ソマリア海賊らの稼ぎ約4百億円 使途は麻薬、買春や不動産

2013.11.03 Sun posted at 15:51 JST
 
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(CNN) アフリカ東部ソマリアの沿岸海域などで多発する海賊が過去8年に人質の身代金で得た金額は約4億米ドル(約396億円)で、その多くを麻薬、買春、アルコール類や不動産に費やしているとの報告書を国連の捜査部門が3日までにまとめた。

報告書作成には、国際刑事警察機構(ICPO)や世界銀行も協力。ソマリア、ジブチ、エチオピア、ケニアやセーシェルにある海賊に関係する拠点の実態などを調べた。

2005年4月から昨年末までソマリアや「アフリカの角」地域の沖合では計179隻が乗っ取られ、このうちの約85%が身代金を払った後、解放された。アフリカの角は、エチオピア、エリトリア、ジブチにソマリアが隣接する地域を指す。

報告書によると、身代金の約30%から半分は海賊に活動資金を渡す人物が手にする。公海に出て船舶乗っ取りなどの犯行に加わる末端の海賊の報酬は1隻当たり3万ドルから7万5000ドルまで。標的の船舶に乗り込み、武器を使用する役目の海賊には1万ドルのボーナス金が出されるという。

命令に背いたり、乗っ取った船舶乗員を虐待し、犯行の途中で居眠りするようなミスを犯した海賊には罰金が科せられる。

犯行に必要な食事、飲み物などの経費は海賊の資金提供者が支払い、身代金から最終的に差し引かれる。身代金が将来の海賊行為の資金となったり、不動産購入、ソマリアなどでの嗜好(しこう)品である麻薬の一種チャットの取引や他の商売の資金になる場合もある。

乗っ取った船舶が運ばれる港では、コック、売春斡旋(あっせん)業者、弁護士や民兵組織も身代金の恩恵にあずかる。報告書によると、ソマリアのアルカイダ系過激派シャバブの支配地域で活動する海賊は寄港を許してもらう「開発税」も払っているという。

海賊への資金提供者は、身代金を国境を超えた密輸、資金洗浄や電信送金を通じて動かしている。他の犯罪活動の資金となったり、人身売買や民兵組織への融資としても使っている。

身代金をチャット取引の権益確保に使うことも目立つ。ソマリアの隣国ケニアではチャット取引への政府の監視が緩く、同国は多くのもうけが見込める供給国になっているという。

海賊行為は2011年以降、減少している。しかし、世界経済への悪影響は変わらず、年間の被害額は180億ドルともされる。海賊の出没海域での海上交通の減少、観光業を停滞させ、一部の地域社会にとって生命線でもある送金業務の停止などの弊害を生んでいる。

参照元 : CNN.CO.JP









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