【橋下氏出馬断念】大阪市職員が本音「アホ(選挙民)も少しは賢くなった」

2014.11.25 06:30

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来る衆院選への出馬の考えを示していた橋下徹大阪市長(維新の党代表)と松井一郎(大阪府知事)が11月23日、国政に鞍替えしないことを明らかにした。同党が掲げる看板政策「大阪都構想」の実現と2015年4月に実施される統一地方選に集中するためだという。

18日に同党は、橋下徹大阪市長を衆院・大阪3区の、松井一郎大阪府知事を衆院・大阪16区の支部長とする選挙区支部設立届を大阪府選挙管理委員会に提出していた。両氏はそれぞれ支部長に就任したことから、衆院選への出馬が確実視されていた。

政界では選挙区支部設立届を出し支部長に就任し、出馬を見送る行為は、「政治家としての信頼を失う」(公明党参院議員秘書経験もある大阪の地方議員)ことから、今後、橋下・松井両氏の政界並びに首長を務める大阪府・市議会、同職員への影響力低下は避けられない情勢だ。

アホ(選挙民)もちょっとは賢くなってる!

橋下・松井両氏が国政への出馬を見送った23日、大阪市役所本庁に勤務するA係長(仮名・40代)は、「国政転出を断念という報道に接しても、さほど驚くことはない」とし、18日以降の市役所内の雰囲気についてこう話す。

「“プチ橋下”と呼ばれる市長部局の一部の腰ぎんちゃくを除けば、職員の総意は、『大阪市役所から早よ出て行け! 二度と大阪の土踏むな』です。しかし、市長はそもそも政治家としての常識をお持ちでない。だから、『(市長を)辞めるのや〜めた!』と言いかねないという声も多々出ていました。それが現実化して不愉快極まりないです」

また今回の報道を受けてA係長は、「あ、やっぱり大阪に留まりよったかと。2011年の市長当選時と違い、選挙民も見る目はもう醒めてきている。福祉政策に明るい公明現職が強い地盤を持つ大阪3区から出ても市長の掲げる政策では当選は困難でしょうし。日雇い労働者が多く生活保護世帯が多い選挙区です。生活保護受給世帯削減を目指す市長への風当たりは強い。出馬見送りは賢明な判断です」と付け加えた。

かつて橋下市長の市政改革を、「アホ(選挙民)がアホ(橋下市長)を選んだ」とメディアに語り、当時、ネット住民の間で話題になったA係長だが、今回の橋下・松井両氏の国政転出を巡るドタバタ劇をこう評す。

「アホ(選挙民)も当選後の橋下市長の動きをみてちょっとは賢くなった。さすがに市長もその空気感を察したのでは? 市長は、『もうアホ(選挙民)を騙せんなあ』と思われたのではないですか。負け戦をするよりも首長に留まったほうが得策でしょう」

学会幹部「橋下らの不出馬は信心の勝利」と祝杯

大阪市職員から散々な言われようの橋下市長だが、来る選挙戦で橋下市長から宣戦布告された公明党はこの動きをどうみているのか。公明党支持母体である創価学会で「支部長」の肩書きを持つ地元学会幹部のB氏に話を聞いた。

「公明支持母体として我々の必死の題目(祈り)が叶った。それだけや。信心の戦いで勝利した。今回の橋下・松井の出馬取り消しは婦人部の祈りが強かった。仏の軍勢に怯えて逃げよった。信心の凄さがわかったこと。それが収穫。来る衆院選も大勝利するで!」

公明党の支持母体・創価学会は、大阪3区と同16区で早くも公明候補の当選確実ムードに湧いている。地元学会幹部・B氏も大阪市内にある創価学会関西本部近くにあるお好み焼き店で選挙の実働部隊となる壮年部員、男子部員と呼ばれる部下学会員を引き連れ、早くも祝杯をあげてきたと話す。

こうした動きを、前出の大阪市A係長は、「公明潰しを目的とする橋下市長の国政転出は市職員も評価していた。今からでも遅くないから国政挑戦断念を撤回して出馬して貰いたい。大阪市職員は組合総出で応援します!」と市職員の“天敵”・公明潰しに、同じく“悪魔”・橋下市長にエールを送る。

「仮に橋下・松井両氏が国政転出で共倒れし、公明が自民に弾き飛ばされて存在意義がなくなると、その受け皿として共産、民主の票が伸びて大阪市政も期待できます。平松邦夫前大阪市長に戻ってきてもらえると、市政に自信が持てます」(前出・大阪市A係長)

維新の党ツートップの不出馬で不発に終わった“大阪・冬の陣”、投開票は12月14日、夜には大勢が判明する。

(取材・文/陳桂華)

参照元 : DMMニュース