放射能汚染と糖尿病の激増〜相次ぐ「突然死」の裏で何が起こっているか

2015年12月1日

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この記事の狙いの1つは、著名人が立て続けに亡くなっている原因を「心不全」の一言で片づけてしまうマスコミ情報に注意を喚起することです。今回、私は縁あって、東京の有名病院の内科医から多くのことを聴くことができました。

この記事では、多くの著名人たちの「突然死」や「不意の死」を、自分とは無関係だと思い込んでしまうことによって、多くの人たちが生命に影響を及ぼすような重大な病気になってしまったときに、手遅れになってしまう危険性について指摘したいと思います。

それを「血糖の異常」からアプローチしたいということです。さらに、呼気や食べ物によって、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質や、プルトニウムのホットパーティクルなどの「放射能を周囲に放散し続ける」放射性の超微粒子を体内に取り込んでしまったことによる糖尿病の発症について考えてみたいと思います。(『カレイドスコープのメルマガ』)

我が国の「核医学」は国民を守るためにあるとは言えない

「多臓器不全」という死因の裏側にあるもの

11月20日午後、日本相撲協会理事長・北の湖親方が急逝したというニュースが飛びこんできました。

同じ20日の朝、貧血のため病院に救急搬送されたということでしたが、関係者によると「意識は、はっきりしている」ということだったので、相撲ファンは、ひとまず安心したことでしょう。

しかし、その日の夜、突然舞い込んできた訃報に、どのマスコミも、「巨星墜つ」の大見出しを掲げ、角界のひとつの時代が終わったことを告げたのです。

北の湖理事長の病状が、実はかなり深刻であると報じられたのは、一昨年の暮れのことでした。

大腸にできたポリープを切除するために入院したまま、いつまで経っても復帰の声が上がってこないことに、マスコミは、「どうしてこんなに入院が長引いているのか」と、親方の重篤な病状を悟ったのです。

復帰の声の代わりに上がってきたのは、「北の湖理事長は、2年前(2012年)の2月に直腸がんの手術を受け、一時は人工肛門もつけていた。去年の夏場所も体調を崩して一時入院している。糖尿病の持病もあり、こうした一連の流れをみると、相当悪いんじゃないか」と心配する関係者の声でした。

結局、死因は「直腸がんによる多臓器不全」ということになりました。しかし、これは本当の原因ではありません。

それはそうと、去年あたりから、“天寿を全うする”には、あまりにも若い年齢で、有名人がバタバタと畳みかけるように亡くなっています。これは、どの角度から見ても異常事態です。

主だったところだけでも、以下のようになります。(こちらから抜粋)

【2015年11月死去】
・11.15 俳優阿藤快 「心不全」 69歳
・11.17 新潟市議遠藤哲 「肝細胞がん」 65歳
・11.19 ロックバンドnurmutt沼田祐揮 「急性白血病」 29歳

【2015年10月死去】
・10.1 造形作家内田恭輔 「脳出血」 37歳
・10.10 TVレポータ猿渡ゆか 「心不全」 35歳
・10.16 元プロ野球盛田幸妃 「脳腫瘍」 45歳
・10.22 漫画家宮田紘次 「高血圧性脳出血」 34歳
・10.26 茨城阿見町議・藤平竜也 「心筋梗塞」 43歳
・10.27 声優松来未祐 「急性肺炎」 38歳
・10.28 パントマイマー本多愛也 「くも膜下出血」 52歳
・10.30 俳優戸井田稔 「静脈瘤破裂」 63歳

【2015年9月死去】
・9.2 声優斉藤瑞樹 「肺動脈血栓」 41歳
・9.19 フリーアナウンサー黒木奈々 「胃がん」 32歳
・9.23 阪神GM中村勝広 「急死」 66歳
・9.24 川島なお美 「胆管がん」 54歳
・9.24 samfree佐野貴幸 「内因性の急死」 31歳

【2015年8月死去】
・8.2 音楽プロデューサ鈴木健士 「急性心不全」 54歳
・8.4 写真家天野尚 「肺炎」 61歳
・8.5 慶大野球部前監督竹内秀夫 60歳
・8.8 しまむら執行役員山田康治 「低酸素脳症」 58歳
・8.9 前財務事務次官香川俊介 58歳
・8.12 俳優/舞台演出家加藤和久 42歳
・8.13 ピン芸人相原慎吾 「くも膜下出血」 31歳
・8.13 スターダストプロモーション渡辺孝行 33歳
・8.16 大伸化学専務遠藤裕良 57歳
・8.18 漫画家紺野比奈子 「急性心臓疾患」 30代
・8.18 前国分寺市議楠井まこと 「くも膜下出血」 38歳

