全成人に毎月8万円配布のベーシックインカムを提案する --- 松尾 勉

2017/7/8(土) 7:11配信

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1.ベーシックインカムが世界を席巻する

民進党から次期衆院選目指して活動中の静岡2区の松尾勉です。現職ではありませんが、いよいよベーシックインカムが世界を席巻しようとしている中、いても立ってもいられず世界に先駆けて日本がベーシックインカムを導入するべく、具体的な提案をしていきます。おそらく我が国最初の包括的提案となります。

そもそもベーシックインカムとは何か。「最低限の生活保障」や「基本所得の保障」的意味合いでとられる方が多いと思いますが、今のところ明確な定義はありませんし世界で導入している国もありません。最も具体化に近いのはフィンランドであり、毎月560ユーロ(約7万円)を2,000人に配布するという導入試験が行われています。これは行き過ぎた行政の肥大化を抑止するのが一義的な政策目的と言われています。

また、アメリカの有名新興企業の経営者(例えばFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏やテスラのイーロン・マスク氏)がベーシックインカム導入に積極的なメッセージを発信していますが、その理由はAIやロボット発達に伴う富の偏在化への防波堤という意味合いが強いようです。

2.日本こそ、ベーシックインカム導入を

しかし実は、このベーシックインカムを掘り下げていくと日本こそ最も劇的な効果が見込めることが分かってきます。とりわけ、高齢化に伴う社会保障政策の限界、個人消費が伸び悩む経済状況の改善、格差の是正に大きく寄与する政策となりえます。また、「成長か分配か」、「積極財政か財政再建か」という二項対立を超えて「成長と分配」「積極財政で財政再建」の両立をもたらし、行政改革まで可能となるのです。

やや先走りましたが、なぜ日本でベーシックインカムなのかを今一度整理します。

従来、我が国は成長一辺倒でその果実を頼りに社会保障や福祉の充実を図ってきました。しかし人口ボーナスのある時代が終わり、逆に人口減少・高齢化社会に突入していきます。働き手が一手に社会を担う仕組みは限界に近づいています。現に、いわゆる生産年齢人口(15〜64歳)は既にピークから600万人以上減少し、あと30年もすると高齢者割合とイコールになります。働き手が社会の担い手とする発想から、全ての人が社会の担い手を探ることが社会存続の近道となります。

同時に、日本だからこそという積極的な意味合いもあります。従来から「お互い様」の文化を持つ我が国の伝統。しかし、資本主義によって格差が広がり我が国の良さを打ち消してしまいました。加えて権力と既得権の癒着に伴う政治・行政不信。こうした不信感を一掃し、お互い様を取り入れた新資本主義を実現し行政の透明化も果たす、それがベーシックインカムの威力なのです。

参照元 : アゴラ