日本人が「ユダヤ資本」や「フリーメイソン」が絡む“陰謀論”にハマり始めたワケ

2012.06.07 木
 
piramid4

書店の一角やネット上の掲示板などを覗いてみると、「東日本大震災は地震兵器による日本への攻撃だ」「世界はユダヤ資本に牛耳られている」などといった陰謀的言説が溢れている。陰謀論に興味がない人でも、ユダヤ資本やフリーメイソンによる陰謀を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。

そんな、これまで人々が受け入れてきた陰謀論の実例を取り上げ、なぜ人々は陰謀論を求めるのかについて考察したのが『世界の陰謀論を読み解く ユダヤ・フリーメイソン・イルミナティ』(講談社)だ。

今回、本書の著者で、北海道大学大学院で宗教学を專門にしている辻隆太朗氏に、日本でも広く知られているユダヤやフリーメイソンに関する陰謀論について話を聞いた。

――辻さんは現在、大学院で宗教学を研究されています。その延長線上に陰謀論というテーマがあり、本書を書かれたのでしょうか?
 
辻 隆太朗氏(以下、辻) 大学の学部の卒論では、オウム真理教のサリン事件について関心を持ち、大学院修士課程の修論ではオウムだけでなく、マインドコントロールやカルトの入信動向について書きました。具体的には、一般的に言われているような「マインドコントロールで洗脳され、騙されて新宗教に入信している」というのが、どこまで妥当なのかということを考察しました。要するに、社会的に異端とされていたり、社会と軋轢を生じている考え方を社会がどう扱うのかということに関心があったんです。また、なぜそうした考え方が一部の人々にとって魅力的であるのかということに関心があり、社会的に異端とされている考え方のひとつのサンプルとして、今回は陰謀論に焦点を当てました。

――一般的な日本人からすると、ユダヤ人やユダヤ資本、フリーメイソンは、現実社会では身近な存在ではありません。にもかかわらず、それらが関わる陰謀論は、日本でもよく見受けられます。そこで、とくにユダヤやフリーメイソンに関して伺いたいのですが、まず、ユダヤ資本の代表格のようによく扱われるロスチャイルド(ユダヤ系の一族であり、現在も金融業を営んでいる)やロックフェラー(アメリカの三大財閥のひとつ)は、実際にはユダヤ系なのですか?
 
 ロスチャイルドは、ユダヤ人なのでユダヤ資本と言って差し支えないと思います。しかし調べている限りでは、ロックフェラーはユダヤ系ではないです。宗教的にもユダヤ教ではないですし、過去をさかのぼっても、知られている限りではユダヤ系ではないです。ただ、ユダヤ人は歴史的にいろいろな民族と混血をしていますので、どこかでユダヤ人の血が入っている可能性もあります。しかし、それを言いだしたら誰でもユダヤ人になる可能性はありますね。

――ユダヤ資本やフリーメイソンに関する陰謀論の特色はありますか?
 
 世の中にはいろいろな陰謀論的な主張がありますが、ユダヤやフリーメイソンに関する陰謀論に関心を示す人は、「世界全体が、ユダヤやフリーメイソンに動かされている」と主張する特色があります。例えば、「アポロは本当は月へ行っていない」「エイズはアメリカがつくった殺人兵器」といった陰謀のように、ひとつの出来事に対する疑問や不信感ではなく、世界全体の動きに対して、不信感や納得できないという感覚があり、それを陰謀に結びつけて見るという特色があります。

――そうした特色が生んだものに、新世界秩序というものがあります。新世界秩序とは「あらゆる出来事・集団・領域に陰謀の存在を見いだし、それらすべてが統一世界政府の樹立といった目標のもと、統一された陰謀のネットワークを形成していると見なす」というものですが、このような陰謀論を受け入れる要因とはどんなものでしょうか?
 
 人が陰謀論を受け入れる要因は2つあると思います。ひとつは時代や地域を問わず、普遍的な人間の心理的傾向や実存的欲求、人間の本性のようなものがあります。もうひとつは、それぞれの地域や社会の時代的条件が生んだ特有なものがあるということです。ひとつ目の、普遍的な人間の心理というのは、世の中に起こる事象について、「本当の真実を知りたい」という気持ちや「自分の人生や社会、世界に対して何か意味があるはずだ、それを知りたい」というものです。「社会や世界がこうであることに意味なんてない。すべては偶然の出来事だ」と考えるよりは、社会や世界には明確な意味があり、現在の社会はこうなっていると考えるほうがわかりやすいからではないでしょうか。

――そのような特色や要因を背景として、日本でユダヤやフリーメイソンに関する陰謀論が受け入れられるのはなぜでしょうか?
 