【2015年7月死去】
・7.4 芸術家櫻井りえこ 「癌」 38歳
・7.8 ぬいぐるみアーチスト佐藤佳代 35歳
・7.11 任天堂社長岩田聡 「胆管腫瘍」 55歳
・7.12 『膝の皿ジャック』大江悠太 「突然死」 22歳
・7.12 「パドリスタ」渡辺拓雄 「急性心不全」 35歳
・7.13 C-C-B渡辺英樹 「多臓器不全」 55歳
・7.19 黒色エレジーKyoko 50代?
・7.19 トランザム高橋のぶ 65歳
・7.23 人気ボカロP椎名もた 20歳
・7.23 元キャスター上田昭夫 62歳
・7.27 大戸屋HD会長三森久実 「肺がん」 57歳
・7.28 長唄三味線稀音家六四郎 「食道がん」 58歳
・7.28 仮面ライダー555泉政行 35歳
・7.30 ギタリスト佐藤正美 63歳
・7.30 東京音大教授海老原直美 「急性骨髄性白血病」 66歳
・7.31 画家中園孔二 23歳
・7.31 テクノアソシエ会長・橋本修 「肺がん」 65歳

以上はほんの一部ですが、マスコミ発表では、「食道がん」「肺がん」などのガンの他、「急性心不全」「心筋梗塞」「急性心臓疾患」「多臓器不全」…という病名が直接の死因とされています。

特に、30歳代の「くも膜下出血」が多いのは注目に値します。

しかし、「心不全・腎不全・呼吸不全」といった病名は、病態を表していない場合が多く、たとえば、長期間の抗がん剤投与の末、その副作用と衰弱によって死亡したとしても、「心不全」とマスコミ発表される場合がままあるので、正確な意味では「病根」を示しているとは言えません。

北の湖理事長の死因も、「直腸がんによる多臓器不全」ということに落ち着きそうですが、これでは何も分かりません。まず、北の湖理事長の場合も、他の力士と同様(それは、力士の職業病と言える)、糖尿病の持病を持っていた、という点に注目する必要があります。

<中略>

さて、ここからは慎重に話を進めていきたいと思います。この記事の狙いの1つは、著名人が立て続けに亡くなっている原因を「心不全」の一言で片づけてしまうマスコミ情報に注意を喚起することです。

寄せられ続けている「突然死」の報告

今回、私は縁あって、東京の有名病院の内科医から多くのことを聴くことができました。この記事では、多くの著名人たちの「突然死」や「不意の死」を、自分とは無関係だと思い込んでしまうことによって、多くの人たちが生命に影響を及ぼすような重大な病気になってしまったときに、手遅れになってしまう危険性について指摘したいと思います。

それを「血糖の異常」からアプローチしたいということです。

さらに、呼気や食べ物によって、セシウムやストロンチウムなどの放射性物質や、プルトニウムのホットパーティクルなどの「放射能を周囲に放散し続ける」放射性の超微粒子を体内に取り込んでしまったことによる糖尿病の発症について考えてみたいと思います。

このメルマガは、多くの医師の方々にもお読みいただいており、メールなどで情報交換をさせていただくほか、実際にお会いいただいて、私たちが日ごろ知りえない情報などもお聞かせいただいております。これからも、そうした機会はいくたびか訪れるでしょう。

しかし、私は、それを記事にすることはありませんでしたし、これからもないでしょう。私にとって必要なことは、「これから何が起こるのか」、それを推考する糸口や視点です。

それによって、多くの人たちに警告を発することができるからです。

残念ながら、医師や研究者に、それを望むことは期待できません。その医師のスキルや立場にもよりますが、総じて彼らがおかれている環境は、ある意味では過酷なもので、その上、国家の医療行政の枠組みからはみ出してしまうことは、白衣を脱がされることを意味するからです。

この国の医療行政は、明らかに「核戦略」とリンクしています。それを推進している実体が「財閥」であることは言を俟つまでもないことです。必然的に、この国の「核医学」は国民を守るためにあるとは言えない、ということになります。

