国保悪用の外国人急増も…発覚は氷山の一角

2017.1.6 09:40

2017-01-07_083357

日本の公的医療保険制度が外国人に悪用されている問題について、複数の医療関係者は「悪用されているのは国民健康保険だけではない。明るみに出ているのは氷山の一角だ」と指摘する。「医療ツーリズム」の進展により、日本で医療を受ける外国人の増大が今後も見込まれる中、医療機関以外も含めた関係機関の連携や、ビザを発行する水際での対策が必要となりそうだ。

中国語で「肝炎」「ハーボニー(C型肝炎の治療薬)」「日本」などのキーワードを打ち込むと、「安価で治療が受けられる医療機関を紹介する」などとうたったブローカーのサイトがいくつも出てくるという。ある医療関係者は「外国の資産家は米国で医療を受ける。通常の医療はアジアの近隣国で受ける。日本は医療保険のおかげで先進医療が安く受けられるため、そこが狙われている」と話す。

例えば12週間の投与で9割以上の治癒率を誇る「ハーボニー」は、1錠約5万5千円と高額だ。12週の薬剤費だけで470万円ほどかかるが、国の肝炎医療費助成制度を使えば患者の自己負担は月1万〜2万円となる。

また、医療保険加入者の約3割を占める「協会けんぽ」(中小企業の従業員らが加入)でも、悪用が横行していると指摘されている。

協会けんぽでの審査は事業所のある日本年金機構の各年金事務所が行い、支払いなどの運営は全国健康保険協会が担っている。海外にいる外国人も条件を満たせば扶養親族として健康保険に入れることができるため、医療関係者は「中小企業で働く中国人らが、故郷にいる親を扶養家族にした上で日本で治療させる例が多い」と打ち明ける。

ただ、こうした事例は、発覚しているもの以外にも相当数あるとみられている。中国では親子であっても名字が異なることが多い上、「中国国内で親子関係の証明書も偽造できる」(医療関係者)ため、不正を証明することが困難だからだ。

さらに、日本の医療機関にとっても、自費診療で高額な治療費が回収できない事態になるよりは、保険料から確実に回収できる方が望ましいという事情がある。

小規模な医療機関などでは被保険者の資格を詳しく調べることは難しく、「仮に受診を断ったとしても、患者は別の医療機関に行くだけ」(同)という。

参照元 : 産経新聞