NASA、7つの地球サイズ惑星を39光年先に発見 3つは生命存在可能

2017/2/23(木) 6:01配信

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これまでもさまざまな生命の存在が可能な惑星「ハビタブル惑星」が発見されてきましたが、今回はさらなる快挙です。NASAは2月22日、地球から39光年先の赤色矮星を周回する7つの地球サイズの系外惑星を発見したと発表しました。

この赤色矮星「TRAPPIST-1」を周回する系外惑星のうち、3つは表面に水の存在しうる「ハビタブル惑星」に相当。地球外生命体の存在の調査が期待されます。

今回の観測は、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)とNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡によって行われました。TRAPPIST-1のサイズは木星より少し大きい程度で、質量も太陽の8%しかありません。そして、その周りを7つの系外惑星が周回しています。

TRAPPIST-1は非常に暗い恒星で放出するエネルギーも少ないのですが、惑星が非常に近くを周回しているためにハビタブル惑星が存在しています。系外惑星はTRAPPIST-1に近いものから「TRAPPIST-1b、c、d、e、f、g、h」と名付けられ、恒星から太陽と水星の間に収まるほどの距離を周回しています。

TRAPPIST-1b、c、d、e、f、gは岩石からできており、そのうちb、c、dは恒星から近すぎて液体の水を保持するには高温すぎます。そこで、TRAPPIST-1e、f、gがハビタブルゾーンに存在することが判明したのです。また、これらの惑星には水の海が存在する可能性もあります。

今後、TRAPPIST-1とその系外惑星はハッブル宇宙望遠鏡、それに今後設置される欧州超大型望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって観測が予定されています。これだけ多くのハビタブル惑星が宇宙に存在するのなら、そのうちの1つぐらいには宇宙人がいてもおかしくないかもしれませんね。

参照元 : sorae.jp

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地球外生命はいる!? 土星の衛星に有機物が

2017/2/25(土) 21:00配信

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NASA及び東京工業大学 地球生命研究所(通称ELSI)の研究員である藤島皓介さんが、2月23日放送のTOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」にゲスト出演。ちょうどこの日、『地球に似た惑星を発見した』とNASAが発表したことから、さらに詳しく教えてもらいました。

とーやま校長「今日(23日)の朝方にNASAから発表されましたけど、これはどういうことなのですか?」

藤島「39光年先の宇宙に、地球によく似た太陽系外惑星が……真ん中に暗い太陽があって、その周りに地球とほぼ同じようなサイズの惑星が7つ見つかったんです。しかもそのうちの3つに、海(水)がある可能性がかなり高いということを発表しました。言い切ってはいないんですけどね」

とーやま校長「“海がある”というのは、どういうことなんですか?」

藤島「もともとNASAは“Follow the Water”といって、宇宙に行って生命を探したいんですが、その時に“水がどこにあるのか”っていうことにすごくフォーカスしてるんです。水がない所には生命も誕生しないだろうという前提があるんで、惑星の表面の水がちょうど液体として存在できる、太陽から程よい距離にある『ハビタブルゾーン』というのがあるんですけど……」

あしざわ教頭「暑すぎると干上がっちゃうし……」

とーやま校長「遠すぎると凍っちゃう」

あしざわ教頭「じゃあ、地球はすごくちょうどいい所にあるってことですね」

藤島「これは本当に感謝ですよ。そういう『ハビタブルゾーン』に入っている惑星が、なんと3つも見つかったんです!」

とーやま校長「この時点での高揚感は半端じゃないですよ。……それで『エンケラドス』って何ですか?」

藤島「今回の発表は、僕らの太陽系外にある恒星系で見つかったっていう話なんですけど、実は太陽系の中にも生命がいるのではないかということで、候補地がいくつかあるんです。たとえば、火星はかつて海をたたえていたと言われているので、過去の火星で生命が誕生していた可能性があるらしいし、氷衛星といって表面は氷なんですけど中に今でも海をたたえている衛星が、土星と木星の周りにいくつかあるんです。木星には『エウロパ』という衛星があり、そして土星には『エンケラドス』という小さい衛星があるですけど。土星探査機のカッシーニが、2005年にエンケラドスの近くを通った時に、“南極から何かが噴き出るぞ”と。どうやら海水が氷の裂け目を割って間欠泉のように宇宙に噴き出しているのを見つけたんですよ」

あしざわ教頭「映像としてとらえたんですか」

藤島「とらえたんですよ。で、これは半端ないよと。おそらく、中の海の成分が宇宙空間に噴き出ているんですね。しかもその成分を調べたら、海水の成分である塩とか有機物が見つかったんです。今、この有機物は何なのかという話になっています。なのでひょっとしたら、そこに生命がいるかもしれないんです。あるいは、生命になる途中の何らかの有機物が、複雑になって進化する(化学進化)途中のフェーズにいるかもしれないんです」

とーやま校長「本当にめちゃめちゃ小さい何かがいる?」

藤島「かもしれないです。実際に行って、採って調べたいんですよ。今、そういうプロジェクトに関わっています」

とーやま校長「それはどれぐらいの年数をかけて、採って研究できそうなんですか?」

藤島「探査機を飛ばすと、おそらく片道7年ぐらいかかるんですね。だから、7年ぐらいかけて到達して、エンケラドスのプリューム(噴き出ているもの)のサンプルを採って、あわよくばその場で分析して、あるいはサンプルリターンをして地球に持って帰りたいです」

とーやま校長「地球に持って帰ると何がいいんですか?」

藤島「詳細に分析できるんですよ。探査機に搭載できる機器は限られているんで、持って帰ればもう少し詳細に調べられます。ただもし仮に生命がいた場合、それを地球に持って帰る途中に地球の大気で爆発して“あれ、サンプルなくなっちゃって、しかもひょっとしたらエンケラドス生命で地球を汚しちゃった?”みたいな可能性もあるので」

あしざわ教頭「そんな危険が!?」

藤島「これは、惑星保護(planetary protection)って概念があって、ちゃんとそういうところをどうやって守っていくかっていうのも考えなくちゃいけないんです」

とーやま校長「すごい話ですね。そういうことも決められてるんだ」

あしざわ教頭「何が起こるかわからないってことですね」

とーやま校長「今の段階で、どれぐらいの確率なんですか?」

藤島「そこはわからないんですけど、確率を出すために僕ら以外の生命を見つけたいんですよね。結局、今宇宙でわかっている生命って僕らだけじゃないですか。地球生命以外の生命体が太陽系の中で見つかった瞬間に、おそらくこの宇宙は生命で満ち溢れています」

あしざわ教頭「逆を言うと、その最初の1個がなかなか見つからないってことなんですよね」

藤島「そうなんですよ。宇宙も広大ですし地球のような惑星もいっぱいありますから、ひょっとしたらそこで生命が誕生しているかもしれません。ただ、知的生命になるかどうかって言ったらまた別ですから」

とーやま校長「そこまでの進化を遂げるかっていうのは、わからないんですね」

【藤島皓介さん】
1982年生まれの34歳。慶應義塾大学SFCを卒業後、2011年からアメリカ航空宇宙局・NASAに勤務。“アストロバイオロジー”の研究を続け、2016年からは、東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)に所属。現在もNASAの客員研究員を務めていて、1年の前半は日本、後半はアメリカで活動している。

参照元 : TOKYO FM+