小型機が住宅街に墜落 3人死亡5人けが 東京

2015年7月26日 20時03分
 
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26日午前11時ごろ、東京・調布市の住宅街に小型機が墜落して住宅3棟が焼け、警視庁によりますと、小型機に乗っていた2人と住宅にいて巻き込まれた女性1人の合わせて3人が死亡しました。また、小型機に乗っていた3人と住宅にいた女性2人の合わせて5人がけがをして病院に運ばれました。警視庁は、業務上過失致死傷の疑いもあるとみて捜査を始めました。
 
26日午前11時ごろ、東京・調布市富士見町の住宅街に、小型機が突っ込むように墜落しました。東京消防庁によりますと、現場付近では黒い煙が上がり、小型機のほか、住宅3棟と車2台の合わせて220平方メートルが焼けました。また、周辺の住宅6棟も被害を受けました。
 
警視庁によりますと、小型機に乗っていた男性2人と、住宅の2階にいて巻き込まれた女性1人の合わせて3人が死亡しました。また、小型機に乗っていた男性3人がけがをし、亡くなった女性と同じ住宅にいた女性1人と、隣の住宅にいた女性1人の合わせて5人がけがをして、病院に運ばれました。

警視庁によりますと、5人のうち小型機の1人は重傷とみられ、残る4人は意識ははっきりしているということです。墜落した小型機の機体の整備や管理を行っている「日本エアロテック」や搬送先の病院によりますと、小型機には、横浜市港北区の川村泰史機長(36)と、東京・練馬区の早川充さん、東京・港区の森口徳昭さん(36)と、東京・文京区の花房剛さん(35)、それに埼玉県三郷市の(みさと)田村康之さん(51)の合わせて5人が搭乗していたということです。
 
午前11時に調布飛行場を離陸して伊豆大島に向かい、日帰りで調布飛行場に戻る計画だったということです。会社によりますと川村機長は、アメリカで飛行機の操縦の訓練をして免許を取り、小型機のパイロットを養成する会社を立ち上げたということです。
 
これまでの飛行時間は600時間から700時間だということで、最近、川村機長の小型機に搭乗するのは、小型機の免許を取得したいという人や、日本で飛行機を操縦したいという人が多かったということです。
 
小型機が墜落した現場は、東京・調布市富士見町の住宅が建ち並ぶ地域で、周辺には、商店や中学校、それにテニスコートや少年野球場などの運動施設があります。また、現場から500メートルほどの所には、調布飛行場があります。調布飛行場では、26日午後1時半すぎ、警視庁捜査1課の腕章をつけた捜査員数人が飛行場の管理事務所やターミナルビルに入りました。
 
また、飛行場の近くにあり、墜落した小型機の運航・管理を行っている「日本エアロテック」の事務所にも午後2時すぎから警視庁の捜査員数人が出入りしています。関係者から墜落した小型機の運航状況などについて説明を求めているものとみられ、警視庁は、業務上過失致死傷の疑いもあるとみて捜査を進めています。

現場近くの人の話
現場の近くに住む82歳の女性は、「午前11時すぎから辺りが騒がしくなり、外に出たら20メートルから30メートルほど離れた住宅に飛行機が墜落しているのが見え、炎や煙が上がっていた。
 
飛行場に近いとはいえ、まさか墜落するとは思わなかったので驚いている」と話していました。また、周囲で目撃した人からは、自分の家のすぐ近くを飛行機が通過したと聞かされたということで、「本当に危なかったと聞き、恐ろしい気持ちになりました」と話していました。

また、60代の男性は、「自宅の2階にいたら家が大きく揺れて爆発音がした。外に出たところ、燃えている家の前の路上に小型機に乗っていたとみられる男性が倒れていた。近所の人と協力して安全な場所に運んだが、男性は声をかけても返事がなく意識がない様子だった。手から少し出血していたが、それ以外に外傷はないように見えた。男性が倒れていたのは火の上がっているすぐそばでとても熱かったが、とにかく助けなければと思い必死で運んだ。こんなに近くで墜落事故が起き驚いている」と話していました。
 
運輸安全委の主管調査官「これから調査していきたい」
 
国の運輸安全委員会の原山和幸主管調査官は、調布飛行場で報道陣の取材に応じ、「尾翼など機体後部は、小さな損傷はあるものの焼損はしていなかったが、機体の前の部分は焼損しており、エンジン部分も含めて損傷は激しかった。機体の一部が、手前の住宅の屋根に接触し、その後、火災が起きた住宅に墜落した可能性があり、機体は一部がひっくり返った状態だ。一般的に離陸直後は操縦が難しい段階なので、機体にトラブルがなかったかや操縦に問題がなかったのかについてこれから調査していきたい」と述べました。
 
事故機は11年前にも事故
墜落した小型機は、およそ10年前、札幌市の空港で、機体を地面に接触させ、プロペラなどが壊れる事故を起こしています。
 
国土交通省によりますと、墜落した小型機は、11年前の平成16年10月、札幌市の丘珠空港に着陸した際、滑走路脇の草地に機首部分を接触させる事故を起こしました。

けが人はいませんでしたが、このとき、プロペラが変形するなど機体の一部が壊れました。国土交通省によりますと、その後、機体は修理され、国の検査にも合格しているということです。また、ことし5月1日にも国の検査に合格していて、この時点で、機体に異常はなかったということです。

また、事故機は、アメリカ製のパイパーPA46型機という単発のプロペラ機で、この中でも「350P」と呼ばれるタイプの機体です。
 
通称は「マリブ・ミラージュ」で、日本国内では10機ほどが登録されているということです。こうした単発のプロペラ機は日本国内で、合わせておよそ500機が登録されているということです。

調布飛行場とは
東京都によりますと、調布飛行場は、平成4年に都が国から管理を引き継ぎ、平成13年からは都営の空港となっています。住宅地に近いことなどから、調布市など地元自治体との覚書などに基づき、遊覧飛行や周辺空域での訓練飛行も禁止されています。
 
また、年間の離着陸回数は2万3000回程度を上限としていますが、去年1年間の離着陸回数は1万6054回で、このうち、▽離島への定期便が8511回だったほか、▽自家用機や、整備目的などの利用が1645回、▽航空測量や写真撮影、救急搬送などそのほかの利用が5868回だったということです。
 
都によりますと、調布飛行場では、去年10月、個人が所有する小型のプロペラ機が着陸しようとしたところ、車輪が出ずに滑走路に胴体着陸しましたが、乗っていた3人にけがはありませんでした。

参照元 : NHKニュース