犬や猫も…身近な動物からの感染症に注意 ペットは清潔に保ち予防を

2014.11.9 17:08

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動物が持つ常在菌やウイルスから感染する病気は動物由来感染症(ズーノーシス、人獣共通感染症)と呼ばれる。イヌやネコなど身近なペットからの感染例も多く、特に免疫力の弱い高齢者や乳幼児、妊婦は注意が必要だ。(佐々木詩)

200種類以上

「ヒツジ、大きくて怖いー」「こっちにおいで、エサあるよー」。大阪市天王寺区の「天王寺動物園」。ヒツジやヤギにエサやり体験ができるコーナーでは、子供たちが歓声を上げながら動物と触れ合っていた。エサを渡す際には、職員が「終わったら必ず手を洗うんだよ」と声かけ。同園職員の榊原安昭さんは「必ず声をかけています。エサ売り場の隣には手洗い場も設けています」。ズーノーシス予防のためだ。

世界保健機関(WHO)はズーノーシスを「脊椎動物と人間との間で自然に移行するすべての病気または感染」と定義し、世界に200種類以上あるとしている。病原体の伝播(でんぱ)には動物にかまれたり、ひっかかれたりすることで感染する直接伝播と、動物を触ったりすることでダニなどを通して症状が現れる間接伝播の2種類がある。エボラ出血熱や重症急性呼吸器症候群(SARS)のように有効な治療法が開発されていないものもある。

日本の場合、諸外国に比べると、動物からの感染症は比較的少ないとされている。それでも、身近なペットからの感染例は多い。

散歩の後は清潔に

大阪市東成区の「おざさ動物病院」。10月中旬、「皮膚に炎症がある」と飼い主が小型犬を連れてきた。診察の結果、「皮膚真菌症」と判明。カビによって炎症が起きていた。同院の小笹孝道院長が確認すると、飼い主も、腕にかゆみが出ていた。ペットが皮膚炎を起こすだけではなく、ペットを介して人間にも感染していたのだ。「動物だと子犬や子猫が発症しやすい。人間も抵抗力の低い子供やお年寄りに症状が出ることが多いようです」

厚生労働省の「愛玩動物の衛生管理の徹底に関するガイドライン」では、ペットを介する主なズーノーシスを挙げて注意を呼びかけている。ペットの糞から感染し、内臓や目に症状が現れる「イヌ・ネコ回虫症」、ネコの糞などから感染し妊婦が感染すると胎児に障害をもたらす「トキソプラズマ症」、イヌ、ネコの口腔(こうくう)内にいる常在菌で、人間の皮膚の化膿(かのう)や呼吸器疾患などを起こす「パスツレラ症」などがある。小笹院長は「散歩の後は足を拭いてブラッシングをしてあげる。シャンプーや歯磨きも定期的に行い清潔に保つことが、人間への感染予防にもつながります」と話す。

同ガイドラインなどによると、イヌ、ネコのほか、鳥の排泄(はいせつ)物などから感染し呼吸器系に症状が出る「オウム病」や、リスやハムスターなどからうつり、風邪のような症状が出る「野兎(やと)病」、爬虫(はちゅう)類からの「サルモネラ症」などもあるほか、移動動物園で牛を触ったことでO157に感染する例もあったという。大阪府動物愛護畜産課の武田雅人さんは「かわいいからといって、口移しでご飯をあげるといった過度の接触は避けてほしい。また、触った後にはしっかり手を洗うことが重要です」と予防法を話す。

野生動物の場合は、さらに、感染の危険が増す。武田さんは「身近なところで弱っている動物を見かけても、触らずに、行政などに連絡してください」と話す。また、海外では国内にはない感染症も多いため、安易な動物との接触は避けた方がよいという。武田さんは「適切な距離で、動物と仲良く過ごしてほしい」と話している。
 
参照元 : SANKEIBIZ


人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう:ズーノーシス(zoonosis))は、ヒトとそれ以外の脊椎動物の両方に感染または寄生する病原体により生じる感染症のこと。感染している動物との直接接触やその糞や毛垢などを介して再感染が起きる。他の呼び名については呼称についてを参照のこと。