また、現場の医師たちのほとんどは、核・放射能の知識から遠ざけられています。放射線の内部被曝によって、今後、発症するであろう病気に対処するためには、最低限の知識と自己管理、この2つに尽きるわけです。

そして、病気についての、いままでと違った想像力も…。

医師たちこそ持病を持っているのではないかと思ってしまうほど疲れ切った顔を思い浮かべると、まず先にお断りしておかなければならないことがあります。この記事は、すべての医療関係者の方々に満足していただくことはできない、ということです。反対に批判を浴びることもあるでしょう。

また、それ以外の一般の読者に方々に対して、専門の医療情報を提供するものでもない、ということです。

しかし、かなり控えめに言っても、「ある確信」を持って、今後の命にかかわるような重大な可能性を浮き彫りにする記事であると言えると思います。

可能性を浮き彫りにするものですから、この記事について評価したり批判するより先に、「あなたの健康と命」の問題について、まずは考えてみてください、と強調したいと思います。これは専門の医師の方々についても同様です。

3.11の巨大地震に引き続いて起こった世界最大にして世界最悪の放射能災害によって、特に、東北、関東の人々は重大な内部被曝のリスクに晒され続けています。それは、身近な人々の「突然死の報」によって、いっそう脅威を増しています。

2011年3月15日、確かに東京の空にはチェルノブイリ事故のときの数百倍、数千倍の放射性物質が舞っていたのです。

平成23年12月26日、東京都の産業労働局が発表した「ごくごく控えめな」公式データによれば、「東京都民は、2011年3月の1ヵ月間だけで3600ベクレルもの放射性物質を吸入摂取している」ということです。埼玉県、千葉県は言うに及ばず。

もちろん、内勤と外勤の別によって被曝線量は異なってくるでしょう。いずれにしても、健康被害を及ぼすほどの内部被曝をしていることは厳然たる事実として受け止めなければなりません。それを国は「問題ない」としているだけのことです。

事実、私のところに寄せられるメールは、身近な人がまた1人、また1人と心筋梗塞による突然死や脳梗塞、肺がんなどで亡くなった、という報告です。

彼らは、以前から情報交換している人々ですから、その報告に疑いの余地はありません。読者の方々とは実際に面識のある方々もいるのですが、その人たちの何人かは、「とうとう私もがんと診断された」と言います。ほぼ40歳代の人たちです。

内部被曝の第2ステージ「ストロンチウム90による臓器不全」

原発事故から5年。原発問題を扱っているウェブサイトの管理人たちは、チェルノブイリ原発事故の例に照らして、「そろそろがんや白血病が爆発的に増えるだろう」と見立てています。

福島の現状を見るまでもなく、実際に現実はそのとおりになりつつあります。

しかし、本当の問題は、がんや白血病、あるいは白内障だけではない、ということなのです。

チェルノブイリ原発事故後、もちろん心筋梗塞による突然死が一気に増えたことは事実ですが、むしろ急激に増えたのは、「脳梗塞、脳溢血、クモ膜下出血」などの脳血管疾患による「死」です。ウクライナでは、子供の脳梗塞が顕著に増えたとの報告があります。

さらに重要視しなければならないのは、やはりチェルノブイリ原発事故後、糖尿病が急激に増えたことです。北ウクライナとベラルーシのゴメリ地域では、1998年、過去最高の糖尿病発症率を記録したことです。

2012年5月16日の東京新聞の夕刊に、「母子に心のケア 専門医充実して 福島に通う小児心療医の叫び」という記事が掲載されました。その記事に、福島県須賀川市にある公立岩瀬病院の三浦純一院長のコメントが載っています。

「須賀川市内の仮設住宅で実施した健康診断では、小学生以下の子ども10人のうち6人が糖尿病だった。異常事態。運動不足やストレスなどが原因ではないかと懸念する」というものです。

三浦院長は外科医で、糖尿病が専門ではありませんが、公立病院の院長の立場で福島の児童に異常な確率で糖尿病が発症していると証言したことは大きな意味があります。

すかさず原子力ムラの宣伝機関は、この記事を取り上げて、「精神的ストレスが直接的な原因ではないとしても、ストレスによって生活習慣が乱れると、2型糖尿病のリスクが高まることがある」と結論付けています。これでは、素人の一般論の域を出ません。

