過労死ラインの2倍となる月160時間を「適正」とし残業代ゼロ狙う榊原東レ会長が経団連会長に就任

2014年06月03日 18:52

keidanren

きょう経団連の第13代会長に、榊原定征・東レ会長が就任しました。 政府の産業競争力会議の民間議員でもある榊原定征・東レ会長は、今年4月22日に開催された「第4回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議」の中で、「残業代ゼロ法案・過労死促進法案」について次のように述べています。

「熾烈な国際競争の中で、日本企業の競争力を確保・向上させるためには、労働時間規制の適用除外は必要不可欠である。」

「提案の制度は、働く人が自らのニーズに合わせて、働く時間や場所を選べる。しかも、成果に応じた報酬を得られる制度で、子育てや介護をしながらキャリアアップを求める女性の活躍推進のためにも、極めて有効である。この制度の具体的な要件は、個別企業の労使自治に委ねることを基本に据えた上で、提案があったように、対象者に対しては、十分な健康確保措置を保障し、かつ、当面は過半数労働組合がある企業に限るということであり、適正な運用が可能である。細かい制度設計については、現場感覚のある労使の入った場で議論してもらえれば良い。新たな労働時間制度を年央の成長戦略に是非盛り込んで、制度化していただきたい。」

平成 26年第6回経済財政諮問会議

上記のように、榊原定征・東レ会長は、(「残業代ゼロ法案・過労死促進法案」の)「具体的な要件は、個別企業の労使自治に委ね」「かつ、当面は過半数労働組合がある企業に限るということであり、適正な運用が可能である」と明言しているわけですが、それでは、「個別企業の労使自治に委ね」た「適正な運用」の実際を、東レのケースで見てみましょう。

ref_s

上の表(株主オンブズマン代表・森岡孝二関西大学教授作成)にあるように、経団連の会長・副会長出身企業は、軒並み過労死ラインの月80時間をオーバーしています。

なかでも、東レは月160時間と突出した長時間労働で、なんと過労死ラインの2倍もの長時間労働を強いることが可能になっているのです。

合法的に過労死・過労自殺を認めている経団連の会長・副会長出身企業の中でも突出した長時間労働を強いている東レ会長の榊原定征氏が経団連の新しい会長になり、先頭に立って「残業代ゼロ法案・過労死促進法案」を狙ってくる事態になったわけです。

その他、榊原定征氏のこれまでの特徴的な言説を以下紹介しておきます。

▼法人税は引き下げ、消費税は引き上げよ

(経団連:次期会長一問一答 法人税率「25%に道筋を」 『毎日新聞』2014年6月3日付より)

――法人税の実効税率引き下げで政府に要望は。

「できるだけ早い時期に経済協力開発機構(OECD)諸国並みの25%に引き下げる道筋をつけ、来年度に具体的な引き下げが行われる形で進めてほしい」

――来年10月予定の消費税率の8%から10%への引き上げは。

「4月の増税でも経済は着実に克服できている状況だ。財政健全化などを考えると10%は不可欠だ」

▼原発は将来にわたって基幹エネルギー 早期の原発再稼働は極めて重要

(第2回産業競争力会議[2013年2月18日]議事録より)
第2回産業競争力会議議事要旨

エネルギー安全保障、環境への適合、経済効率性、国民生活の安全安心の確保の観点から、原発を将来にわたって、我が国の基幹エネルギーの一つとして位置付けることが必要。原子力規制委員会の安全基準が決定し次第、発電会社が安全対策を徹底させることを前提に、原発を早期に再稼働させることを、新たなエネルギー基本計画に明確に反映してほしい。原発の再稼働が停滞すると、電気料金の値上げ幅が倍以上になる可能性。これは経済成長を阻害する大きな要因となるため、早期再稼働は産業界にとっても国民生活にとっても極めて重要。

▼国際戦略特区の拡大活用で世界で一番企業が活動しやすい国

ビジネス環境世界一の実現を

(第4回産業競争力会議[2013年3月15日]議事録より)

産業の新陳代謝を促す総合特区について。政府が掲げる世界で一番企業が活動しやすい国、ビジネス環境世界一を実現するためには、現行の総合特区制度、特に国際戦略総合特区の拡大活用が最も有効かつ現実的な手段。現在7つの国際戦略総合特区が指定されているが、新産業の導入や既存産業の成長を真に促すような、シンガポールや韓国に負けないような国際競争力のある、大幅に規制緩和がされた総合特区を作るべき。

(byノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)

参照元 : 
BLOGOS

CI0003