娯楽用マリフアナ解禁から半年 波紋広がる米コロラド州 吸引違法運転や州外への流出相次ぐ

2014.7.27 18:00
 
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米西部コロラド州で今年1月、娯楽用マリフアナ(大麻)の使用が解禁されてから半年がたった。若者らが群がるマリフアナ販売店は活況に沸き、州政府の“金庫”には多額の税収が転がり込んでいる。一方でマリフアナを吸引しながらの違法運転が頻発。マリフアナの使用を禁止する近隣州への流出も相次ぎ、波紋が広がっている。(デンバー 黒沢潤、写真も)

「あなたも、マリフアナ入りのチョコレートを買ったらどう?」

若者に人気のカフェやレストランが集まるデンバー中心部のワジー通り。店内に熱帯植物などを置き、“癒やしの空間”を演出するマリフアナ販売店の店長、ブライアン・ザッカーさん(30)は記者(黒沢)に購入を強く勧めた。

販売店の商品棚には、マリフアナ入りのキャンディや炭酸ジュースのほか、「アフガニ」と呼ばれる品種の乾燥大麻6種類が所狭しと並ぶ。

「アフガニ」の販売価格は1グラム20ドル(約2千円)と高価だ。「アフガニスタンが起源の商品で、質がいい」。ザッカーさんはこう強調したが、アフガンで国際治安支援部隊(ISAF)が大麻栽培の摘発に苦労してきたことが思い出され、複雑な心境になった。

コロラド州では現在、「スターバックスの数よりはるかに多い」(デンバー市民)530以上の販売店に若者らが殺到している。もともと医療用大麻販売店だったザッカーさんの店では、昨年比で約12倍の1日約500人が押し寄せている。これに伴い、店員を4倍の16人に増やした。

解禁に伴い、業界から州政府に転がり込んでくる税収は毎月200万ドル(約2億円)〜350万ドルに上り、なお増加傾向にある。

観光業にも変化が起きている。コロラド州はスキー客や自然愛好家に人気だが、デンバー国際空港のインフォメーション係、ジョン・トミルソンさんは、マリフアナ吸引も同時に楽しむ“マリフアナ・ツーリスト”が「確実に増えている」と苦虫をかみ潰したような表情で教えてくれた。

コロラド州でマリフアナは今や、「紛れもなく、カネになる作物」(販売店関係者)なのだ。

一方、解禁に伴う問題も相次いで表面化している。マリフアナを吸引中またはマリフアナの成分が体内に残った状態で車を運転するのは違法だが、こうした違法運転の検挙者数が5月末までに289人に上った。

このため、解禁による税収の大半を教育関係費に投じようと考えていた州政府は、「一部を取り締まりの経費に割かなければならない」(州政府職員)事態となっている。

州外への流出も問題化している。コロラド州と隣接するネブラスカ州デュエル郡内では、警官に停止させられたコロラド州発の車7台のうち1台から、マリフアナが押収されている。

コロラド州からの車を検問するため、同州につながる12の道路のうち8道路に保安官を1人ずつ配置しているワイオミング州シャイアンでも、残り4道路への要員配置が急務という。個人が持ち出すだけでなく、密売など組織的な犯罪が本格化することへの懸念は強い。

米国で「麻薬との闘い(DRUG WAR)」とは、メキシコ国境からの麻薬流入阻止を指すことが多い。だがコロラド州と隣接する各州にとって、危機は州境まで近づいた。

解禁を認めることになった2012年秋の住民投票では、「合法化でマリフアナ売買が地下に潜るのを阻止する」との理由から大学教授100人以上が賛成票を投じたといわれる。しかし、「コロラド州で“闇市場”ができるのを阻止することを狙って解禁したのに、今後は近隣州に闇市場を作りかねない」(デンバー市民)という皮肉な状況となっている。

参照元 : 産経新聞