糖尿病の種類には、1型と2型があります。

1型糖尿病は、糖を筋肉などに取り込む際の媒介役となるインスリンが、膵臓(すいぞう)のβ細胞(ベータ細胞)がウィルスなどによって破壊されてしまうことによって膵臓からまったく分泌されないか、絶対量が足りなくなってしまうため、常に血液が高血糖の状態になってしまうという病気です。

そのため、さまざまな合併症を発症しないように、基本的には生涯、インスリン注射によって外から足りない分を補わなくなはならないタイプです。

ただし、1型の糖尿病患者は、糖尿病患者全体のわずか5%程度で、遺伝的素因が影響していると言われています。

残りの糖尿病患者全体の95%は2型糖尿病で、いわゆる生活習慣病といわれる典型的な病気です。高カロリーの食事を続けたり、不規則な生活を長い間、続けることによって、いずれは程度の差はあれ、誰でもがなってしまう病気です。

表面化しないのは、自覚症状がないため、本人が病院に行って検査をしないこともあるのですが、「病気」と診断するにはまだ距離があるためです。いわゆる、日本は「糖尿病予備軍」でイモ洗い状態だということです。

こうした点からいえば、2型糖尿病は「病」というより、悪い生活習慣が原因となってあらわれる「症候群」という言い方のほうが適切なのかも知れません。ですから、2型糖尿病は、10歳以下の子供には発症しないというのが定説になっています。

「ストレスが糖尿病発症の主原因となる」という説は信用できない


さて、福島の児童に異常な確率で糖尿病が発症していることは事実です。これが、放射能に起因する病気ではないと、必死に打ち消すだけの根拠はまったくありません。

こうした“火消し機関”でさえも、

「避難によって子どもたちの生活環境が一変し、その結果2型糖尿病の危険因子を抱えてしまうことは充分にあり得ます。そのような状況の中、極端なケースとして小学生以下でもHbA1cの値が高くなったのかもしれません」

と前置きしながらも、

「放射線被ばくによって膵臓の機能が低下することはありますが、致死量をはるかに超える線量を膵臓が集中的に受けない限りそのような事態にはならないため、今回のケースはそれには該当しません」

と結んでいます。

まず、仮設住宅に移り住んで生活環境が劇的に変化したことが発端となって、ある子供は心因性ストレス障害で、ある子供は運動不足によって2型糖尿病になったと結論付けることができる医学的な根拠はどこにもありません。

私が直接、何度も会話した実績のある糖尿病の専門医たちは、「ストレスが血糖値を上げる一因として作用することは否定はしないが、その影響はごくわずかである」と言っています。また、私自身、過度なストレスをかけて仕事をしましたが、血糖値に変化はありませんでした。

こうしたことから、ストレスが糖尿病発症の主原因となる、という説は、とうてい信じられるものではありません。つまり、「嘘」であると断定して間違いではありません。

それより、放射能が病気の原因だとする説を、ことごとく否定する(「いわゆる」)専門家みずからが、「放射線被ばくによって膵臓の機能が低下することはあるし、致死量をはるかに超える線量を膵臓が集中的に受ければ糖尿病になる」と言明していることのほうが重要なのです。

放射線被曝は、外部からの照射による被曝であろうと、食べ物や自らの内部被曝によるものであろうと、膵臓の機能を弱らせてしまう、ということは少なくとも確かめられている、ということです。

この“火消し機関”は、「致死量をはるかに超える線量を膵臓が集中的に受ければ糖尿病になる」と言っていますが、「致死量をはるかに超える線量」などを浴びてしまえば、糖尿病を発症する以前に死んでしまうので、まったくナンセンスな話です。

「格納容器は壊れないし、プルトニウムは飲んでも大丈夫」と公の場で広言して会場に来ていた人々を騙した東大の教授(※リンク先はYouTube動画)がいましたが、これはネズミ、イヌのような寿命が2年から10年の動物で行われている動物実験の結果から言ったのであって、平均寿命が80年の人間の場合であれば重大な結果引き起こします。これと同じことです。

