ガス料金:経産省、値上げ査定を厳格化

2013年07月12日 20時12分

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経済産業省は12日、ガス料金制度の見直しに着手した。天然ガスなどの原料費や人件費といった原価(費用)に一定の利益を上乗せして料金を算出する「総括原価方式」にメスを入れ、値上げを認可する際の査定を電気料金並みに厳格化する。大手ガス会社を中心に値上げ幅を抑制したり、値下げを促進する効果が期待できそうだ。

経産省の総合資源エネルギー調査会のガス料金制度小委員会(委員長・山内弘隆一橋大大学院教授)が、12日に初会合を開催。値上げの際に経産相の認可が必要な家庭や商店向けの小口契約を対象に、昨年3月にまとめた電気料金の制度改革に準じて見直しを進める。年度内にもガス料金の査定方針を改正する。

ガス料金は人件費や修繕費などガス会社がさまざまな原価を積み上げた「総原価」を基に決められる。安定供給を確保するために認められている制度だが、不要な費用まで原価に入れられ、料金が高く設定されているとの指摘が出ていた。

見直しでは、広告・宣伝費や交際費などを原価に算入することを原則的に認めない方向だ。人件費は社員数が同規模の企業の平均値などを基本に算定。競争入札を増やすことで修繕費や設備投資費用なども圧縮し、総原価の半分以上を占める天然ガスなどの原料費についても効率的な調達を求めていく考えだ。

また、ガス会社が費用を多めに見積もれば、料金も不必要に高くなるため、実際にどのぐらいの費用がかかったかをガス会社に細かく説明させ、過大な見積もりを防ぐことも検討する。ガス会社が経営努力とは無関係に利益が出ているようなケースが明らかになれば、値下げせざるを得なくなりそうだ。

ただ、東京電力など10社が地域独占する電力業界と異なり、ガス事業者は全国で約200社あり、中小事業者も多い。厳格な値上げ審査は東京ガス、大阪ガスなどの大手に限る方向だ。【大久保渉】



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