人獣共通感染症の問題点
特に以下の点が公衆衛生上大きな問題となる。
 
新興感染症としての人獣共通感染症
近年、森林伐採などによる環境の激変によって野生動物とヒトとの距離が狭まり接触する機会が増えたことや、種々の動物がペットとして輸入され飼われる機会が増えたことなどにより、従来は稀であったり知られていなかった病原体がヒト社会に突如として出現する。このように新興感染症として現れた場合、未だヒトが免疫を獲得していないために大流行を引き起こす危険性が高く、診断や治療の方法も確立していないために制圧が困難である。2003年に出現した重症急性呼吸器症候群(SARS)にこの問題点が顕著に見られた。
 
予防の難しさ
1980年に撲滅宣言が出された唯一の感染症である天然痘では、その原因となる痘瘡ウイルスがヒトにのみ感染するものであり、かつ終生免疫が成立するワクチンの開発に成功したことが、その功績につながった。すなわち世界中の人すべてにワクチンを接種すれば、それ以上天然痘は伝染しえない。
 
これに対して人獣共通感染症である狂犬病ウイルスは撲滅して予防することが不可能だと言われている。狂犬病ウイルスは全ての哺乳類に感染するため、それら全てにワクチンを接種することは不可能である。またネズミなどの小動物はきわめて小さな門戸から侵入して感染源となることがあり、予期せぬ接触によって感染する危険性がある。
 
呼称について
人獣共通感染症以外の呼称としては動物由来感染症などが挙げられる。以前は人畜共通感染症または人畜共通伝染病という呼称が一般的であったが、「畜」という語が家畜のみを想起するのに対して、近年は愛玩動物(ペット)や野生生物からの感染が重大な問題になっているという指摘がある。

これらを考慮して、人獣共通感染症という言葉を用いようとする動きがあり、この呼称が定着しつつある。ただし、「獣」とは本来なら哺乳類など体毛で被われた動物を指す言葉であり、オウム病や鳥インフルエンザなど鳥類由来の感染症や、爬虫類由来のサルモネラ感染症、昆虫類や魚類由来の寄生虫疾患等も包含する語としては必ずしも「畜」より適切とは言い難い。

いずれにしても、どの語を用いるべきかについては未だ議論の分かれるところであり、統一されるにまでは至っていない。なお、厚生労働省はヒトへの感染経路を重視する観点から動物由来感染症という呼称を使っている。

これに対して獣医学の立場からは、「動物は汚いもの」という意識を必要以上に広く植え付けるだけでなく、ヒトから動物への感染(ヒト由来感染症)による動物への被害という問題もあるため不適切ではないかということも指摘されている。特にヒト由来の抗生物質耐性菌による動物への被害を問題視する意見もある。
 
伝播様式による分類
ダイレクトズーノーシス(direct zoonosis)
同種の脊椎動物間で伝播が成立し、感染動物から直接あるいは媒介動物を介して機械的に感染する。
Zooanthroponoses - 動物からヒトへと伝播する人獣共通感染症
Anthropozoonoses - ヒトから動物へと伝播する人獣共通感染症
Amphixenoses - ヒトと動物の双方に伝播する人獣共通感染症
狂犬病、炭疽、オウム病、腎症候性出血熱、結核、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、旋毛虫(トリヒナ)症、ブルセラ症、カンジダ症、サルモネラ症、ブドウ球菌症など
サイクロズーノーシス(cyclo-zoonosis)
病原体の感染環の成立のために複数の脊椎動物を必要とする。この型には寄生虫によるものが多い。
アニサキス症、包虫(エキノコックス)症、有鉤条虫症、無鉤条虫症など
メタズーノーシス(meta-zoonosis)
脊椎動物、無脊椎動物間で感染環が成立するもの。
アルボウイルス感染症、発疹熱、日本住血吸虫症、肝吸虫症、リーシュマニア症など
サプロズーノーシス(sapro-zoonosis)
病原体が発育・増殖の場として、有機物・植物・土壌などの動物以外の環境を必要とするもの。
トキソカラ症、アスペルギルス症、ボツリヌス症、ウェルシュ菌食中毒、クリプトコッカス症など
混合型
上記4型が組み合わされたもの。
肝蛭症、ダニ麻痺症など
 
