労働者派遣法の改正案 国会に提出

2015年3月13日 9時33分
 
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政府は、派遣労働を巡って、専門性が高いとされる一部の業務を除いて、現在は最長で3年までとなっている派遣期間の制限を撤廃する一方、1人の派遣労働者が企業の同じ部署で働ける期間を3年に制限するなどとした労働者派遣法の改正案を13日の閣議で決め、国会に提出しました。

派遣労働の派遣期間は、現在、「通訳」や「ソフトウェアの開発」といった専門性が高いとされる26の業務では制限がありませんが、それ以外の業務は最長3年までに制限されています。

政府が13日に閣議決定して国会に提出した労働者派遣法の改正案では、派遣期間の制限を撤廃する一方、1人の派遣労働者が企業の同じ部署で働ける期間を3年に制限するとしています。

また、改正案では、派遣労働者の雇用の安定を図るため、派遣会社に対し、派遣期間が3年に達した場合は、派遣先の企業に直接雇用を依頼したり、新しい仕事を紹介したりすることを義務づけています。

さらに、派遣労働者が大幅に増えた場合などには速やかに法律の見直しを検討することが付則に盛り込まれています。

労働者派遣法の改正案は、去年の通常国会と臨時国会に提出されたものの、衆議院の解散などでいずれも廃案となっており、政府は今の国会で確実に成立させたいとしています。

労働者派遣法改正案とは
派遣労働を巡っては、現在、「通訳」や「ソフトウエアの開発」、「財務処理」といった専門性が高いとされる26の業務では、派遣期間に制限がありません。

これ以外の業務は、派遣期間は原則1年で、最長でも3年までとなっています。

改正案では、26の業務以外でも派遣期間の制限を撤廃する一方、1人の派遣労働者が企業の同じ部署で働ける期間を3年に制限するとしています。

これによって、企業は、人を代えれば、期間の制限なく、事実上、何年でも派遣労働者に同じ業務を任せられるようになります。

これに対し、労働組合や野党からは、正社員が派遣労働者に置き換えられ、非正規労働を助長するという批判が出ていました。

このため改正案では、派遣会社に対し、派遣期間が3年に達した場合、派遣先の企業に労働者を直接雇用するよう依頼することや、正社員に採用されなかった場合でも新しい仕事を紹介することを義務づけています。

また、派遣労働者のキャリアアップを図るため、教育訓練を行うことも派遣会社に求めています。

一方、派遣先の企業にも、正社員と派遣労働者との待遇の差を縮めるため、同様の仕事を行っている正社員の賃金の情報を伝えたり、派遣労働者が更衣室や社員食堂を利用できるようにしたりするなどの配慮を義務づけています。

さらに、法案の付則には、法律の施行後、派遣労働者が大幅に増えた場合などは速やかに法律の見直しを検討することが盛り込まれています。

派遣労働の規制緩和
労働者派遣法は昭和60年に制定されてから、これまで、規制緩和によって対象が拡大してきました。当初は通訳や秘書など専門的な業務のみだった派遣労働は、平成11年に、一般事務などでも派遣期間の制限をつけたうえで認められるようになりました。

さらに、平成15年には、労働者への影響が大きいとして認められていなかった製造業でも派遣労働が解禁されます。企業にとっては必要な期間だけ確保できる労働力として急速に拡大し、ピークの平成20年には派遣労働者の数はおよそ200万人に達します。

しかし、リーマンショックによる景気の悪化で、派遣労働者の雇い止め、いわゆる「派遣切り」が相次ぎ、仕事や住まいを失った労働者が東京・日比谷公園の「年越し派遣村」にあふれるなど社会問題となりました。

その後、派遣労働者の数は減少し、おととし6月の時点で127万人となっています。

今回の改正案では、これまで業務ごとに設けられていた派遣期間の制限が撤廃され、企業は、人を替えれば事実上、何年でも派遣労働者に業務を任せられるようになります。

このため、労働組合などからは、派遣労働が企業の中で常態化し、不安定で低賃金の非正規雇用が増えると懸念する声が上がっています。

塩崎厚生労働相「この国会で成立を」
塩崎厚生労働大臣は閣議のあと記者団に対し、「労働者派遣法の改正案は、派遣で働きたい人の処遇の改善を図り、正社員になりたい人をサポートするためのものだ。『一生、派遣のままになる』という安易なレッテルを貼ろうとする向きもあるが、決してそんなことはない」と述べました。

そのうえで塩崎大臣は、去年の通常国会と臨時国会に改正案を提出したものの、衆議院の解散などでいずれも廃案になったことを踏まえ、「3度目の正直であり、この国会で早期に成立させてもらえればありがたい」と述べました。

岡田代表「廃案目指す」
民主党の岡田代表は記者会見で、「3度目の提出ということになるが、この間の議論で、われわれの問題意識に対し、安倍総理大臣がきちんと答弁をしていないと強く感じている。格差拡大の1つの大きな要因は、派遣労働を含む非正規雇用が増えていることで、それを増やさないようにするのが政府の大きな役割であるという根本を、安倍総理大臣は間違えている。予算委員会や厚生労働委員会でしっかりと議論し、2度あることは3度あるということで、廃案を目指していきたい」と述べました。

参照元 : NHKニュース






改正労働者派遣法が閣議決定、特定労働者派遣には3年の経過措置

2015/03/13

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2015年3月13日、政府は改正労働者派遣法案を閣議決定した。6月24日までを会期とする今国会で成立を目指す。法案が可決された場合、2015年9月1日に施行する。

同法案は昨年の通常国会と臨時国会で2度廃案に追い込まれた(関連記事:衆院解散で廃案となった改正派遣法、2015年10月施行シナリオのワケ)。政府は三度目の正直を目指すが、野党は対決法案に位置づけており、先行きは不透明だ。

政府が成立を目指す改正派遣法は、IT業界への影響が予想される二つの制度廃止を含む。「特定労働者派遣事業」と「専門26業務」である。

今回の法改正で、これまで届出制だった特定労働者派遣を廃止し、許認可制に一本化する(関連記事:特定労働者派遣廃止の衝撃)。さらに、派遣期間の制限を受けなかったソフトウエア開発など専門26業務の枠組みを撤廃。一人の派遣技術者が同じ派遣先で働ける期間は、原則で最長3年間とする(同:最長3年へ、派遣の専門26業務撤廃)。

両制度の廃止に当たり、経過措置を講じる。特定労働者派遣に関しては、改正法の施行時から3年間は事業を継続できる。専門26業務の撤廃に伴う期間制限は、改正法の施行以降に締結した派遣契約を対象とする。

参照元 : 日経コンピュータ