コインチェック被害者の私が冷静だったワケ。相場に動じない2つのコツ=午堂登紀雄

2018年2月6日

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私はコインチェックでNEMを持っていましたが、この騒動でも慌てることはありませんでした。(結果的に直接の損失はなかったものの)事件に巻き込まれた被害者のひとりとして、動揺せずに相場の乱高下を見守れた理由を書きたいと思います。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

事件をきっかけに市場は健全化へ。乱高下で慌てない投資の心構え


巻き込まれたコインチェック騒動
先月26日、私も口座を持って保有している仮想通貨取引所のコインチェックは、NEM(ネム)約580億円分(5億2300万NEM)を外部からの不正アクセスで消失し、取引を一時停止したと発表しました。

念のため私もコインチェックの自分のウォレットを見てみましたが、減ってはおらずひと安心。もっとも、コインチェックでは少ししか持っていなかったので、狙われなかったのかもしれません。

しかし、大幅に下落している。安い時に買っているので含み益は出ていますが、下がり方がすごいです。予想以上に上昇し、予想以上に下落。というか、元に戻ったというか、参加者が冷静になったというか…。

でもまぁ、私はこうした報道をほとんど気にすることはありませんでした。今回は、私が動揺しなかった理由について書きたいと思います。

いきなり火を吹いた仮想通貨バッシング

昨今は仮想通貨をめぐる報道や各種コラムが増え、大騒ぎといった状況です。

確かに某芸人のようにほぼ全財産を突っ込んでしまった人には悲劇だとしても、そんな鬼の首を取ったように大騒ぎすることもなかろう…と感じてしまいます。

と思ってそうした記事を書いている人の立場を考察すると、おそらく仮想通貨に乗り遅れた人の「それみたことか」という嫉妬というか、やっかみなのでしょう。

濡れ手に粟で数千万円、数億円を手にした素人がいる一方、自分は冷ややかに見ていて儲けそこなった。そのため、「バブルだから崩壊すると警鐘を鳴らしていたんだ」「最初から信用できないと言っていただろう」という論調の記事を書く専門家が多いのでしょう。

ビットコインの乱高下で一喜一憂している個人投資家は、昨年後半から参入した人たちであり、かつビットコインを「資産形成の手段」と捉えている人たちのようです。高値圏で掴んでしまったら当然下落は恐ろしいし、資産形成の手段として虎の子のお金をつぎ込んでしまったらやはり減るのは恐ろしいでしょう。

仮想通貨投資はギャンブルかゲーム

仮想通貨のキーテクノロジーとなるブロックチェーン技術そのものは、送金・決済・交換・保管・トラッキングなどにおいてイノベーションを起こす期待があります。

しかし仮想通貨は、株やゴールドのように裏付けのあるものではないし、FXのようにファンダメンタルや統計指標の発表など、値動きの根拠がわかる材料もない。

そのため私個人としては、仮想通貨投資はギャンブルかゲームという位置づけです。また、投資額もそれほど多くはなく、最悪全部なくなってもいいやと思える資金しか使っていません。

確かに2017年12月に自分のウォレットを見たときはドキドキ高揚しましたし、あのとき決済しておけば…という若干の後悔もないわけではありません。しかし、もはや価格がどうなろうとまったく気にならず、気絶投資法で今でも持っています。

相場に一喜一憂しないための「2つのコツ」

そこで、相場に一喜一憂しないための方法として、2つのコツをご紹介します。

<その1:「資産形成」と「おこづかい稼ぎ」を分けて運用する>
資産形成は、たとえば積立NISAや確定拠出年金、あるいは貯蓄型の保険などを利用し、そう大きく儲からなくても価格が大きくブレにくい対象をコツコツと積み重ねていくもので考えます。

おこづかい稼ぎは、たとえば株やFXのデイトレードなどのようにある意味ゲームとしてとらえ、それで仮に損したとしても「遊べたからいいや」と割り切って考えることです。

私も積立NISAも確定拠出年金も貯蓄保険も加入していますし、FXではスワップポイントをじっくり積み重ねていく口座と、スマホゲーム感覚で数百円単位でちょこちょこと「おこづかい稼ぎ」をしている口座を分けています。今まではトルコリラの大暴落のため資金が動かせず、スマホゲーム用の口座は残高ゼロですが、もう少ししたら再開予定です。

<その2:まわりがまだ迷っているアーリーステージに参入する姿勢を持つ>
たとえばブログやメルマガを黎明期に始めた人は、数多くの読者を獲得してマネタイズできていますが、遅れれば競争は激しくなる。2000年ごろに中国の不動産投資、2009年ごろにアメリカの不動産投資をした人は大きく儲かっていますが、今からだと難しいかもしれない。

仮想通貨も同様に、周囲が「よくわからない」と様子見をしているタイミングこそ、人より余計に調べて勉強して、ちょっとでもいいので実践してみる。

そうやって黎明期に動く姿勢が、のちに大きく刈り取れる可能性を高めてくれるのではないでしょうか。

日本は金融システム変革の波に乗り遅れる

盗まれたのはすべて顧客資金だそうですが、コインチェックは全額自己資金で返還するそうです。加重平均のため価格は下がりますが、男前な対応ですね。この発表に好感したのか、価格は少し戻しました。

しかし、金融庁の検査やコインチェックの不正な資金移動が報道されると、再び下落。このニュースは世界中の投資家を震撼させたようで、「やはり金(ゴールド)だ」と金に少し資金が移動したようです。

それにしても、ネットのニュースなどを見ると、コインチェックは「無責任体制だ」などとボコボコに叩かれていますね。3Dプリンタで殺傷能力のある拳銃を作った人が逮捕されたニュースで「危険だ」などと言う人が多かったように、日本人にはこういうものはなかなか受け入れられないのでしょう。

新しくてしかもよくわからないものに恐怖感を抱き、それで儲ける人に嫌悪感を示し、それをやっている企業も糾弾する。

このような姿勢だと、ブロックチェーン技術そのものが国内で支持されず、世界的な金融システム変革の波に乗り遅れるのではないかと懸念しています。

私自身、現在流通している仮想通貨の価値は下がっていき、最後は国家やそれに準じた組織が発行する暗号通貨にとって代わられると予測しています。しかしそれは、ビットコインが盛り上がったからこその変革です。

昔、セカンドライフというバーチャル世界が話題になったことがありますが、それは普及しませんでした。誰かの利権を奪うような存在ではなかったからでしょう。

しかし仮想通貨は金融業界にとって無視できない存在になったため、世界が急速に動き始めました。

新しいものを受け入れる姿勢というのは、非常に重要なことではないかと思います。

仮想通貨市場は健全化へ向かっている

ただし前述のとおり、実体としての裏付けがないものに全財産を投下するのはやはり発想が甘いとしか言いようがありません。

私の場合は500万円弱ですが、FXには3,000万以上、太陽光発電事業の準備資金として手元に1,000万の資金を残した、あくまで余裕資金です。

コインチェックをめぐる騒動はまだ一波乱も二波乱もあるかもしれませんが、金融庁も管理を厳格化しようとしているなど、市場健全化のきっかけになったと思います。

そうやって安心して取引ができる環境が整備されてくれば、価格もまた持ち直すのではないでしょうか。

参照元 : マネーボイス