主な人獣共通感染症
細菌性人獣共通感染症
炭疽 ― ペスト ― 結核 ― 仮性結核 ― パスツレラ症 ― サルモネラ症 ― リステリア症 ― カンピロバクター症 ― レプトスピラ病 ― ライム病 ― 豚丹毒 ― 細菌性赤痢 ― エルシニア・エンテロコリティカ感染症 ― 野兎病 ― 鼠咬症 ― ブルセラ症 ―等
ウイルス性人獣共通感染症
インフルエンザ ― SARS ― 狂犬病 ― ウエストナイル熱 ― エボラ出血熱 ― マールブルグ熱 ― Bウイルス感染症 ― ニューカッスル病 ― 日本脳炎 ― ダニ脳炎 ― 腎症候性出血熱 ―ハンタウイルス肺症候群 ― サル痘 ―等
リケッチア・コクシエラ・バルトネラ性人獣共通感染症
Q熱 ― ツツガムシ病 ― 猫ひっかき病 ―等
クラミジア性人獣共通感染症
オウム病 ―等
原虫性人獣共通感染症
睡眠病 ― シャーガス病 ― リーシュマニア症 ― クリプトスポリジウム感染症 ―等
人獣共通寄生虫症
エキノコックス症 ― 日本住血吸虫症 ― 肺吸虫症 ― 旋毛虫症 ― 肝吸虫症 ― 肝蛭症 ― アニサキス症 ―等
真菌性人獣共通感染症
クリプトコッカス症 ― カンジダ症 ― アスペルギルス症 ― 皮膚真菌症 ― 等
プリオン病
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病

参照元 : wiki/人獣共通感染症


トキソプラズマ症

トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による原虫感染症である。世界中で見られる感染症で、世界人口の3分の1が感染していると推測されているが、有病率には地域で大きな差がある。健康な成人の場合には、感染しても無徴候に留まるか、せいぜい数週間のあいだ軽い風邪のような症状が出る程度である。

しかし胎児・幼児や臓器移植やエイズの患者など、免疫抑制状態にある場合には重症化して死に至ることもあり、重篤な日和見感染症といえる。重症化した場合には、脳炎や神経系疾患をおこしたり、肺・心臓・肝臓・眼球などに悪影響をおよぼす。予防するためのワクチンはない。

病原体
トキソプラズマはアピコンプレックス門に属する単細胞生物である。以下の3つの形態をとる。

栄養型
栄養型は急増虫体(タキゾイト)と呼ばれており、細胞内に寄生して無性生殖により急激に増殖する。消毒液や胃酸などに対する抵抗性を持たないため、これを摂食しても感染は起きにくい。しかし眼や鼻の粘膜や外傷から感染することがある。
 
シスト
脳や筋肉の組織中に厚く丈夫な壁に包まれた球形のシストを作る。シストには数千におよぶ緩増虫体(bradyzoite)が含まれており、無性生殖によりゆっくりと増殖している。シストは室温でも数日、4℃なら数ヶ月生存しており、-12℃までの低温にも耐えるが、熱処理(56℃15分)や冷凍処理(-20℃24時間)で不活化できる。
 
オーシスト
終宿主であるネコ科の動物に感染すると、有性生殖を行ってオーシストが形成される。オーシストは糞便中に排出され、環境中で数日間かけて成熟し、数ヶ月以上生存している。消毒液に対する抵抗性が高いが、シスト同様の処理で不活化できる。
 
感染経路
トキソプラズマは人間を含む幅広い温血動物に寄生するが、終宿主はネコ科の動物である。人間への感染経路としては、シストを含んだ食肉やオーシストを含むネコの糞便に由来する経口感染が主である。オーシストは耐久性があるので、直接糞便に接触しなくても、土壌を経由して野菜や水を汚染する場合がある。その他に妊婦から胎児への経胎盤感染がある。
 
食肉
おそらくほぼ全ての哺乳類・鳥類がトキソプラズマに感染する可能性があり、したがって食肉は種類によらず感染源になりうる。とくに羊肉・豚肉・鹿肉など、高頻度にシストが見付かるものもある。感染動物由来の食肉を生食したり加熱が不十分だったりすると、感染の原因となる。食肉そのものだけでなく、包丁やまな板などが汚染されて、それが他の食材や手を汚染することもある。
 
ネコ
例えばネコの糞便中のオーシストが付着した食餌をネズミが食べることで感染し、ネズミの体内に形成されたシストはネコがネズミに噛み付くことで取り込まれる、という具合に生活環が成立していると考えられる。人間への感染経路としては、飼い猫のトイレ掃除、園芸、砂場遊びなどで手に付いたオーシストが口に入ることが考えられる。
 
