TPP 国会承認求める議案と関連法案 閣議決定

2016年3月8日 10時16分

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政府は8日の閣議で、日本が輸入する農林水産品などの95%の関税を撤廃することなどを明記したTPP=環太平洋パートナーシップ協定の国会承認を求める議案と、協定発効後の農家への支援策などを盛り込んだ関連法案を決定しました。

TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡って、日本やアメリカなど参加12か国は先月、協定文書に署名し、協定の発効に向けて国内手続きを進めることになっています。

TPP協定には、日本が輸入する農林水産品や工業製品など9321品目のうち、95%に当たる8862品目で関税を撤廃することなどが明記されていて、政府は8日の閣議で、協定の国会承認を求める議案と、関連する11本の法律の改正事項を1本の法案に取りまとめた関連法案を決定しました。

このうち関連法案には、協定発効後、牛肉と豚肉の生産者が赤字経営になった場合に、赤字額を国と農家で作る積立金を使って補填(ほてん)する制度を法制化し、補填割合も引き上げる内容などが盛り込まれています。

また、音楽や書籍などの著作権の保護期間を著作者の死後50年から70年に延長することや、営利目的で著作権を侵害した場合には作者などの告訴がなくても起訴できる非親告罪の対象にすることなどが明記されています。

政府は議案と関連法案を今の国会に提出し、速やかな承認と成立を目指すことにしています。閣議で、安倍総理大臣は「TPP協定は、21世紀型の新たな共通ルールをアジア太平洋地域に作り上げ、自由で公正な1つの経済圏を構築する試みだ。人口8億人という巨大市場を作り出すアベノミクスの成長戦略の切り札だ」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「早期の協定の発効と関連法案の成立を目指したい。重要なことは国民の支持を得ることであり、法律案の趣旨を理解いただけるよう、国民に分かりやすく説明する努力をお願いしたい」と述べました。

また、菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で「ニュージーランドでの署名式の際にも、発効に向けて各国が責任を持って国内手続きを進めていく必要性が確認された。わが国が率先して動くことで、協定の早期発効に向けた機運を高めていきたい」と述べました。
 
参照元 : NHKニュース




TPP法案が閣議決定 輸入関税95%撤廃、4月に審議入り

2016年3月8日 夕刊

政府は八日、環太平洋連携協定(TPP)の承認案と、関連十一法の改正事項を一括した「TPPの締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」を閣議決定した。今夕にも衆院に提出し、今国会での協定承認と法案成立を目指す。

協定が発効すれば、日本は輸入関税に関し農林水産物や工業品を合わせた貿易額ベースで95%を撤廃する。関連法の改正案には、著作権保護期間の延長や畜産農家への支援策を盛り込んだ。

今後、衆参両院にそれぞれ特別委員会が設置され、四月に衆院から審議が始まる見通し。TPPは予算案審議後の後半国会の焦点になる。

安倍晋三首相は八日の閣議で「重要なことは国民の支持を得ることだ。分かりやすく説明する努力を関係閣僚にお願いしたい」と述べた。菅義偉官房長官が記者会見で明らかにした。法案担当の石原伸晃経済再生担当相は閣議後の記者会見で「わが国が率先して動き、早期発効に向けた機運を高めたい」と強調した。

TPPは太平洋周辺地域の十二カ国が参加し、貿易と投資の自由化に加え、サービスや知的財産などのルールを決める包括的な経済連携協定。国内総生産(GDP)で世界の約四割を占める巨大経済圏をつくる。

日本はコメの輸入枠を新設し、牛・豚肉の関税を大幅に引き下げる一方、農林水産物・食品の輸出を拡大したい考えだ。

法案は、各国が合意した内容に国内法を合致させるために改正するものと、関税削減で特に大きな打撃を受けるとされる畜産農家の新たな支援策などが盛り込まれている。具体的には、音楽や書籍の著作権保護期間を作者の死後五十年から七十年に延長するほか、営利目的の著作権侵害を告訴なしで摘発できる「非親告罪」とする。商標の不正使用に対する損害賠償の規定強化も盛り込んだ。

農業対策では、牛・豚肉の畜産農家が赤字になった場合に交付金で補填(ほてん)する経営安定対策を法制化する。地域ブランドを諸外国と相互に保護する制度も導入する。

国会では、TPPの経済効果や、農産物の関税撤廃が国内農家に与える影響などを本格的に議論する。民主党などは参院選もにらんで徹底した審議を求めていく方針だ。

参照元 : 中日新聞