金正男の刺青、「短命二郎」モチーフだった 公開の裏に熾烈な情報戦

2017/3/15(水) 8:03配信

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謎に満ちた「金正男暗殺」は、ひと月以上経っても解明は道半ば。遺体の「刺青」画像まで飛び出したが、このモチーフ、『水滸伝』梁山泊に集った108人の1人、「短命二郎」と呼ばれる人物だとか。そこには齢45で逝ったプリンスの人生も重ね合されるのである

まずは、掲載されている写真を見ていただきたい。でっぷり出たお腹の乳首とヘソの間に、髪をふり乱した男が2匹の鯉と格闘している図柄。

これは、マレーシアの大手紙「ニュー・ストレイツ・タイムズ」が3月3日、「金正男の遺体の刺青」として掲載したイラストだ。同紙自体は実際の画像を入手しているが、それがあまりにおぞましかったか、あるいは、「わかりやすさ」の追求のためか、イラスト化したものを出したのであろう。しかし、こうした生々しい“ブツ”が出回ること自体、この事件の異常性を示していると言えなくもないのである。

「この写真が出てきた背景には、今のマレーシア当局の焦りがあると思います」

と言うのは、マレーシアの現地紙記者。

「捜査は膠着状態。関与したと見られた北朝鮮籍の男性4人に国外逃亡を許し、逮捕できた唯一の北の男も証拠不十分で起訴できずに終わった。そればかりか、正男の親族も、庇護者の中国政府の意向なのか、一向にマレーシアを訪れず、DNA鑑定が進まない。北朝鮮が『死んだのは正男と別人』と喧伝しているのはともかく、ここに来て、他国メディアでも同様の声が上がり始めていました」

この論拠となったのは「刺青」の有無だ。本人が身体に彫り物を入れていたことは広く知られていて、画像も残っている。正男氏自身が、2013年、知り合いのフジテレビ記者に送った上半身裸の写真に、「くりからもんもん」がはっきりと映っているのだ(写真中央)。

一方、既に公開されている、襲撃直後椅子にぐったりと横たわる正男氏の写真(同左)を見ると、シャツから覗くヘソ下の部分にそれが見当たらない。そのため、日本も含めて、さまざまなメディアで「殺されたのは影武者」説が飛び交い始めたのである。

先の記者が続ける。

「国民の不安も高まり、これが正男だと確証を持っている当局にとっては、苦しいところでした。そこで、政府と近いニュー・ストレイツ・タイムズに遺体の腹が映った写真を流し、刺青を見せることによって“死んだのは正男本人”とのメッセージを国民に流したのです。イラストで見ると彼の刺青はヘソの上に留まっている。これで襲撃直後の写真との矛盾も解消できる

裏に熾烈な情報戦が隠れていたというワケなのだ。

■許永中を“アニキ”
こうしてひょんなことから彼の同一性を示す指標として注目を浴びた「刺青」。

北朝鮮事情に詳しい宮塚コリア研究所の宮塚利雄代表が、

「儒教文化の根強い朝鮮半島では、親からもらった身体に傷をつける刺青は根付きません。刺青をした人はほとんど見られませんし、彫師もいない」

と言うように、正男氏のような大掛かりな彫り物は、極めて稀なケースなのだが、では一体、如何にして彼はその道に手を染めたのか。

正男氏の知人が言う。

「彼はもともと日本の任侠道や仁義の世界が好きで、ヤクザ映画を集め、よく見ていました。90年代に正男が日本に何度も密入国していたのは有名ですが、その都度、赤坂の韓国クラブなどで、在日ネットワークで知り合ったヤクザと酒を酌み交わしていました。あの許永中とも面識があり、“アニキ”と呼んで慕っていたくらいです」

そうした“憧れ”の行き着く先に「タトゥー」があったのは、想像に難くない。

元毎日新聞ソウル特派員の早稲田大学・重村智計名誉教授が言葉を継ぐ。

「“若気のいたり”で彼が刺青を入れたのは、90年代後半と言われています。浅草の有名彫師のところで、背中一面に龍の彫り物を入れてもらったそうです」

2001年、正男氏が偽造パスポートで来日。入国時に入管に拘束され、国外退去を命じられた一件はあまりに有名で、

「その際、彼を素っ裸にして写真撮影をした職員は、背中の立派な刺青にビックリしてしまったというのです」(同)

この「龍」のモチーフは、刺青界の定番中の定番だが、一方で、

「今回報じられたお腹の刺青は、『水滸伝』の登場人物の1人、阮小五(げんしょうご)がモチーフであると思います」

と言うのは、「タトゥー・バースト」誌で編集長を務めたライターの川崎美穂氏である。

「阮小五の図柄は業界ではよく見られます。彼は、あだ名を『短命二郎』といい、反骨精神旺盛で、義にあつい人物とされている。また、阮小五自身が、胸に刺青を入れているので、その彼を彫ることは、『二重彫り』と言われ、非常に人気が高いのです。反骨の人にとっては、メンタルを重ねやすいモチーフでしょうね」