ただし感染ネコがオーシストを排出するのは初感染の際の数週間に限られており、オーシストを排出しているのはネコの1〜2%程度に過ぎない。ネコと触れるだけで感染するわけではなく、またネコの糞便中のオーシストも成熟するのに数日を要することから、通常の飼い猫であれば感染源としてはそれほど重要ではない。
 
胎盤
感染は通常腸管で起こるが、マクロファージに侵入し血流に乗って全身へ広がることができる。このとき宿主が妊娠していると、胎盤を経由して胎児に伝染する場合がある。伝染のリスクは感染時期によって異なり、妊娠初期の感染では低率で、しだいに増加し妊娠末期ではリスクは70%に達する。ただし、胎児の症状は感染時期が早いほど重篤になる。
 
その他
臓器移植や輸血によって感染した例が知られている。また実験中に、誤って注射したり、飛沫が眼や鼻に入ったりして感染した例もある。
 
症状
免疫系が正常な場合
初感染でも、およそ8割の場合は発熱もなくリンパ節が腫れる程度でほとんど気付かれない。残り2割程度では、リンパ節の腫れや発熱・筋肉痛・疲労感が続く亜急性症状が出て、そのあと緩やかに(1ヶ月程度で)回復する。この間、患者は単球が増加しており、伝染性単核球症と似た徴候を示す。普通は治療の必要がない場合が多い。
 
しかし、まれに急性症状を示す患者がいる。この場合は眼(脈絡網膜炎)、心臓、肺などに病変が起き、神経系に症状が出る場合もある。血液中に原虫が認められる虫血症(parasitemia)も長引き、尿や唾液のような体液にも原虫が出現する。
 
いずれの場合でも組織中にシストが生じて慢性感染に移行する。シストの検出は難しい。慢性感染になった場合の治療法は確立していないが、特に症状が出るわけではないので問題になることは少ない。実験的にはアトバコン(英語版)や、アトバコンとクリンダマイシンの合剤がシスト中の緩増虫体を死滅させることがわかっている。
 
トキソプラズマの慢性感染が宿主に影響を与えるという研究報告がいくつかある。
 
疫学的な研究により、トキソプラズマ陽性だと男児が生まれやすいという結果が得られている。
 
トキソプラズマに感染したマウスはネコを恐れなくなる(猫の尿の匂いに引き寄せられるようになる)。これはネコを終宿主とする原虫にとっては都合がいいと思われる。詳しい機構はわかっていないが、ドーパミン量が多くなっていることと関係があるかもしれない。
 
トキソプラズマの慢性感染によりヒトの行動や人格にも変化が出るとする研究例はかなりある。男性は反社会的に女性は社交的になる、統合失調症や双極性障害にかかりやすくなる、男性はリスクを恐れなくなる・集中力散漫・規則破り・危険行為・独断的・反社会的・猜疑的・嫉妬深い・女性に好ましくない、逆に女性は社交的・ふしだら・男性にもてる、などなど。
 
免疫抑制状態の場合
免疫抑制状態の患者が罹患すると中枢神経系障害や肺炎・心筋炎を起こすこともあり、より重篤な疾患を引き起こしやすい。幼い子供も免疫系の機能が十分でなく、重篤な症状になる場合がある。
 
トキソプラズマ陽性のエイズ患者は、Tリンパ球が200以下になると予防をしないかぎりトキソプラズマ脳症を発症する。これはシスト中の緩増虫体が活性化し、血流に乗って全身に広がり脳に至るためである。病状は潜行性になるときもあり、この場合は突然脳症を発症する。脳を冒されると、神経症状が出て急速に進行する。

症状は部位に応じてさまざまで、片麻痺、失語、視野狭窄、眠気、不安感など。まれだが延髄を冒された場合は、対麻痺が起こる。予防や治療にはピリメサミン(英語版)とサルファ剤と葉酸(ピリメサミンによる葉酸不足を補う)を投与する。
 
先天性トキソプラズマ症
免疫系が正常でも妊娠している場合には別の注意が必要になる。妊婦が虫血症になると、原虫は胎盤に移行し、そこから胎児に伝染する可能性があるためである。通常は妊娠中にトキソプラズマに初感染した場合にのみ起き、妊娠前6ヶ月以前の感染は影響はないとされているが、ごくまれにシスト中の原虫が再活性化して伝染することもある。ただし妊娠中に初感染しても、実際に胎児が先天性トキソプラズマ症を発症する割合はかなり低い。
 
