきたのが“よりリーズナブル”な葬儀社を探す動き。ネットには「葬儀一式25万円」などという広告が氾濫している。
「でも『これは安い』と飛びつくと、思わぬ落とし穴が待っています」と寺尾氏は警告する。
実際、告別式が終わってホッとしたのもつかの間、届いた請求書の金額にがくぜんとすることも多い。国民生活センターによれば、葬儀トラブルはここ5年間で1.8倍に急増しているという。原因は、葬儀の内容を葬儀社に“お任せ”することにあるようだ。
例えば「一式25万円」と書かれているから、「これで全部賄える」と考えたら大間違い。「一式」は葬儀社が請け負う「葬儀施行費用」の“全部”を指すだけで、ほとんどの場合、「飲食費」や「霊きゅう車による移動費用」などが含まれていないことが多い。さらに、司会者の手数料、返礼品、僧侶に払うお布施、通夜の飲食費、祭壇の花、式場正面に飾る表飾りなども別勘定。
実は葬儀業界には統一基準がなく、各社のプランに含まれる内容はまちまち。中には“悪徳葬儀社”がいて、棺の料金などを不必要に上乗せして法外な額を請求することもある。
「棺のグレードアップは業者の常套手段。『棺は故人が入る最後の御家です』などと言われると、遺族は抵抗できず押し切られてしまうのです」と寺尾氏。
また、僧侶に払うお布施の額も同様で、「どのくらいが相場でしょう?」などと尋ねようものなら、「平均50万円から70万円くらいですね」と高額を要求されるケースも…。お布施にはっきりとした相場があるわけではなく、中には社員に袈裟を着せて読経させる悪徳業者もいるという。
人の死はそもそも固有のもので、葬儀・葬送に「平均」や「標準」といったものはない。葬儀に掛かる費用も、どんな葬儀をするかで大きな差が生じる。
参照元 : 週刊実話
おやじ雑学 最新版「お葬式」事情 〜遺族の負担を減らす7つ心得〜(2)
2014年07月02日 11時00分
実は葬儀には「基本葬儀施行費用」(霊きゅう車を含む葬儀を執り行う費用)の他にも「会場使用料」「会葬者への接待飲食費(飲食費・返礼品・お車代)」「火葬費用」「宗教者へのお布施」などが発生する。
しかし、通常の葬儀のパックには、必ず必要になる火葬料金や搬送料金・ドライアイス代が入っていないことがほとんどだし、入っていても追加料金が発生するように設定されているので注意が必要だ。
しかし、通常の葬儀のパックには、必ず必要になる火葬料金や搬送料金・ドライアイス代が入っていないことがほとんどだし、入っていても追加料金が発生するように設定されているので注意が必要だ。
「必ず“一式”には目を光らせてほしいのです。何が含まれて何が含まれていないか、事前によく確認すること。決して『お任せします』などと言ってはいけません」と、寺尾氏はアドバイスする。
遺族は愛する人を失って悲しみに暮れているところに、慌ただしく葬儀を営まなければならない。じっくり検討する時間もないため冷静な判断ができず、葬儀社の言いなりになってしまうことが多いのだ。
一部の悪徳葬儀社は、そこに付け込む。『こんなに貧弱だと故人が悲しみますよ』と、巧みな営業トークで祭壇や花をより高価格に引き上げようとする。葬儀社にそう言われるとなかなか断わりにくい。
近年、葬儀社の見積書は項目別に単価が明記され、追加料金の内容もわかりやすく記載されるようになってきた。それでも相変わらず古い体質を引きずっていて、「葬儀費用一式」とどんぶり勘定の見積書が出される例も後を絶たない。
そんな“好ましからざる”業者を見分けるポイントを、寺尾氏が次のように教えてくれた。
《焦らせる、危機感を煽る葬儀社》
葬儀の獲得を急いでおり、いろいろな理由をつけて決断を迫る。特に専門用語を多用して遺族を混乱させる業者には注意。
《十分な相談の時間を取らず、見積もりを出さない葬儀社》
具体的な金額を提示せず、なおかつ説明があやふやなのは、費用や内容に何らかの後ろめたいところがあるからだ。
《「世間体」「人並み」を強調する葬儀社》
「それでは故人が悲しむのではないですか」などと、半ば脅すような口調で費用をつり上げる手口だ。つまり“怪しい言葉”には気をつけろということ。
