【社説】アベノミクスに懐疑的な見方広がる株式市場

2014年 2月 04日 13:30 JST
 
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3日の東京市場で日経平均株価がまた2%下落した。わずか1カ月ほど前につけた高値から10%下落したことになる。その理由についてはさまざまな説明が聞かれる。例えば前週末の米国株下落、アジア地域での旧正月に伴う取引減少、不安定な為替相場、世界的に広がっているはっきりしない不安感などが挙げられる。安倍首相はすでに多くの課題を抱えているが、そこに株価下落が加わったことになる。

株式市場はこれまで、安倍首相の経済再生策、いわゆるアベノミクスを最も力強く支持してきた。2012年12月に安倍氏が首相に就任してから半年間で日経平均は60%近く上昇した。昨年5月にはいったん下落したが、再び上昇に転じた。

これはとりわけ海外の投資家が安倍首相の下で利益を伸ばす日本企業に注目している証拠だ。資産価格の上昇はアベノミクスに基づく戦略の一環で、安部首相や彼のチームは、株価上昇は実体経済をよみがえらせるために重要な前向きなセンチメントを後押しすると考えている。

しかし、投資家は安倍首相の政策を批判的にとらえ始めている。数週間後には今回の調整局面が昨年5月と同じ程度で終わるのか、あるいは永遠に風船がしぼんでしまうのかがはっきりするが、後者に備えるべきだとと考える理由は十分にある。

企業利益が拡大したのは、アベノミクスで円が下落したため海外での売上高が円建てで膨らんだためにすぎず、輸出数量は減少している。また、企業利益の拡大はまだ賃金上昇につながっておらず、今後もそうはならない可能性がある。

しかもこのところ円は対ドルで反転しており、円安による利益押し上げ効果がいつまで続くのか疑問視する見方もある。4月の消費税率引き上げも企業利益に影響を与えるのではないかと懸念されている。

安倍首相の改革案はこうした懸念に満足に答えていない。いわゆる「第3の矢」はあまり期待されていない。というのも、労働市場の自由化など主な課題が見落とされているからだ。国内への投資を刺激して生産性を向上させるために、政府に守られている経済を開放して海外から財やサービスを受け入れる、という取り組みに焦点が当てられている。

しかし、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を担うTPP対策委員会はもはや機能していないようだ。重要な交渉相手の米国で議会が大統領貿易促進権限(TPA)法案の承認を渋っているからだ。米国政府はTPAについて議会の承認を得られなければTPPをまとめることが難しい。

政府は株式市場の期待に沿って政策運営すべきではないが、安倍首相は株式市場からヒントを得ることができる。2013年が日本の経済見通しを引き上げた年だとすれば、今年はそれを実行に移すべき年だ。



東京株、下げ幅600円超える 1万4000円割れ寸前、4カ月ぶり安値

2014.2.4 15:06

暴落状態となった4日の東京株式市場は、日経平均株価の前日比下げ幅が600円を超えた。終値は、前日比610円66銭安の1万4008円47銭。昨年10月8日以来、ほぼ4カ月ぶりの安値水準となった。

午後の取引再開後に500円を割り込んだ後も、断続的にこの日の安値を更新。取引時間中としては1月30日の530円安を上回る今年最大の下げ幅となった。

東証1部銘柄1780のうち1750前後と98%もの銘柄が値下がりする全面安が続いた。

前日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均が326ドル安と大幅続落するなど、欧米株式市場が軒並み下落した影響が終日のしかかった。円相場が対ドルで101円前後まで値上がりした状態が続き、マイナス材料となった。

東証株価指数(TOPIX)の終値は、前日比57.05ポイント安の1139.27。

参照元 : 産経新聞


荒れる東京株式市場、要因は海外、円買い日本株売り…ヘッジファンドが拍車

2014.2.4 07:54

軟調な展開が続く今年の東京株式市場は、値動きの荒さが目立つ。海外経済の減速リスクが台頭すると投資家の安全志向が世界的に強まり、比較的安全な資産とされる円を買う動きが日本株売りを誘発、これに通貨と株を同時に大量売買するヘッジファンドの存在が拍車をかけているためだ。上場企業の平成25年4〜12月期決算は好調に推移しているが、日本株の値動きは国内景気より海外要因との連動が強まっている。

今年の取引は3日までの20営業日のうち、平均株価の終値が前日比で200円超変動した日数が5割に相当する10日に達し、値動きの振幅が大きくなっている。このうち7日は株価が下落。新興国懸念が強まった1月23日以降の平均株価の1日当たりの変動率は1・7%で、米国の1・0%を大きく上回る。

楽天証券経済研究所の窪田真之チーフストラテジストは、「要因は、1143円安と急落した昨年5月23日と同じだ」と指摘する。米量的金融緩和の縮小観測をきっかけに昨年9月まで日本株は乱高下した。今回も米国の追加の緩和縮小で、リスク資産から資金が逃げ出すとの見方から世界の主要株価が下落した。

短期的に利益を上げようとする海外ヘッジファンドは、リスク回避局面では安全資産とされる円への買い注文と日本株売りを同時に仕掛ける。海外投資家の日本株取引は今年に入って3週連続で売り越し。売越額は約4300億円で、株価指数先物を入れると1兆円を超える。

市場では、「個人が買わなければ、株価はもっと下がっていた」(野村証券の田村浩道チーフ・ストラテジスト)と、少額投資非課税制度(NISA)が相場の安定に一役買うことを期待する声もある。一般的に個人投資家は、株価が下がったところを買う「逆張り」取引の傾向が強いとされるためだ。

ただ、株安が長引けば投資意欲がしぼみ、個人も売りが膨らみ、株価の下落基調が強まる心配もある。

参照元 : SanKeiBiz