妊娠初期
胎児へ伝染するリスクは低いものの伝染したときの症状は重篤になる。原虫が中枢神経系の発達に影響して、頭蓋骨の形成異常、頭蓋内の石灰化、水頭症、大頭症、脳室の膨大などを引き起こし、流産、死産、または出産後数ヶ月で死亡するか、精神運動障害が生じる場合が多い。神経症状としてひきつけ、緊張・弛緩、異常な反射が、そして成長不全や脈絡網膜炎などが見られる。
 
妊娠中期
4ヶ月以降の感染では、内臓、特に消化器系に影響が出る。黄疸、脾臓や肝臓の肥大、粘膜からの出血などが多く、しばしば予後不良となる。
 
妊娠後期
伝染のリスクは70%に達するが、比較的軽い症状となりすぐには気付かれないことも多い。早くに気付かれる症状としては、色素性の脈絡網膜炎、ひきつけや精神運動発達の遅れ、頭蓋の肥大などが上げられる。実際にはこのような症状が出ないで慢性感染に移行することが多く、数年たってから眼に病変が見付かって先天性トキソプラズマ症と診断されることもある。
 
感染診断
母体が感染したことを診断するには、免疫学的な方法を用いる。(理論的には血液中やリンパ節から原虫を検出することもできるが、一般に困難である。)そこで妊娠がわかったときにはあらかじめトキソプラズマ抗体を調べておくのである。

はじめから陽性であればすでに初感染は済んでいるので胎児への影響はないと考えられる。はじめは陰性であったのに陽転した場合には先天性トキソプラズマ症を発症するおそれがある。

早期薬剤投与によって先天性トキソプラズマ症の発症を抑えることが出来るので早期診断が重要である。治療は主にスピラマイシン(英語版)を用いる。通常用いられるサルファ剤は妊婦には禁忌である。
 
予防
・調理の前後にはよく手を洗う
・園芸や猫の世話をする時にはゴム手袋などを着用する
・生食や無滅菌の牛乳を避け、加熱、燻製、塩蔵がしっかりされた食品をとる
・24時間以上冷凍した食品を使う
・野菜や果物は酢水で洗ってから食べる
・猫はできるだけ部屋飼いにし、生肉を与えたり狩りをさせたりしない
・肉類は十分に加熱し食べる
・妊婦は生肉を取り扱わない

もし飼い猫が外出せず、かつ生肉を食べないのであれば、飼い猫から感染することはまずあり得ない。ゴム手袋などを着用して飼い猫のトイレを毎日清潔に保ち、さらに適宜ゴム手袋を消毒すればよい。ただし、どこで食事をしているかわからないようなネコは、近づけない方が感染の可能性を減らせるだろう。
 
生肉、動物、ネコの糞便に汚染される可能性があるものなどを取り扱う職業に就いている場合は注意が必要である。獣医師や繁殖家とその補佐、食肉処理場・加工場や肉屋の従業員や検査員、農家、造園家、研究施設や衛生試験場の技師、医師や保健衛生関連の専門家などが該当する。
 
疫学
Question book-4.svg この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2009年2月)
 
成人での抗体陽性率は、アジアでは少なく、アメリカでは約11%、北欧やイギリスで30%以下、ヨーロッパ南部と湿潤アフリカで20〜50%、ヨーロッパ西部では50〜70%に達する。

フランスは特に多いことが知られており、抗体陽性率は全体で80%を超え、妊婦に限っても54%と高率である。これは生に近い肉を好む食習慣があることと関係している。ドイツ(約80%)・オランダ(80%超)・ブラジル(67%)も多い国として知られている。日本では、地域差があるが10%前後となっている。
 
ヒト以外の動物におけるトキソプラズマ症
ヒツジ、ヤギ、ブタ、イノシシのトキソプラズマ病は家畜伝染病予防法において届出伝染病に指定されている。と畜場法において感染食肉は全廃棄の対象となる。トキソプラズマ病以外での全廃棄の対象となる寄生虫病はピロプラズマ病、トリパノソーマ病、旋毛虫病、有鉤嚢虫症がある。治療にはマクロライド系抗生物質、サルファ薬、スルファモイルダプソン、ピリメサミンなどが使用される。
 
関連項目
猫から人にうつる感染症としては、他にパスツレラ症、猫ひっかき病などがある。

参照元 : wiki/トキソプラズマ症