「平均」や「標準」といった“もっともそうな”話に惑わされず、遺族の思いや故人の遺志に沿った葬儀の形とはどういうものなのかを冷静に考えること。そして会場、会葬者などを精査し、予算を見積もることが重要なのだ。
参照元 : 週刊実話
おやじ雑学 最新版「お葬式」事情 〜遺族の負担を減らす7つ心得〜(3)
2014年07月03日 11時00分
自分の葬儀は自分で決める
最近「ゼロ葬」という葬儀一切を排除した形式が話題を集めている。しかし、本当にそれでいいのか、と寺尾氏は疑問を呈する。
なぜなら葬儀は亡くなった故人をしのぶとともに、遺族同士が「これからもよろしくお付き合いください」という御願いの場でもあるからだ。従って“一切お別れをしない”のでは貴重な挨拶の機会も失われてしまうし、気持ちの整理がつかない場合も少なくない。
「遺族の負担をできるだけ減らすためにも“立つ鳥、後を濁さず”の気持ちで、生前から『自分の葬儀はこうしてほしい』という意思を明確にしておくことです」と、寺尾氏は生前準備の重要性を強調する。
その心得は、七つある。
一、人間関係の「棚卸し」
葬儀には誰に来てもらいたいか、自分自身を中心にして「血縁」「地縁」「社縁」(会社の人間関係)など関係のある人を選び出し、ノートに記しておく。具体的には「必ず来てほしい人」「できたら来てほしい人」「御遠慮願いたい人」に分けてリストアップしておく。
この人間関係の整理は残された遺族の「安心」につながる。遺族が困ったときに、頼るべき人を見つける心のよりどころにもなるからだ。
二、葬儀社から事前に見積もりを取っておく
まず自分はどんな葬儀をしたいのか、できるだけ具体的にイメージしておく。大まかな輪郭、こだわりたい細部を描いた後、それを現実に当てはめて実現可能な形に修正し、葬儀社に相談する。このとき、複数から見積りを取ること。インターネットの『価格・com』で葬儀費用の比較もできる。
三、葬儀費用の確保
一般には冠婚葬祭互助会などを利用して葬儀費用を積み立てる手があるが、互助会も玉石混交なのでよく吟味することが大事。ネットや電話帳などで互助会制度のある近所の葬儀社を探すのがベストだが、葬儀社はたいてい会員獲得の説明会を開いているので、何社か回って直接話を聞くとよい。入会後から実際の施行までのサポートやフォローが充実しているところを選ぶことだ。
「自分に合う、合わないを判断するには、自分自身で知識を得て、目を養うことが大切です。駄目だと思ったら思い切って解約する勇気を持つことです」と寺尾氏。また、「少額短期保険」を利用するのも有効。これは一般の保険とは異なり、一定の事業範囲に定められた取引を行う保険で、葬祭費用を捻出するための保険もある。
寺尾氏が薦めるのは、例えば60歳代なら「年間7000円の保険料のプラン」。合計3口まで入ることができ、1口なら30万円、3口入れば合計90万円が支払われる。直接の葬儀費用だけでなく、入院費用の精算や仏壇・墓の購入費用、永代供養料まで使い道は自由。しかも、葬儀費用は保険会社から直接支払われるので、万一、故人の預金口座が凍結された場合でも安心だ。
四、どんな形の葬儀にするかを考えておく
一般の葬儀形態にこだわらず、お坊さんを呼ばない「無宗教葬」、生きているうちに営む「生前葬」、好きな音楽で送ってもらう「音楽葬」など、自分がどんな形で送ってもらいたいかを事前に記しておく。
五、遺品・遺産整理の準備
自分の財産総額、残しておくもの、捨ててよいものの目録を作っておく。家族の負担を減らすのが本当の愛情というものである。
六、葬儀を執り行う「祭祀継承者」を選んでおく
身近で信頼できる人を選び、「万が一のこと」を頼んでおくこと。ただしトラブルを避けるために、遺言などの公正証書にしておくことが大切だ。
七、家族のための『エンディングノート』
“もしも”の場合、家族が慌てなくてもいいよう、これらのことを『エンディングノート』などにきちんと記しておくこと。これで“人生の終幕”も安心だ。
参照元 : 週刊実話