日本人の膵臓がんは戦後12倍。核実験と膵臓の病気はシンクロしている

アーネスト・スターングラス(Ernest Joachim Sternglass)という著名なアメリカの物理学者が、今年の2月、91歳で亡くなりました。

冷戦時代の核実験によって世界中に降り注がれた放射性降下物と、原発から出て来る放射性廃棄物による人体への健康被害について、広範な疫学調査を行い、議会の公聴会に証人としても呼ばれた学者です。

スターングラス博士の死はNYタイムズなど多くの主流メディアで報じられたほど、アメリカの核行政に大きな衝撃を与えました。彼は、1960年代から、核実験や原子力発電による低レベル放射能の影響を訴えて続けて来た、反原発の立場を取る数少ない科学者の1人でした。


アーネスト・スターングラス
ベルリン生まれ。両親はユダヤ人の物理学者。1938年、ドイツを離れる。16歳で高校を卒業しコーネル大学に入学。国防省海軍兵器研究所en::Naval Ordnance Laboratory、ウェスティングハウス社のWestinghouse Research Laboratory に勤務、多数のプロジェクトに関わった。

1967年からピッツバーグ大学の放射線物理・工学研究所を指揮し、放射線画像診断における線量を低減させる新しい投影技術の開発をした。また、核実験による放射性降下物と原子炉からの放射性廃棄物による人体の健康、特に発達中の胎児や幼児への影響について広範な疫学調査を行なった。この結果をもとに、アメリカ合衆国議会、米国科学アカデミー、州議会、政府の規制当局での公聴会の証人として証言した。

元ピッツバーグ大学医学部放射線科名誉教授。専門は放射線物理。

出典:アーネスト・スターングラス – Wikipedia

そのスターングラス博士が、2006年の2月、初来日し、青森県の六ヶ所村の核再処理施設を視察した後、青森市で講演を行いました。そのときの記録が残されています。

※「放射線と健康」アーネスト・スターングラス博士

その講演記録の、【スライド13】から【スライド19】の7ページにわたって、糖尿病の増加と放射線被曝との関係について解説しています。上のリンク先を読んでいただければいいのですが、非常に重要なので、あえて、以下に、その要点部分を抜粋しておきます。

【スライド13】


世界中の政府や国際原子力安全委員会などは「放射能による影響はガンと子どもの先天性障害だけだ」とみなさんに信じ込ませようとしています。しかし実はさまざまな面で健康に影響を及ぼしているのです。

乳児死亡率や低体重児出産のほかに糖尿病があります。

1981年から2002年の間に、アメリカの糖尿病罹患者は580万から1330万に増加しました。それと同時に、原子力発電所の稼働率は40~50%から92%に増大しています。(注:アメリカ国内の原子力発電所の建設は1978年以来ないので稼働率が発電量を反映する)

……1959年、ドイツのスポーディ博士などのグループが、ストロンチウム90をたくさんの実験動物に与えました。それらは当初、カルシウムのように骨に蓄積すると予想されていたのですが、実験室がイットリウム90のガスで充満していることを発見しました。

イットリウム90は、ストロンチウム90の核から電子がはじき出されると生成する元素です。このようにストロンチウム90からイットリウム90に変換します。

そこで実験動物の内蔵を調べた結果、ほかの臓器に比べて膵臓にもっともイットリウム90が蓄積していることが判明しました。

また、肺にも蓄積されていましたが、それはラットの肺から排出された空気中のイットリウム90をまた吸い込んだためだと考えられます。

膵臓は、そのランゲルハンス島という場所にあるβ細胞(ベータ細胞)からインスリンを分泌する重要な臓器です。それがダメージを受けると2型糖尿病になり、血糖値を増大させます。

膵臓が完全に破壊される1型糖尿病になり、常にインスリン注射が必要になります。主に、若年層の糖尿病の5~10%は1型糖尿病です。アメリカと日本に共通していることですが、ともに膵臓がんの数が非常に増加しています。

【スライド14】

アメリカの普通死亡率推移(1900〜1999)。これは乳幼児死亡率、肺がん、膵臓がん、乳がんなどすべてのガン、糖尿病などのすべての死亡率(1000人中)の総計です。

1900年から1945年までは年率約2%で死亡率が下がって行きました。唯一の例外は、1918年に世界的に流行したインフルエンザの時です。このときはアメリカも日本も世界中が影響を受けました。

