【閲覧注意】とぐろを巻く少年 ― 医師も見放すほどの激烈な「壊死性筋膜炎」=ウガンダ

2016.05.22

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世の中には、生まれつきの奇形で歩くことができない人も少なくないが、ウガンダの少年ヴィンセントは症状が複雑なため、多くの医者から見離されてしまったという。奇形といえば、体の成長が不完全なことを思い浮かべがちだが、この少年はその逆であり、下半身だけが驚くほど成長してしまったのだという。

ヴィンセントの姿が2012年5月15日にニュースサイト「The Sun」で報じられ、また彼を捉えた映像も2013年7月14日に「YouTube」のチャンネル「MY SHOCKING STORY」に投稿されている。

■足がとぐろを巻いている少年

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茅葺らしい家が建ち並ぶ集落、そして地面に座り込む1人の少年の姿。ただ、その少年の様子は普通の子どもとは明らかに違う。小さな体の下に、巨大なソーセージが2本あるように見えるのだ。少年の下半身にカメラがズームすると、とてもそうは見えないが、胡坐をかいている足だということがわかる。

画面が切り替わり、ゴザの上に裸で座る少年。母親らしき女性が、桶に入った水で少年の体を洗おうとしているようだ。女性は重たそうに少年の足を持ち上げ、移動させる。両足とも木の丸太のほどの太さがあり、プルプルとしている。先には小さな指がついており、かろうじて足であることを主張しているようだ。女性は少年を丁寧に洗ってやったのち、可愛らしい青やピンクのストライプのシャツを着せた。

■診察を受ける少年の、喜びに満ちた表情

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体を洗い終えた少年は、シーツの上に乗せられ、大人2人がかりで木の下へ移動。そして彼は車に乗せられ、病院へ連れて行かれる。ベッドの上に座る少年の周りには、医師らしき白人男性と、白衣を着た黒人男性らが立っている。治療をする事が決定したのだろう、白人医師が少年のいる集落に訪れると、家族らしい大人たちは笑顔で医師を抱擁する。医師が少年の足に触れると、少年は嬉しそうな笑みを浮かべた。

■誰にも治せない病

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ウガンダに住むヴィンセント(10歳)は、時間の経過とともに足が大きくなってしまうリンパにまつわる問題を抱えている。腫れによって股関節の脱臼や足首の骨折などを繰り返している間、症状は「象皮病」や「組織奇形」によるものと信じられていたが、検査によって「壊死性筋膜炎」の疑いが高まった。もしもそれが正しければ、彼の命を救うためには両足の切断が必要になる。ウガンダの首都カンパラの医師たちには、ヴィンセントをどのように治療していいかわからなかったという。

■難しい症状に一筋の希望の光りが

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救いを求めるヴィンセントにとって希望の光となったのは、「EDYAC」と呼ばれる貧困村の子どもの難病治療を援助する組織の医師、アイザックだった。彼はヴィンセントを救うため、イギリスの専門家に助けを求めたのだ。「我々はヴィンセントの症例に何かしらの助言を与えることができるイギリスの専門家を必要としている」「症状は非常に複雑だが、彼の足を救うために、どのようなことができるかを確認したい」と、意欲を語っている。

■ヴィンセントの病気の始まりと悩み

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ヴィンセントの父親は、息子が生後18カ月の時に始まった症状についてこう明かした。「自分たちは非常に貧しくて、治療を受けさせることができなかったため、ヴィンセントが成長するにつれて腫れは大きく膨らみ続けた。もはや彼は歩けず、かろうじて這うことができるのみだ。男の子の下着やズボンもはけず、女の子のスカートなどを着なくてはいけない。ピンクの服などを着るため、ほかの子どもにからかわれ、息子は非常に困っている」

そして地元の医師は、「私たちは多くの助けにとても感謝する。私はなんとしてもこの少年を救い、彼にごく普通の人生を歩む機会を与えたいと望んでいる」と、治療が開始されることの喜びを語っている。

ニュースから数年が経った現在、病気が治癒したかどうかは定かではない。しかし、皆の協力によってヴィンセントの人生が良い方向に進んでいることを願うばかりだ。

(文=北原大悟)

■とぐろを巻いたソーセージのような足を持つ少年
 


参考「MY SHOCKING STORY」、「The Sun」、ほか

参照元 : TOCANA


壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)にはA群β溶連菌(時に黄色ブドウ球菌)の単独感染によるものと嫌気性菌(ビブリオ、嫌気性レンサ球菌)と腸内細菌のグラム陰性桿菌との混合感染によるものとがある。

嫌気性ガス産生菌(クロストリジウム・非クロストリジウム)によるガス壊疽とは別物である。進行は急速で、最終的にショックにより死亡することもある。

参照元 : wiki/壊死性筋膜炎