動脈硬化促す菌を発見、仕組みも解明

2014年04月16日

ヘリコバクター・シネディ(シネディ菌) と呼ばれる細菌の感染が血管細胞への脂肪蓄積を増やして、動脈硬化を促進することを、東北大学大学院医学系研究科の赤池孝章教授らが突き止めた。

これまで不明だった病原体の持続感染による動脈硬化促進の仕組みを解明したもので、動脈硬化の新しい予防法・治療法の開発につながる可能性がある。4月15日付の英科学誌サイエンティフィックリポーツ電子版に発表した。

血管内側にコレステロールなどの脂肪が蓄積して血液の流れが悪くなる動脈硬化は、心臓病や脳血管障害などの原因になる。その進展には年齢や食生活などさまざまな要因が絡むが、細菌やウイルスの持続感染も関係しているという見方もあり、注目されている。

赤池教授らは、ヒトの動脈硬化病巣にシネディ菌が感染していることを免疫抗体で見つけていた。今回、動脈硬化のモデルマウスで、シネディ菌の影響を詳しく調べた。その結果、シネディ菌が感染すると、血管への脂肪の蓄積が増え、動脈硬化の進展が早まることを証明した。

さらに、培養したマクロファージ細胞の実験で、シネディ菌が感染した細胞では、コレステロールを細胞内に取り込むタンパク質が増加し、逆にコレステロールを細胞外に出すタンパク質が低下していることを確かめ、脂肪が蓄積する仕組みを明らかにした。

シネディ菌は、胃にいるピロリ菌と同じヘリコバクター属で、腸に多い。感染者は1〜2割いるというデータもあり、珍しい細菌ではない。1984年に初めて、ヒトへの感染がわかったが、分離や培養が難しく、腸炎などの症状や敗血症が軽いことも重なって、研究が立ち遅れていた。

赤池教授らはシネディ菌の高感度な検出法を開発し、研究の突破口を開いた。今回の発見は動脈硬化の進行を抑える治療法の新しい手がかりになると期待されている。

赤池孝章教授は「このシネディ菌がヒトで何をしているか、ちゃんと調べる必要はある。常在菌で、腸管から血管内に浸入しているようだ。抗生物質は効くが、再発するのが特徴で、介入試験で効果を調べにくい。

その点が、除菌できるピロリ菌とは異なる。病原体の持続感染が動脈硬化に及ぼす影響を軽視してはいけないだろう」と話している。

図. シネディ菌感染による動脈硬化の促進の概念図▼
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写真. 動脈硬化のモデルマウスで見たシネディ菌感染(右)の動脈硬化促進

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(提供:赤池孝章東北大学教授)

参照元 :
サイエンスポータル