SFの世界が現実に、米が「空中空母」開発…無人機の発射・回収、空中給油で「戦闘の形」が変わる

2014.12.25 17:00
 
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SFの世界だけに存在すると思われていた「空中空母」の開発に、米国防総省高等研究計画局(DARPA)が乗りだし、話題となっている。まだ大学などの研究機関にアイデアを募集している段階だが、戦闘機の給油や無人機の発射・回収を可能にする空中空母が実現すれば、「戦闘の形」を大きく変えるのは間違いない。映画やゲームの世界でおなじみの超兵器「空中空母」は本当に実現するのか。(岡田敏彦)

空中から「出撃」

飛行中の戦闘機がミッションを受けた後、陸上基地に着陸せず、空中空母に着艦して燃料とミサイルを補給し、再出撃する−。空中空母といえば、ゲーム「エースコンバット」(バンダイナムコゲームズ)に登場する空中要塞や、米映画「アベンジャーズ」で活躍した、既存の空母の周囲四カ所に上昇用のエンジンを付けたものなどが思い浮かぶが、DARPAが開発するのは、こうした空母とは少し趣きが異なる。米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、RQ−4グローバルホークやRQ−1プレデターといった無人機用の母艦で、大量の無人機の発射、回収が可能というものだ。

その目的は、「無人機の活動可能範囲を広げることによって、経費の削減とパイロットの飛行事故や被撃墜などのリスクを減らす」(DARPA)というもの。

グローバルホークは偵察用カメラや通信傍受機能を持ち、高度約1万8千メートルを30時間以上にわたり飛行する。操縦は米国本土から衛星経由で可能とされ、航続距離(片道)は約2万2千キロに及ぶ。

このグローバルホークは偵察用だが、無人機にはプレデターにヘルファイア対戦車ミサイル搭載して発射能力を持たせたMQ−1、いわゆる武装プレデターも存在し、アフガニスタンやリビアで実戦投入された。そうした運用で得た課題を洗い出した結果が、「より遠く、より長時間」の飛行を可能とするための空中空母プロジェクトにつながったとみられる。

アイデア募集

ところで、DARPAが求めている空中空母は、SF作品に登場するようなものでもなければ、現在の空母を小型化して空を飛ばすようなものでもない。実現に向け募集するアイデアには条件がある。

まずは、開発コストの低減のため、既存の大型航空機を改造して製造できること。さらに必須能力として無人機の発射(射出)と回収が可能なこと。つまりは、C−130輸送機など現在米軍が持つ大型航空機を改造して、4年以内にデモ飛行が行える計画を提出せよというものだ。

そんな条件だから、実現したとしても空中空母に“斬新な見た目”は期待できないかもしれない。むしろ求められているのは外形ではなく、無人機回収のための遠隔操作や誘導システムともとれる。既存の航空機を改造した空中空母に近いものは、これまでにも開発されてきたが、DARPAはそれらを超える奇抜な発想を求めているのは間違いない。

親子飛行機

さかのぼれば、第二次大戦前の1933年、米海軍は飛行船Macon(メイコン)を開発した。内部に複葉(2枚羽)の戦闘機スパローホークを5機も搭載できる画期的な大型の飛行船で、任務は偵察。長距離を飛べるが速度の遅い飛行船と、航続距離は短いが速度のある戦闘機との「良いとこどり」だったが、コストや安全性の問題から飛行船そのものが時代とともに姿を消した。

その後、「親子飛行機」という構想が生まれる。大型機に小型機を収容するか結合する方式で、イギリスでは大型飛行艇の翼の上に複葉機ブリストル・スカウトを載せて実験したとの記録がある。旧ソ連では、戦闘機の航続距離が爆撃機に比べて短く、爆撃機を守れないという問題を解決するため、TB−1双発爆撃機の翼上面左右にI−4戦闘機を1機ずつ載せた「Z−1」などZシリーズを開発した。しかし、スターリンによる大粛正で関係者が処分され、計画は立ち消えに。

戦後の発達と消滅

第二次大戦では爆撃機He111がクルージングミサイルの始祖ともいえるV1飛行爆弾を搭載し空中発射したが、これは大型ミサイルの搭載・発射であり、親子戦闘機とは性質が異なる。

再び親子戦闘機構想が現れるのは戦後で、米国の大型爆撃機B−36ピースメーカーが爆弾倉に戦闘機XF−85ゴブリンを埋め込む形で搭載する実験を実施。後には偵察機RF−84サンダーストリークを搭載するGRB−36として10機が生産されたが、最終的にはこうした「親子飛行機」とも「パラサイト・ファイター(寄生戦闘機)」ともいわれた構想は途絶える。空中給油の技術が発達したためだ。

こうした歴史を振り返ると、DARPAが必用としている空中空母計画では、無人機の空中給油を可能とする誘導方式と、回収をどうするかが最大の課題といえそうだ。

日本でも対中戦略の一環に?

防衛省では22日、機種選定中だった航空自衛隊の新早期警戒機について、現行のE−2Cの発展型のE−2Dの採用を決定。同時に無人偵察機としてグローバルホークの導入を正式決定した。18年度までの中期防衛力整備計画でグローバルホーク3機を導入することとなり、南西諸島の監視にも使われる見込み。

滞空時間の長いグローバルホークだが、日本では整備の関係上、青森県三沢基地に配備する予定だ。本土、青森から遠く離れた尖閣など南西諸島をカバーすることを考えれば、将来的には日本でも「空中空母」導入の動きが出てくるかもしれない。(11月25日掲載)

参照元 : 産経新聞

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