医療法人「徳洲会」を強制捜査、公選法違反容疑

2013年9月17日18:00
 
20130917-00000099-san-000-view

大手医療法人「徳洲会」が、去年の衆議院選挙で病院職員に日当を支払い選挙運動を行わせた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は公職選挙法違反の疑いで関連先の強制捜査に乗り出しました。内部資料や関係者の証言から浮かび上がる、その選挙運動の実態とは・・・

全国に66の総合病院を運営する日本最大の医療グループ「徳洲会」。その本部や徳洲会が運営する病院に午後2時過ぎ、東京地検特捜部が家宅捜索に入りました。公職選挙法違反の「運動員買収」の疑いです。

徳洲会の理事長は、鹿児島県徳之島出身の元衆議院議員、徳田虎雄氏(75)。難病のALSを発症し政界を引退した虎雄氏の地盤を継いだのが、次男の徳田毅衆院議員(42)でした。

鹿児島2区で3回目の当選を果たした去年12月の選挙。実はこの1か月前、徳洲会本部はグループの全国の病院に「読後破棄」と記した文書を配っていました。

「鹿児島県出身者の方は早急に帰郷し、家族会・同窓会等を通じ支援依頼を積極的に行うようスケジュールの調整を行ってください」(内部文書)

関係者によりますと、徳洲会の本部は病院に徳田毅議員の陣営に選挙運動員として職員を派遣するよう要請。どの職員をどれだけの期間派遣するか細かく指定していたということです。

徳洲会の関係者は、職員の選挙活動の実態をこう指摘します。
「全国に散らばっている人たちを(鹿児島に)呼び寄せて、選挙期間中は徹底して選挙運動させる。身内のところを回ったり集落回ったりして、家族会と称して帰ってきた人の家で選挙運動・集会をさせます。みんな行かざるを得ない。やらざるを得ない状態です」(徳洲会の関係者)

さらに、内部文書には派遣された職員の給与に関する「ある指示」が記されていました。
「欠勤扱いになった職員については給与が減額となります。派遣日程から減額分を事前に計算し、12月賞与において加算して下さい」(内部文書より)

関係者によりますと、選挙運動に派遣した職員は旅費などを支給した上で「欠勤扱い」とされ、その分の給与は12月のボーナスで補填されていたといいます。公職選挙法では、選挙運動の対価として給与や日当を支払うことは「運動員の買収」にあたるとして禁止されています。

「(徳田毅議員は)ご迷惑をかけて申し訳ないというような話だった。(事態の)推移を注視してまいりたい」(自民党・石破茂幹事長) 

今年2月には、女性問題で国土交通省の政務官を辞任した徳田毅議員。特捜部の強制捜査について、今のところコメントを出していません。

特捜部の捜索は、午後3時前から始まりました。病院の15階ワンフロアーは、徳田虎雄理事長が長期入院する特別室になっていて、この部屋も捜索の対象になっているものとみられます。

徳洲会の関係者によりますと、去年の衆院選では全国の病院から250人あまりの職員が鹿児島に派遣されました。飛行機代や宿泊費などは徳洲会が負担し、「欠勤扱い」となった職員には給与の減額分がボーナスで補填されたということですが、徳洲会の関係者は「理事長が細かく指示していたはず」と指摘しています。

特捜部は押収した資料を分析し、違法性の裏づけとともに組織内での指示系統の解明を進める方針です。


人気ブログランキングへ