実際、『水滸伝人物事典』を開いてみると、阮小五は、

〈手は鉄棒のようにかたく、眼は銅鈴のよう。胸には青ぐろい豹のイレズミがある。バクチずきで義にあつい。塩の密売もするが、おもには湖で魚をとってくらしをたてていた〉とある。

実際の金正男氏も、カジノ好きで、一度会っただけの記者にメールを出すほど、「義にあつい」一面もあった。

また、梁山泊で活躍した後、「短命二郎」は戦に敗れて命を落とすが、これも不慮の死を遂げた彼の人生と重なり合って、十分に示唆的と言えるのだ。

川崎氏が続ける。

「ただ、この絵を見ると、一般的な阮の図柄とは違い、とても日本の彫師が彫ったものとは思えない。おそらく、東南アジアのどこかで、日本の彫り物に似せて彫られたものでしょう。色を入れていない『筋彫り』に見えますので、値段は15万円ほどでしょうか。1日3時間ずつ、3日もかければできるものです。それにしても、背中を彫って、続いて今度はお腹一面というのは、バイク好きがどんどん愛車を改造していくのと一緒で、刺青にすっかり嵌ってしまっていたということでしょう」

2001年の“失敗”以来、正男氏は日本に入国できなくなった。それもあり、海外の彫師のもとで新たに腹にも入れたのだろうが、

「正男は最近もマカオのカジノで、日本の暴力団風の男とつるんでいたのを目撃されていた」(先の知人)

と言うから、結局、“その世界”への憧憬は最後まで止まなかったようなのだ。

折しも3月6日、北朝鮮は日本海に弾道ミサイルを発射し、金正恩の暴走は歯止めが利かなくなる一方。

その弟に唯一人警鐘を鳴らしていた兄が、腹に彫られた「義賊の男」と共に葬り去られるとは、彼(か)の国の血脈の「業」の深さを改めて思い知らされるのである。

特集「『金正男』刺青は『水滸伝』の『短命二郎』だった」より

「週刊新潮」2017年3月16日号 掲載

参照元 : デイリー新潮


▼死亡時の旅券の名は「キム・チョル」だったが……(NEWS STRAITS TIMES HPより)

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金正男氏の遺体 子どものDNAサンプルで身元確認

2017/03/16 05:54

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マレーシアのザヒド副首相は、殺害された金正男(キム・ジョンナム)氏の身元の特定について、正男氏の子どもから提供されたDNAサンプルで確認したことを明らかにしました。

マレーシア、ザヒド副首相:「金正男氏の子どもから提供されたDNAサンプルに基づいて、遺体は金正男氏だと警察は確認した」

一方、提供されたDNAのサンプルが正男氏の息子のハンソル氏のものであるかまでは言及しませんでした。また、北朝鮮にいるマレーシア大使館の職員ら9人が出国禁止になっている問題について、北朝鮮との協議を13日から開始したことを公式に認めました。

ボルネオ島にある施設では、不法に就労していた50人以上の北朝鮮人が収容されています。マレーシア政府は強制送還する方針ですが、施設の関係者は「両国の協議の結果が知らされていないので、送還の時期は分からない」としています。

参照元 : テレ朝ニュース



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防腐処理、効果は3カ月=正男氏の遺体―マレーシア通信社

2017/3/17(金) 18:31配信

【クアラルンプール時事】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏殺害事件で、マレーシア国営ベルナマ通信は17日、正男氏の遺体に施された防腐処理の効果は最大3カ月だと報じた。

遺体が安置されているクアラルンプールの病院筋の話として伝えた。それによると、防腐処理していない場合、霊安室の冷凍庫で腐敗させずに保存できるのは1〜2週間。同筋は「正男氏殺害の捜査が長引くかもしれないので、腐敗を防ぐため遺体の防腐処理を決めた」と説明した。

遺体の防腐処理は、ザヒド副首相が14日に公表した。地元メディアによると、12日に防腐処理が行われた。警察幹部によれば、遺体の扱いについて、正男氏の家族はマレーシア政府に一任したとされる。

参照元 : 時事通信


金正男氏の身元確認に子どものDNA使用 マレーシア副首相が発表

2017年03月15日 19:05

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【3月15日 AFP】(更新)マレーシアのアフマド・ザヒド・ハミディ(Ahmad Zahid Hamidi)副首相は15日、クアラルンプール国際空港(Kuala Lumpur international Airport)で先月殺害された男性が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏と確認されたことについて、身元の確認に金正男氏の子どものDNAを使用したと明らかにした。

ハミディ副首相は、捜査関係者が「金正男氏の遺体の身元を、同氏の子どもから採取したDNAサンプルを基に確認した」と述べた。

マカオ(Macau)で暮らしている金正男氏の妻と子どもたちは、事件以来身を潜めており、21歳の息子キム・ハンソル(Kim Han-Sol)氏が、暗殺の次の標的になりうると懸念されている。(c)AFP

参照元 : AFP BBNEWS