カドカワ、「ニコ動」会員減少が迫る統合効果

2017/3/2 5:30
 
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カドカワが手掛ける動画配信サービス「ニコニコ動画」に陰りが見え始めた。有料会員数はサービス開始以来初めて減少に転じ、動画を配信するカドカワの株価も軟調に推移する。出版大手のKADOKAWAとネットメディアのドワンゴによる「異色の統合」から2年半。市場からは統合効果を疑問視する声も出ている。

2月に開催された「闘会議2017」の来場者数は昨年から2万人ほど増えた 

「キタ――――(゜∀゜)―――――!!!」。インターネットで動画を再生しながら画面上に文字を表示できるサービス「ニコニコ動画」は2007年に始まった。動画閲覧はパソコンが主流だった時代に、チャット機能と動画を組み合わせた仕組みが受け、会員数はうなぎ登りで増加した。無料でも使えるが、月額約540円の料金を支払うと高画質の動画をスムーズに見られるなどの特典がある。

当初は時代の先端を行くサービスだったが、無料動画投稿サイトの「YouTube(ユーチューブ)」など動画サービスの多様化や高画質化が逆風となっている。昨年9月時点では256万人だった有料会員数が12月末には252万人と、サービス開始以来初めて四半期ベースで減少した。ニコニコ動画を含むWebサービス事業の16年4〜12月期の営業利益も前年同期比で39%減った。

2016年3月期のカドカワの営業利益に占める、ニコニコ動画を含むWebサービス事業の割合は約3割。4割以上を稼ぐ出版事業に比べると小さいが、ヒット作の多寡に依存しやすい出版事業に比べ、毎月会費が着実に入る動画配信は安定した収益源といえる。今期は映画「君の名は。」関連書籍販売が伸びるなど、出版の好調が目立つが、動画配信の会員数減少が続けば業績への影響は小さくない。 

では、カドカワの苦戦は続くのか。カドカワが抱える書籍や映画といったIP(知的財産)とニコニコ動画で築いた視聴者層についての、市場関係者の評価は高い。例えば出版では青年向けライトノベルなどで他の出版社を圧倒する人気のシリーズを持つ。動画配信でも会員が実際に集まるイベント「闘会議」では2日間で7万人近くを集めるほど熱狂的なファンを多く抱える。

一方で「経営統合による相乗効果が出ていない」(国内証券アナリスト)との声も目立つ。玩具のバンダイとゲームのナムコが12年前に統合したバンダイナムコホールディングスは人気のIPをゲームからアニメ、玩具まで展開する手法が軌道に乗り、17年3月期は最高益を見込む。市場が期待するのは同様の相乗効果だ。統合前のドワンゴはスピード感のある経営で知られただけに、失望感もあるようだ。

カドカワのPBR(株価純資産倍率)は1倍程度で出版社「KADOKAWA」がドワンゴと統合する直前と変わらず、4倍以上あったドワンゴを大きく下回る。岡三証券の森田正司企業調査部長は「市場がカドカワ株を統合前のKADOKAWA株と同様に見ている証拠」と指摘する。

いちよし経済研究所の納博司首席研究員は「出版と動画配信、それぞれの強みが発揮したサービスを出せれば収益への貢献は大きくなる」と話す。果たして期待通りの成果を生み出せるか、タイムリミットはじわりと近づいている。

参照元 : 日本経済新聞 電子版

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