敗血症、炎症反応広がり臓器に傷 …年に数万人以上が死亡か

2014年9月26日(金)14時35分配信

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細菌やウイルスに感染し、全身に炎症反応が広がって臓器を傷つける「敗血症」。死亡者の数は年々増え、年間数万人以上とされるが、あまり知られていない。早期発見で治療成績が上がるため、専門医らは「異変があったらすぐに医療機関を受診して」と呼びかけている。

「こんな恐ろしい病気、知らなかった」

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東京都の会社員(57)は9年前、胆石の検査で入院中、重い急性膵炎すいえんを発症した。細菌に感染して膵臓の周りにうみがたまり、全身に広がって敗血症と診断された。意識のないまま転院し、3か月半、集中治療室で治療を受けた。

ようやく一命は取り留めたものの、80キロあった体重が45キロに減り、体が動かない。リハビリや傷んだ臓器の手術などで入院生活は続き、社会復帰まで2年半かかった。

妻(58)は「いつ命を落としてもおかしくない状態で、『明日は会えないかもしれない』と集中治療室に通い続けた。こんなに恐ろしい病気があるとは知らなかった」と話す。

重症化で3人に1人死亡

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感染症にかかると、血液中の白血球から炎症を起こす物質が出て、病原体をやっつけようとする。この作用が強すぎて、全身の臓器を傷つけるのが敗血症だ。重症になると3人に1人が死亡すると言われ、心筋梗塞や脳卒中よりも死亡率は高いとされる。

統計上、敗血症で亡くなる人は年間1万人以上。高齢化などもあり、10年間で約2倍に増えた。だが、重いやけどや肺炎から敗血症になった人や、もともと持病がある人の場合は、死亡診断書に別の病名が書かれることも多く、実際に敗血症で死亡した人は数倍から10倍程度いると推測されている。

国立病院機構京都医療センター(京都市)救命救急センター長の志馬しめ伸朗のぶあきさんによると、熱が出たり低すぎたりする、脈が速い、呼吸が速い、血圧が下がる、手足が冷たい、意識が薄れて受け答えがおかしい、尿が出ない、全身がむくむなどの症状が複数、急激に表れたら要注意だ。

重い敗血症に陥って4時間後に治療を始めた場合の生存率は約50%、12時間後だと約15%というデータもあるので、おかしいと思ったらすぐに医療機関を受診、ひどいときは救急車を呼ぶ。

予防のための心がけ
 
敗血症はどんな感染症でも起こり得る。高齢者や、持病で感染症にかかりやすい人は注意が必要だ。例えば、高齢者に多い肺炎は敗血症の引き金になる。日頃から規則正しい生活を心がけ、免疫力を高める、持病をきちんと治療する、たばこを吸わない。誤嚥ごえんを防ぐために良い姿勢でゆっくり食べ、意識してのみ込む。口の中を清潔にしておくなどを心がけると予防につながる。

肺炎球菌ワクチンも肺炎予防に効果がある。65歳以上や、それ未満でも慢性の心不全や呼吸器、肝臓の病気、糖尿病の患者などに推奨される。来月から高齢者を対象にした定期接種が始まり、対象年齢の人は、自治体の補助が受けられる。

感染症の多くは、手を介して病原体が口から入るので、手の甲や親指、指の間なども含めて念入りに手を洗うことも大切だ。

鹿児島大教授(救急・集中治療医学分野)の垣花泰之さんは「日常生活で予防できることも多いので、ぜひ気をつけてほしい」と呼びかけている。(館林牧子)

参照元 : 読売新聞(ヨミドクター)