 本書では、なぜ日本でユダヤやフリーメイソンが広まったのかということについてはあまり手をつけられませんでした。ですから、ハッキリと分析はできていません。しかし、考えられることとして、まず第一にヨーロッパで発展してきた陰謀論の基本的なフォーマットがあります。日本で、ユダヤやフリーメイソンに関する陰謀論を主張する人は、そのフォーマットに乗って主張をします。

――そのフォーマットというのは?
 
 代表的なのが『シオン賢者の議定書』という文書です。この文書は「ユダヤ地下政府の会議で語られた世界支配計画が流出したもの」とされています。詳しい内容については割愛しますが、ユダヤ人が世界を征服することや、そのために娯楽による愚民政策を行うことが記されています。この文書は、19世紀末のパリでロシアの秘密警察によって作成された偽書であることが明らかにされていますが、さまざまな陰謀論の主張に影響を与えています。例えば、中国共産党による対日謀略文書『日本解放第二期工作要網』や、ロンドンのタビィストック研究所で作成された「影の政府」による人類奴隷化の計画書『静かなる戦争のための沈黙の兵器』などです。この『シオン賢者の議定書』を元にした文書のフォーマットの中心には、ユダヤやフリーメイソンが必ずいます。しかし、日本人がユダヤやフリーメイソンを知らなかったら、誰もその主張を信じません。日本にユダヤやフリーメイソンに関するイメージがある程度流布しているからこそ、受け入れられるわけです。

――いつ頃から、日本にもユダヤやフリーメイソンのイメージが流入してきたのでしょうか?
 
 歴史的に見ると、1918年の日本軍のシベリア出兵の際に、反革命派のロシア人経由で『シオン賢者の議定書』が日本へ入ってきました。その当時の日本は全体主義の枠組みでした。西洋で陰謀論がはやったのと同じ土俵だったわけです。つまり、民主主義や自由主義に対する警戒心が強かったのです。そのような背景の中、日本の知識人にも、ある程度ユダヤやフリーメイソンという言葉が広がったと考えられます。日本の陰謀論のフォーマットも、欧米から借りてきたものです。日本の知的な枠組みは欧米依存ですし、さらに西洋に対するコンプレックスもあります。この欧米依存と西洋コンプレックスという対立があるため、日本の陰謀論は「日本対西洋」という構図になりがちです。

――ヨーロッパの陰謀論とは違うということでしょうか?
 
 ヨーロッパの陰謀論では、ヨーロッパ社会の中で、ユダヤやフリーメイソンが国の中から侵食し、自分たちを裏切り、動いているとなります。しかし、日本の陰謀論では、古き良き日本の伝統や精神主義が西洋の物質主義に侵され、日本の独立が西洋に攻撃されているとなる。そして、日本を攻撃してくる西洋の黒幕として、ユダヤやフリーメイソンが存在するという話になります。

――日本でも、ベンジャミン・フルフォードさんなどが陰謀論的な著作を書いていますが、どう読まれていますか?
 
 日本で出版されている陰謀論的な本は、資料として読んでいます。しかし、どれも内容に変わりはありません。基本的には同じフォーマットで、取り上げている陰謀の証拠も、これまでの陰謀論者が取り上げている話や証拠と同じようなものしか出てきません。根拠として参照している話も、陰謀論者の中で出回っている話の孫引きにすぎない。参照している原典にも当たっていないと思います。

――最後に、陰謀論とはなんでしょうか?
 
 陰謀論とは、複雑で曖昧な世界をすっきりわかった気になれる便利な解釈の枠組みだと思います。つまり、世界をどう考えるか、どう解釈するのかという思考の枠組みのひとつです。世界全体を解釈するための世界観という意味においては、宗教やイデオロギーに近い部分があると思う。しかし、宗教やイデオロギーとまったく一緒というわけではない。そこのグラデーションについては、現在も考えているところです。(構成=本多カツヒロ)

●つじ・りゅうたろう

tsuji_ryutaro
 
1978年生まれ。北海道大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科博士後期課程在学中。修士(文学)。專門は宗教学。共著書に『よくわかる宗教社会学』(ミネルヴァ書房)、『面白いほどよくわかるキリスト教』(日本文芸社)、『情報時代のオウム真理教』(春秋社)がある。

参照元 : 日刊サイゾー




陰謀=全否定は、真実まで闇に葬ることになるので、全否定は危険。全て鵜呑みにするのではなく、あくまで陰謀として楽しむのはありかと。

かつては、北朝鮮による拉致事件は陰謀として扱われており、その為、北朝鮮の拉致を訴える人々は 陰謀論を唱えるおかしな人たちとして扱われてました。しかし陰謀ではなく事実でした。過去にも陰謀ではなく事実だった例は多数あります。

ビルダーバーグ会議はEU議会で議題になった事もあり、実在する事が明らかです。






1983年、カナダ人のカトリック教会神父、ジャン=ポ−ル・レジャンバルド神父によるイルミナティ世界支配の説明。