個人情報保護法改正へ 2015年初頭に法案提出

2014/2/28 23:00
 
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内閣官房は、個人に関する情報「パーソナルデータ」の取り扱いについて法改正を検討する「パーソナルデータ関連制度担当室」を2014年3月1日に設置する。室長には内閣情報通信政策監(政府CIO)の遠藤紘一氏が就く。

政府はこれまで、内閣官房、総務省、経済産業省を事務局とする「パーソナルデータに関する検討会」を開催、2013年12月20日に「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」を決定した。

今回の担当室は、検討会ではオブザーバーだった消費者庁の職員などを加え、内閣官房内に10人強の体制で発足。決定した見直し方針に基づき、2014年6月までに個人情報保護法改正案の大綱をまとめる。パブリックコメントを経て、2015年初頭に通常国会へ改正案を提出する計画だ。

改正案では、データを第三者提供する際の本人同意原則の例外規定や、行政処分権限を持つ第三者機関の設置、データの保護水準が十分でない他国へのデータ移転制限などが盛り込まれる見通しだ。

データ移転制限については、企業から「氏名や住所の入力を中国企業にアウトソースするようなケースで、手続きが必要以上に煩雑化しなければいいが」などと心配する声も挙がっている。

(日経コンピュータ 浅川直輝)

参照元 : 日本経済新聞


今、注目が集まる、個人情報保護法改正の動き

弁護士(小笠原六川国際総合法律事務所)
東海大学法科大学院教授
六川 浩明

第1回個人情報保護法の改正動向(1) 
 
昭和39年にプライバシー概念が東京地裁判決に登場した以降、プライバシー侵害は民事事件においては、民法上の不法行為又は国賠法に基づく損害賠償請求訴訟の請求原因として、名誉毀損と並び、しばしば取り扱われてきました。

平成15年9月12日最高裁判決は、プライバシーに係る情報の適切な管理についての合理的な期待を裏切った行為はプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成すると判示し、平成20年3月6日最高裁判決は、「個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由」は憲法13条によって保護されると判示しました。

平成17年より我が国で施行されている個人情報保護法は、新しい法的概念である個人情報・個人データ・保有個人データに含まれるものは何かという論点、及び、個人データを第三者に提供する際の許容要件の射程範囲という論点を中心として、混乱を惹起し、いわゆる過剰反応が社会問題化してきました。
 
また、我が国の個人情報保護法は、1980年のOECD8原則を踏まえ、1995年UEデータ保護指令25条及び26条に定める個人データの第三国移転の十分性基準を目指したものであったはずであろうが、結果としてEUは、日本の個人情報保護法制は当該十分性の基準を充足していないと判断しています。
 
ある識者は、我が国の個人情報保護法制度は、外圧への対処という点で失敗し、国内における適用の場面でもさまざまな過剰反応を生みむしろ必要な情報が共有されない事態を生んだという点で、二重の失敗だったと評価しているほどです。

個人情報保護法は今後改正される方向であり平成26年6月までに法改正の内容が大綱として取りまとめられ、平成27年通常国会への法案提出を目指すとされています。

個人情報保護法の改正の在り方については、通則法を改正せずに医療等の個別法を制定するという議論がありましたが、通則法それ自体を改正する方向であれば、医療等の個別法を制定する必要性は高くなくなるかもしれません。
 
保護されるパーソナルデータの範囲については、実質的に個人が識別される可能性を有するものとし、個人が特定される可能性を低減した個人データについては、個人情報及びプライバシーの保護への影響に留意しつつ、第三者提供における本人同意原則の例外として新たな類型が創設され、新たな類型に属するデータを取り扱う事業者が負うべき義務等が法定される予定です。
 
一方、ビッグデータ等を利用することによる個人情報及びプライバシー保護の要請もさらに高まることが想定されることから、プライバシー性が極めて高いセンシティブデータについては新たに類型が設けられ、その特性に応じた取り扱いがなされる予定です。

参照元 : NIKEI

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