2016年1月19日
アベノミクスの“生みの親”とされる浜田宏一・米エール大名誉教授の仰天発言に激震が走っている。浜田教授はテレビ番組で、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が資産構成を見直し、国内株などの投資比率を引き上げたことに対し、年金資産が“大損”する可能性を認めたのだ。
発言が飛び出したのは、16日のTBS「報道特集」。6日連続で下落した日経平均株価の異常事態を受け、GPIFの損失リスクに対する感想を問われた浜田教授はこう言い放った。
〈(国民を)教育しなければいけなかった。損をするんですよ、これだけ儲けるんだから(と)〉
〈損をするんですよと(国民に)言っておけと、僕はいろんな人に言いました〉
浜田教授といえば、安倍政権の内閣官房参与として、アベノミクスなどの経済政策を助言してきた中心人物だ。改憲しか頭にない経済オンチの安倍首相の指南役と言ってもいい。その浜田教授がGPIFの運用構成見直しについて〈損する〉とハッキリ認識し、さらに〈損をすると言っておけ〉と忠告していたというのだ。そして、浜田教授はこう続けていた。
〈でも(政府側は)それはとてもおっかなくて、そういうことは言えないと〉
つまり、浜田教授が「ハイリスク・ハイリターン」について国民に説明しろ、と指摘していたにもかかわらず、安倍政権は頬かむりしたワケだ。安倍首相は12日の衆院予算委で、株価下落に伴うGPIFの影響について「年金財政上、必要な年金積立金を下回るリスクは少なくなった」なんて強弁していたが、国民を愚弄するにもホドがある。
GPIFは2015年7〜9月期に年金資産を約8兆円もパーにしている。年明けから続く足元の株安傾向に歯止めがかからなければ、損失規模は膨らむ一方だ。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「竹中平蔵氏が『トリクルダウンは起きない』と発言したことにも驚きましたが、浜田教授の発言も他人事のよう。そろってアベノミクスの旗振り役を担ってきた中心人物じゃないですか。そのアベノミクスは破綻したと言っていい。その責任はどうなったのでしょうか。難破船から我先に逃げ出すような無責任な発言にはガッカリします」
地獄の釜の中を見るような日が迫っている。
参照元 : 日刊ゲンダイ
株価暴落 半月で年金資産約6兆円失われた恐れ
2016年01月19日 09:01
日経平均株価が続落しているが、野田佳彦前総理は18日、この続落で「年金積立金の目減り。たった半月で約6兆円もの年金資産が失われた恐れがある」と指摘し「株高がずっと続けば、何も問題はないが、株価は上がる時もあれば下がる時もある。バブルが膨らむこともあれば、それが弾けることもある。国民の虎の子の財産を大きなリスクを伴う博打に賭けていいのでしょうか」と年金資金の株式運用の在り方に慎重さを求めた。
野田前総理は「日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金約130兆円の管理・運用は厚生労働省所管の独立行政法人GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が行っている。従来は運用構成割合の60%を日本国債等の国内債が占めるなど、ロー・リスク、ロー・リターンの安定運用を心掛けていた」としたうえで「2014年11月、安倍内閣はアベノミクスの成長戦略の一環として、GPIFの資産運用方針を見直し、株式比率を50%(国内株式25%、外国株式25%)へと高め、ハイ・リスク、ハイ・リターン型へと劇的に転換した」とブログで紹介。
また「昨年7月から9月にかけて約7.9兆円もの運用損が発生した。これは4半期ごとの運用では過去最大規模の損だった。安倍政権は短期の売り買いの結果で一喜一憂せず、長期的に判断すべきだと抗弁しているが、今年はもっと大損しそうな気がしてならない。総理のポケットマネーなら別に構いませんが、国民の大切な老後の生活資金。慎重に安定資産で運用すべき」と株式市場への過剰な投資をけん制した。
また、野田前総理は「株安が続けばGPIFは年金資金を使って買いを入れる。結果的にGPIFは株式市場の安定化装置的な役割を果たすことになる。安倍政権の内閣支持率は株価と連動しているといわれており、年金資金の株式運用は安倍政権を下支えする巧妙な手段でもある」と年金資金運用が政権支持低下を防ぐことにも使われているような格好になってしまっていると提起した。(編集担当:森高龍二)
参照元 : エコノミックニュース
狙撃兵 吹き飛んでいく年金基金
2016年1月13日付
年が明けてみると大発会は暴落で始まり、その後も中国上海市場などの動向を反映しながら世界中で同時株安の局面を迎えている。日経平均は大発会以後に4日連続で下げた日には「21年ぶり」と騒がれ、5日連続の日には「戦後初」に昇格し、6日連続で下げると「過去に例がない」と表現がコロコロ変化し、イチローが連続試合安打を伸ばしたときのように「○日連続」のカウント騒ぎをやっている。そして気がついたら1万7000円台前半にまで下がり、ダウも1週間で1000ドル下がるなど、リーマン・ショック以来のメルトダウンが襲ってきそうな気配すら感じさせている。
この間、アベノミクスといって株価釣り上げのために巨額の年金資金や日銀資金を注ぎ込んできたのが安倍政府だった。しかし円安と金融緩和によってつくり上げてきた官製相場はいとも簡単に崩れ去ろうとしている。東京証券市場の最大の大株主は日銀と年金資金といわれるほど株を買い支えてきたが、外資や機関投資家が売り逃げて株価が暴落すれば、これらが膨大な含み損を抱えることにもなる。運用益を出すどころか、まるで売り逃げの資金を提供したような格好だ。
昨年の7〜9月期だけでも8兆円の損失を出したのが年金基金で、10〜12月期はどうだったのか、さらに今年1〜3月期はどうなるのか? みなの老後のための資金を焦げ付かせた者の責任追及は避けられない。それこそ安倍晋三なり「黒田バズーカ」などといって浮かれていた連中は、結末如何によってはみなA級戦犯ものの扱いを受けなければならない運命に晒されている。
それにしても、株価が上がったら「アベノミクスのおかげ」で、下がったら「中国のせいだ」といっている光景は見ていて笑えない。いくら中国嫌いでも、その中国に輸出入なり爆買いなり、経済的に依存している関係を抜きにして、なんでもかんでも「中国のせい」というのでは誰も納得しない。株価暴落の一要因であるとしても、年金基金が吹き飛んだ場合、それは中国のせいではなく、突っ込んだ者の責任なのだ。
吉田充春
参照元 : 長岡新聞