この間ずっと、化学物質や喫煙率も増えているのにもかかわらず、死亡率は減少しています。それはネバダの核実験が始まる1951年ころまで続きます。

そして、核実験が終わって(死亡率は)少し下がりますが、その後は、ほとんど下がらずに横ばい状態が続きます。

予想死亡率減少ラインから上の実際の死亡率ラインとの比較から、アメリカでこの間2000万人が余計に死んだことになります。広島や長崎で死んだ人の数よりはるかに多くの数です。

【スライド15】

これは日本の膵臓がん死亡率のチャートです。

前述したように、1930年から1945年ころまでは低く、まったく変化がありません。しかし、1962〜63年ころまでには12倍に増加しています。これは東北大学医学部環境衛生の瀬木三雄博士たちの1965年のデータです。

これからお話しすることは、本当に信じられないことです。この12倍になった死亡率が、2003年までには、さらにその3倍から4倍になったのです。

ストロンチウム90やイットリウムが環境に放出されることがなければ、膵臓がんの死亡率は減少していたでしょう。アメリカでは約2倍になっています。

【スライド16】

これは同じ東北大学のデータで、日本の5〜9歳男の子のガン死亡率チャートです。1935年から1947年までは、実際に死亡率が減少しています。

それ以降、ソ連の核実験やアメリカの太平洋での核実験が度重なるにつれ、6倍に上昇しています。そして、これ以降もさらに増加していることがわかっています。

これらのデータは、政府刊行物である「人口動態統計」からとりました。このような詳細にわたる統計は世界でもいままで見たことがありません。

【スライド17】

同様に東北大学のデータです。これはアメリカ(非白人)と日本の男性のガン死亡率を比べたものです。

1920年から1945年まで、この間、喫煙率や化学物質の量が増加し、また石油、ガス、石炭の消費量増加による大気汚染も増加しているにもかかわらず、日本ではほとんどガンの増加はありません。

非常に重要なのは、このことを理解しないと放射能を理解することができません。

1945年以降、ガンによる死亡率が急に上昇し、1962年にまでに42%増加します。それ以前に、アメリカと日本で少し減少したところがありますが、これは核実験を一時停止した時期です。

これらは核降下物の低レベル放射線が原因であることの強力な証拠です。しかし、政府は、その量があまりにも低すぎて検出できないと主張しています。

【スライド18】

これは1970年以降の日本の原子力エネルギー生産量を示したものです。一時増加が止まった時期もありますが、最近では急激に上昇しています。これは原子炉の稼働率をなるべく上げるようにしているからです。アメリカも同じです。

【スライド19】

1950年から2003年までの、さまざまなガンによる男女別死亡率の推移です。1970年ころから急に上昇し始めていますが、そのずっと前の、1950年ころから上昇し始めています。

もっとも増加したのは、男女とも肺がんです。

大腸がんは女性の方がやや高いですが、やはり急激に上昇しています。膵臓がんは1962年までにすでに12倍に増えていますが、さらに大幅に上昇しつづけています。このことから、日本になぜアメリカの倍の糖尿病があるのかという説明になります。

以上からわかるように、スターングラス博士は、誰でも入手できる国の公式データから、冷戦時代の核実験によって大気中に放出された放射性物質の量が増えるにつれて、また、原発の稼働率がアップするにつれて、膵臓がんや糖尿病の発症が劇的な増加をみせていることを指摘しました。

つまり、大気圏から地上に降下した放射性物質の量と、原発から漏れ出る放射性物質や核廃棄物の量と、膵臓がんや糖尿病の増加がぴったりシンクロしていると主張しているのです。

福島第一原発からはストロンチウム90が海洋に放出され続けている

ここに、Shing02氏のWebサイト『僕と核』用に行われたスターングラス博士の単独インタビューの翻訳があります。この中で、博士はこのように言っています。

……ついでに、もう一つ重大な話をしよう。

ストロンチウム90からできるのが、イットリウム90だ。これは骨じゃなくて、膵臓に集中する。

膵臓というのは、糖尿をおさえるホルモンであるインスリンを分泌しているから、ここに異常が出ると糖尿病になる。

世界中で、糖尿病が急増しているのは知ってるね。

日本は、すでに人口の割合から言えば、アメリカの(糖尿病になっている人の)2倍もいる。そのアメリカだって、イギリスより発症率が高いのだ。

日本では、戦後から現在にかけて、膵臓がんが12倍にもふくれあがっている。

50年代の終わりにドイツの動物実験で発見されたのが、ストロンチウム90が電子を放出してイットリウム90になると、骨から肺、心臓、生殖器などに移動するのだが、膵臓に最も高い集中見られたということだ。

