非正規も残業代ゼロ 小池議員が法案撤回求める

2015年4月22日(水)

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労働時間規制の適用を除外する「残業代ゼロ制度」の対象に有期雇用契約労働者も含まれることが、21日の参院厚生労働委員会で明らかになりました。日本共産党の小池晃議員の追及に厚労省が認めたもの。命を削る働き方が正社員だけでなく、非正規にも広がることになります。小池氏は「日本中に過労死が広がることになる」として、「残業代ゼロ」法案の撤回を求めました。

「残業代ゼロ制度」の対象は当面、年収1075万円以上とされています。厚労省の岡崎淳一労働基準局長は「雇用契約期間が1年に満たない場合、比例計算で考える」と答弁。年間の基準に比例した賃金や年休を付与すれば、「有期契約であっても(『残業代ゼロ制度』の)適用の対象になる」と認めました。

小池氏は、ある企業が3カ月のプロジェクト事業に取り組む場合、課長以外の職員と有期契約を結び「残業代ゼロ制度」の対象にすれば、残業代もなく24時間働かせることができると指摘。「まさに携帯電話並みの『定額働かせ放題』制度だ」と批判しました。

参照元 : しんぶん赤旗

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残業代ゼロ法案 40代以上管理職の「賃カツ法」になる場合も

2015.04.17 16:00

アベノミクス成長戦略の柱の一つである「柔軟な働き方の実現」のための労働基準法改正案が4月3日に閣議決定された。週40時間を基本とし、超過分には労働時間に応じて賃金が支払われる「労働時間規制」に例外を設けるとする内容だ。いわゆる「残業代ゼロ法案」である。

これまで大メディアは「金融アナリストやディーラーなど一部職種の年収1075万円以上のサラリーマンが対象」と報じてきたが、法案にそうした文言はない。

法案は例外が適用される「高度プロフェッショナル制度」の対象となる業務についてこう記す。

〈高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして、厚生労働省令で定める業務〉

なかなか頭に入ってこない典型的なお役所言葉だが、最後に〈省令で定める〉とあるのがミソだ。法改正が国会での審議と議決が必要なのに対し、「省令」は各省の大臣が制定できる。

法律には大まかなことだけを書き、大事なことは省令で決めるのが政府・霞が関の常套手段だ。業界との談合も癒着もやり放題の仕組みである。『2016年 残業代がゼロになる』(光文社刊)の著者で、ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。

「法案決定に先立って厚労省の労働政策審議会が報告書をまとめています。そこにはたしかに年収1075万円以上を目安とすると書かれ、対象となる職種も『金融商品の開発業務』『ディーリング業務』などと具体的に例示されています。

報告書の内容が先に広く報じられたため“一部限定”のイメージが定着しましたが、政府は曖昧な文言の法案で国会審議を乗り切り、省令で対象業務を広げていく目論見なのでしょう」

さらに溝上氏が続ける。

「大企業ではマネジメントに携わるライン管理職にはなれないが、キャリアを積んで専門性を持つ社員に専門課長といったポストを与えているところが少なくありません。45歳以上で年収1000万円以上の人もいて、残業代を合わせるとライン管理職より高くなることもある。

経営者としてはこの人たちの残業代をなんとかカットしたいのです。『高度な専門知識がある』という説明もしやすい。1075万円以上の専門課長が対象となる場合、残業代がまるまるカットされて月10万円以上の賃下げになるケースも考えられます」

※週刊ポスト2015年4月24日号

参照元 : NEWSポストセブン