膵臓からインスリンがうまく生産されないようになると、血糖値が上がって糖尿病になってしまうのだ。

今までは放射能が糖尿病と繋がっているなんてまったく認知されていないのだ。

これで分かっただろう、国際放射線防護委員会(ICRP)は、当初、放射能の影響として、特定のがんと奇形児くらいしか認めなかった。

未熟児、乳児の死亡や、肺、心臓、膵臓、これらの部位への影響はすべて無視されてきたのだ。

(※彼の本の邦訳版『人間と環境への低レベル放射能の脅威─福島原発放射能汚染を考えるために』が出ています)

スターングラス博士の説を、獨協医科大学の放射線医学の専門医である名取春彦氏が放射線医療に携わる医師たちに向けて書いた『放射線はなぜわかりにくいのか』の解説を借りて、さらに詳しく説明すると、こういうことになります。

ストロンチウム90は、ベータ崩壊後、イットリウム90になって、再びベータ崩壊を繰り返すので二度にわたって細胞を破壊するという「セカンド・イベント理論」があります。

イットリウム90の半減期はわずか64時間ですから、その分、単位時間当たり放出されるエネルギーが大きいことになるので、破壊力がある、という理論です。

このため一般にストロンチウム90の分析では、対象試料を溶液化した後、イオン交換分離や沈殿分離などの方法を用いてストロンチウムだけを分離し、更にストロンチウム90の子孫核種であるイットリウム90の生成を2週間程度待ってから放射線計測が行われています。

ストロンチウム90のβ線を計測するとき、イットリウム90の生成を2週間程度待ってから測る、という意味は、ストロンチウム90はβ崩壊してイットリウム90になった後、再びイットリウム90がβ崩壊してβ線(高速電子)を出すからです。

この二度にわたるβ崩壊はストロンチウム90が消えるまで同時に起こっています。

つまり、イットリウム90の半減期は、とても短いものの、食べ物から取り込まれたストロンチウム90がβ崩壊するたびに、すかさず膵臓に取り込まれてしまう、というのです。

ストロンチウム90は、主に骨に取り込まれてカルシウムに置き換えてしまいます。このため、ストロンチウム90の恐ろしさを想像する時、真っ先に白血病が頭に浮かんできます。

しかし、スターングラス博士は、骨に取り込まれたストロンチウム90がβ崩壊を繰り返してイットリウム90になると、骨から肺、心臓、生殖器などに移動し、膵臓に最も高い集中が見られる、というのです。これが、膵臓がんや糖尿病の増加につながっている本当の原因であると博士は言っているのです。

ストロンチウム90の物理学的半減期は約29年で、セシウム137とほぼ同じです。

しかし、骨に取り込まれてしまった場合のストロンチウム90の生物学的半減期は50年です。なんとセシウム137の100日と比べると182倍も長いのです。50年かかっても、半分しか体外に出て行かないのです。

しかも、その50年間の間、まったく放射能に汚染されていない肉、魚を食べ続けることのできる人はいないでしょうから、ストロンチウム90は微量ながらも骨に蓄積される一方です。それが、常にβ崩壊してイットリウム90になって、膵臓に集中するというわけです。

このことによって、年中、膵臓のランゲルハンス島という場所にあるβ細胞をイットリウム90が攻撃していることになるのです。

膵臓のβ細胞は、血糖値をコントロールするインスリンを分泌するので、この細胞が内部被曝によって破壊されてしまうと、糖尿病になり、最終的には、インスリンが分泌されなくなってしまうことも考えられます。そうなると、人工透析の生活が続くようになってしまいます。

さらに悪いことには、2年ほど前から、太平洋側で獲れた魚の中には、ストロンチウム90とセシウム137の比率が逆転してしまった魚が見られるようになってきました。これは、海の食物連鎖を通して、ストロンチウム90が魚に生体濃縮されていることを示しているのです。

そして、今日も、福島第一原発の敷地からは、ストロンチウム90が海洋に放出されており、それがいつ止まるのか誰にも分からないのです――

参照元 : マネーボイス